著者
梅澤 実 土井 進 浦野 弘 濁川 明男 中山 玄三 姫野 完治 谷塚 光典
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

教育実習における実践的能力を評価する評価基準を明らかにすることをねらいとし、教育実習での実習生の学びから、評価基準を探った。その結果以下のことが明らかになった。(1)授業設計段階での意思決定:初期は、興味・関心」が意思決定に大きく関わるが,授業の回数を重ねるに従い,その観点は次第に薄れ,理解度の項へと関心が高まる。(2)授業実践過程における意思決定:「子僕の反応」による意思決定要因は,「予想外の応答」と「子供の行動」に分けられる。「意思決定の実際」では、授業展開における「リスキー」か否かの判断は,授業が予定通り成立するかどうかである。しかし,実習が進むにつれ,子供達が「理解」するために,どのような意思決定をすればよいかという意識が芽生える。(3)授業を見る観点の変容:初期段階は、「子ども主体」の実現を探ろうとする意識で、大学における講義等で得た知識を授業者の具体的教授行為に同定する。授業を1〜2回経験した段階で、「説明」「発問」という教授行動を児童の側から捉える。授業を3〜4回経験した段階から、「特定児童」に目が向けられる。最後の段階では、「教材」についての見方、「子どもの学習にとって、どんな意味があったか」といった、「子どもの学習」と「教材」との関係を視野に入れた批判的視点が獲得される。