著者
中山 裕則 田中 總太郎
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.37-49, 1990-03-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
11

Lake Chad is located in the Sahelian zone along southern boundary of Sahara desert. Expansion and reduction of water area were repeated several times since the prehistoric period. The authors found that the recent Lake Chad water area observed from satellite data is far smaller than that drawn on several maps. The authors investigate a change of Lake Chad water and vegetation area in recent ten and several years using LANDSAT and NOAA data. The mosaicked LANDSAT/MSS image of 1973 and seven NOAA/AVHRR data during the period 1982-1988 are obtained to analyze the distribution change of vegetation.Water and vegetation area analyzed from the VI (Vegetation Index) and NVI (Normalized Vegetation Index) obtained from each satellite data shows the decreasing tendency year by year. The close relationship between this change and the recent climatic data, such as annual precipitation, relative humidity and atmospheric temperature was recognized. This result may contribute to a monitoring of the present desertification in Africa.Concluding remarks;1) The closed relationship was seen between the change of the area covered with water and/or vegetation and the annual precipitation change.2) The area decrease corresponds to the decrease of relative humidity in the area and also the increase of the atmospheric temperature.3) The decrement of the area reaches 40% during 10 years from 1973 to 1982. The area of water and vegetation in 1988 became 30% or less of that in 1973.4) The recent Lake Chad is in a minimum size during the past 200 years.
著者
中山 裕則
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.117, 2005

.はじめに 大学生の学力低下などに対する懸念などの背景もあり、大学の卒業生に対する質の向上が求められつつある。日本大学文理学部では地球システム科学科において、日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education:以後「JABEE」と呼ぶ)による認定を目指し、準備を進め、2004年5月に認定を受けて、同年春に認定後初の卒業生を社会に送り出した。本報告では、日本大学文理学部における地球システム科学科の教育プログラムがJABEEによる認定を受けるまでの経緯、学科の体制、プログラムの特徴、認定による影響、今後の課題などについて述べる。2.地球システム科学科のJABEE認定地球システム科学科では、1999年のJABEE設立後、地質学会、応用地質学会、地下水学会などを中心に開始された地球・資源の分野におけるJABEEによる認定制度の検討に合わせて、学科内で認定を目指した準備を開始した。具体的には、2001年に学科内で本格的な議論が開始され、プログラムの見直し、体制の整備、申請準備、議論等を経て2003年に認定のための申請を行い、2004年春、学習・教育プログラム「地球システム科学科」が"地球・資源およびその関連分野"での認定を受けた。その春にはJABEE認定後初の卒業生67名を社会へ送り出すことができた。3.学科内の体制 認定へ向けて技術者学習教育プログラム「地球システム科学科」とその学習・教育目標を設定し、技術者教育委員会を組織して体制を整備した。技術者教育委員会は2004年末現在、委員長、幹事長、幹事をはじめとし、学習・教育の目標、教育方法、達成度評価、教育改善、アドバイザーをはじめとする10部会で構成されている。4.プログラムの特徴 学習・教育プログラム「地球システム科学科」の構成は、講義科目とトレーニング科目の2つを柱とし、それぞれが導入、専門、応用プログラムへと順に進む流れとなっている。1年次は導入プログラムとして地球科学やその他の理学に関する基礎的なことがらを、2年次は専門プログラムとして専門的な知識を学習・トレーニングし、3年次では科学調査と研究法の具体的な科目と技術者としての倫理観に関する科目、およびより専門性の高い講義科目で構成される応用プログラムを経験する。この後,4年次で個々のテーマによる研究により、実践的な研究指導を受けて、様々な課題に対応可能で柔軟な知識と技術を身につけることを目指す内容とした。特徴としては、第1に、地球科学を理解するためには講義による知見や野外で修得した観測結果をとりまとめる能力を必要とする観点より、野外および室内における実験・実習科目を通じた実践的なトレーニング教育の重視を掲げる点と、第2として、講義などで得た自然現象に関する知識を野外において実際に体験・確認することで理解を深めるために、1年次から野外での実習科目を設けてフィールドワーク教育に重きを置いている点をあげることができる。5.認定による影響 JABEEの認定により、教育科目に対し4年間を通した具体的な学科の教育・学習の目標が示され、これに沿った教育の実施と評価により、学生および教員の双方に緊張感が生まれたことは認定による影響として指摘できる。また、卒業生の中にはすでに技術士として社会の第1戦で活躍している技術者も多く、その人たちからの期待が寄せられ始めていることも事実である。 一方、認定により教育の質的保証と向上が強く求められるため、各教員の自覚、卒業生に対する責任がさらに必要となった。また、研究だけでなく教育に対する寄与、教育の継続的な改善も求められているため、各教員へのプログラムの維持と改善ための責任と分担が増し、以前に比べて教育に費やす時間が増加したことも事実である。そのため教員を含めるスタッフの強化が必要になっている。6.今後の課題 JABEE認定を受けた学習・教育プログラム「地球システム科学科」は、実績がまだ浅く、体制、内容、目標など今後、いっそうの充実が必要であり、実際に改善を続けている。この更なる充実には、学生の要望の取り込み、外部アドバイザーや卒業同窓会との連携による社会的要望の取り込みなどが必要であり、特に認定後の卒業生の社会での技術者としての活躍とその効果のフィードバックも必要と考えられる。さらは、JABEEのプログラム内容の社会や学内に対する紹介と共に、取組みによる成果の公表も必要と思われる。
著者
遠藤 邦彦 宮地 直道 高橋 正樹 山川 修治 中山 裕則 大野 希一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

火山防災上,防災担当者や住民にとって真に役立つ活動的火山の次世代型ハザードマップの構築を目指し,7項目の目標に対してそれぞれ以下の成果を得た.主に富士山,比較で浅間山,箱根山を対象とした.1.漏れのない噴火履歴の解明:重点的な現地調査により,データの充実化を進めた.2.噴火発生確率のより正確な見積りとデータベース:噴火発生娘串の重要判断材料である富士山の階段ダイアグラムを新しいデータに基づいて改定した.また,データベースを充実させた.3.噴火のさまざまな癖:火口の位置やタイプ,火砕流の発生など,新資料を得た.4.発生確率は低いが影響の大きなイベント:富士山の代表事例として御殿場岩屑なだれ,滝沢火砕流を詳細に解明した.5.多様な噴火シナリオから災害リスクの検討へ:爆発的噴火のタイプ,溶岩流出のタイプの典型として宝永噴火,貞観噴火の詳細な検討を行い,前者について災害リスタの検討を進めた.6.大気や地表の熱情報から:富士山監視カメラシステムを継続的に運用し,雲や降雪状況の変化をホームページに公開した.地表面温度分布の分析成果を公表した.以上のa-fについてその成果を単行本「富士山のなぞを探る」として公表した.7.役に立つハザードマップヘ:噴火が近づき,あるいは始まった時に機器観測,監視カメラ,目視情報をはじめ,大気情報や地表の熱などを含め,多様な情報がリアルタイムに捉えられ,またハザードマップ上に迅速に示されるGISを利用したシステムを,防災担当者および研究者間で運用するDGI-RTSシステムとして構築し,一部を「富士山観測プロジェクト」としてウエブページに公開した[http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/quart/fuji-p/].これは公開済みの「富士山監視ネットワーク」と,さまざまな災害情報に関する「自然災害と環境間題」のページにリンクしている,