著者
山川 修治
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.183-195, 1993-04-25 (Released:2010-11-18)
参考文献数
60
被引用文献数
1 2

Natural disasters in Little Ice Age (c. 1550-1850) and its climatic variations which formed a significant background for the disasters are mentioned. Cool summers due to a prevailing Okhotsk High were characteristic of this period. Cold winters, summer heavy rains and unstable atmospheric conditions also constituted essential features of Little Ice Age. Aerosol ejected by a series of major volcanic eruptions partly prevented solar radiation from reaching the earth' s surface (parasol effect), which resulted in cool and unusual weather. Agriculture, in particular, was vulnerable to bad weather damage. As a result of decreasing direct insolation, sometimes together with lowering temperature and/or locally increasing precipitation, seven major famines occurred during the Edo Era (1663-1868) which approximately coincided with Little Ice Age. Several cases in this paper suggest that natural environment in Little Ice Age was marked by both volcanism and weakened solar activities which “Maunder Minimum”(1645-1715) represented.
著者
大野 希一 山川 修治 大石 雅之 高橋 康 上野 龍之 井田 貴史
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.535-554, 2005-12-30
被引用文献数
1

A cloud height generated by a volcanic eruption reflects the immensity and/or magnitude of the eruption; thus a measuring of the height's temporal variation during the event is very significant in judging whether the activity will become violent or decline. However, when a volcanic eruption occurs during bad weather, we must take information about the cloud's height by means of the pyroclastic deposits. In general, the total time taken for pyroclastic materials to be ejected and deposited at a given distance from the source vent can be divided into three parts as follows : the time for the eruption cloud to ascend and reach its neutral buoyancy level (T_1); the time for the pyroclastic materials to be transported laterally by the eruption cloud (T_2); and the time for pyroclastic materials to fall and be deposited on the ground (T_3). Since T_3 can be calculated from the settling velocity of pyroclastic materials, if the time that the pyroclastic materials fell at a given locality was observed and a given value for T_1 is assumed, the most suitable wind velocity to explain T_2 can be determined. Thus the height at which pyroclastic materials separate from the eruption cloud can be determined by using the vertical profile of wind velocity around the volcano. These ideas were applied to the eruption occurred at 19:44 (JST) on September 23, 2004, at the Asama volcano, which produced a pyroclastic fall deposit with a minimum weight of 7.2×10^6kg. Because this eruption occurred in bad weather, the pyroclastic materials fell as mud raindrops that were aggregate particles saturated by the rainwater. Based on the depositional mass, the number of impact marks of the mud raindrops in the unit area, and the apparent density and the equivalent diameter of these drops during their fall was estimated to be 2.2-3.1mm, which is consistent with the grain-size distribution of pyroclastic materials. According to some experienced accounts, mud raindrops several millimeters in diameter fell at 20:03 in the Kitakaruizawa area (about 9km north-northeast from the source). Assuming 2-5 minutes for T_1 and 11.5-12.0m/s of average lateral wind velocity, the height at which the mud raindrops separated from the eruption cloud can be estimated at 3,430-3,860m (3,610m on average). From this conclusion, the transportation and depositional process of the pyroclastic materials generated on September 23, 2004, at the Asama volcano can summarized as follows : the explosion occurred at 19:44 and the eruption cloud rose to 3,610m while blowing 2.49km downwind from the source. The cloud moved laterally for 4.51km with generating raindrops. At 19:54, mud raindrops separated from the cloud 7.0km north-northeast from the source, then fell to the ground at 20:03 after being blown 2.0km downwind by a lateral wind.
著者
田畑 弾 山川 修治
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.211, 2011

はじめにKBSの大きな目的は、気象官署の観測網でとらえにくいAMeDASレベルの、気圧の急降下、メソ低気圧、前線内の気圧変動などのメソ擾乱に対して、気圧の行方を明瞭な形にすることである。たとえば、Kusunoki,et.al.,(2000)によって ドップラーレーダーで解析されている低層上空(850hPa程度)の低層上空に発生する安定層内における内部重力波や山岳波動の影響を、地上の観測で補完し、新たに地上での影響を考察することも可能となる。2010年4月より本格稼動したKBS(関東気圧システム解析プロジェクト)によって得られたデータのうち、2010年9月23日に前線内の気圧変動に関して顕著な事例が発生したため、今回はこの内容を報告する。データと方法気圧:KBS・気象官署の観測値→月平均をとりその偏差風向風速:AMeDASの10分値以上の関東地方の範囲で作成した図を解析の基本図とする。雨雲の動きは気象庁レーダーエコー図を参照。結果と考察09:00の総観場を見ると、秋雨前線(停滞前線)が関東地方の南岸にあり、銚子沖に低気圧が解析されている。雨雲レーダーを援用すると、この北側で台風の影響を受けた雨雲が発達している。 KBS各観測点の気圧データを挙げると、北関東では気圧の変動が強く、特に榛名山東麓では12:46~13:12の間に+1.9、小山では11:54→12:02で+2.1、直後12:10までに-2.9、さらに12:18までに+1.4という急変動が観測された。それに対して南関東では、長い時間での1.5以上の気圧の変動はあるものの、短い期間での急変動はあまり見られない。基本図とレーダーエコーの図を挙げると、基本的には前線内でNE5~10m/sの風が吹走しているが、前線南部と考えられる勝浦・鴨川付近はSW風となっている。10:30に宇都宮で+1.6と局地的に高い気圧を壬生と日光を巻き込む形で記録している。この領域は10:50までに東に移った。11:20に熊谷で+1.9を観測したときは、日光・宇都宮・壬生・小山・館林を巻き込んでいるが、この10分後には-1.4と-3.3hPa落ち込んだことになる。熊谷ではN→Eと風向が変化している。この後、栃木県内で局地的に高圧部が現れ、12:00では、高根沢で+1.9、小山では+1.4の値を示しているのに対して、宇都宮が+0.3、壬生が+0.1を出すといったコントラストがみられる。13:00には榛名山東麓で+1.3、前橋で+1.2、赤堀で+0.7、桐生で+0.8の高圧域を出し、この領域は14:00までに南に広がり、東に移動している。その後、栃木県内の各地点で-0.5を超す気圧の急下降域が観測された。KBSデータでの「波形」は、先述の通り北関東では周期的に気圧が変動し、南関東はその波が緩い。これを考察すると、雷雨高気圧・ダウンバースト的な下降流、周辺山地の影響による山岳波動が要因として考えられる。レーダーエコーの図を援用して考察すると、高圧域となっているところは基本的に雷雨高気圧によるものとみられる。さらに、09:00における館野の高層観測データを参照すれば、950~925hPaで安定層が認められ、前線面上の安定層が波動を伝えている可能性が考えられる。
著者
永野 良紀 加藤 央之 山川 修治
出版者
養賢堂
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.129-139, 2009-06-10
参考文献数
35
被引用文献数
1

8月のチベット高気圧の東アジアへの張り出しの年々変動を解析した.また,チベット高気圧の変動が北日本への天候の影響を統計的に解析した.北日本上空における100 hPa高度場は,1991年以前は正偏差であったが,1992年以降では負偏差が続いており,1991年を境に有意な不連続が認められた.8月のチベット高気圧は,1991年を境に北日本への張り出しが弱まっていることが統計的に確認された.気圧分類型を用いて日本付近における前線の出現日数を調べた結果,1992年以降の平均出現日数が1991年以前の平均出現日数の2.5倍になり,統計的にも有意な差が認められた.また,北海道における気温も1992年以降は負偏差が続いており,有意な不連続が認められた.日本付近における前線出現日数の増加や北海道の気温の低下はチベット高気圧の盛衰と連動していた.代表的な事例の解析も試みたが,チベット高気圧の張り出しが強かった1982年,1990年は北海道でも気温が高く前線出現は少なかった.対照的にチベット高気圧の張り出しが弱かった1993年や2002年は北海道では気温が低く,前線も平年より多く出現していた.
著者
山川 修治
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.381-403, 1988
被引用文献数
11

東アジアにおける気圧配置型の出現頻度からみた気候変動の実態を,1941年から1985年までの45年間について論じた.1970年代以降をそれ以前と比較すると,冬型高頻度期間の長期化,厳冬季の早期出現,春季移動性局気圧卓越期の遅れ,梅雨前線活動の後半顕著・長期化,夏型高頻度期間の短縮,日本へ接近する台風(とくに秋台風)の減少,秋雨前線の早期出現・活動長期化,秋季移動性高気圧高頻度期間の早期終了といっ一連の傾向が特徴である.また1980年前後になり,.1960年前後と同様に,日本列島上の梅雨前線が活発になりやすい状態となったが,これは集中豪雨の多発と関連している.さらに,晴天のシンギュラリティとして知られる文化の日を含む11月2~6日は,確かに移動性高気圧に覆われやすく,経年変動も少ないが,同程度のシンギュラリティが春季の4月11~15日にも存在すること等新しい知見を得た.
著者
山川 修治
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.16, 2005

1.はじめに近年,集中豪雨の頻度が高まってきていると指摘される。集中豪雨の地域性に何か変化はないだろうか。2004年はまさに大水害の年であったが,その背景には何があるのだろうか。梅雨季から盛夏季にかけての梅雨前線・秋雨前線とそれに伴う暖湿気流の振る舞い,および史上最多の10個上陸の記録をつくった台風を中心に据えて,近年の類似年を検討しつつ特徴を述べる。2.集中豪雨の地域性をもたらした要因近年とくに日本海側地域における集中豪雨が増加しているが,それはなぜだろうか。端的にいって,日本海側に前線が停滞しやすくなっている(山川, 2002)。従来,日本海に停滞前線が現われるのは,梅雨末期,つまり梅雨明けを控えた1週間ほどであった。しかし,ここ10数年においては,梅雨季の後半に入って間もなく,日本海から北日本を通る停滞前線が出現しやすくなっている。その傾向は8月にも認められる。その成因として,1)北太平洋高気圧の梅雨季における早い北偏と,2)同高気圧の盛夏季における南への後退があげられる。2)の原因としては,3)オホーツク海高気圧の出現頻度が高い年の発現,4)寒冷渦の出現頻度増加(8月)が挙げられる。3)関連で5年周期変動も指摘されている(Kanno, 2004)。さらに3)の原因としては,地球温暖化のため東シベリアの気温の上昇が顕著だが,周辺海洋ではそれほど変化がなく,そのため,極東域で南東季節風が強化,高気圧性の循環が卓越し,オホーツク海高気圧の発達を促進していることが推察される。暖湿気流(湿舌)にも特色がみられる。2004年7月13日の新潟・福島豪雨,同月18日の福井豪雨の両事例とも,豪雨地域に進入する線状の積乱雲(Cb-line)が非常に鮮明だった。そのCb-lineに沿って顕著な暖湿気団(相当温位:約345K)が流入した。その水蒸気源は,一部はインド洋(ベンガル湾)から入り,また一部は南シナ海,東シナ海,および黒潮大蛇行へ移行中の西太平洋からも合流した。加えて,日本海でも海面水温(SST)が高く,水蒸気を供給した。下層ジェット(WSW20m/s強)が吹くとともに,それに直角方向の対流現象も生じ,日本海からの蒸発を促したと推測される。3.猛烈台風の襲来の要因2004年における台風の総発生数は29個と,平年より2つ多いだけだが,発達したものが多かった。猛烈に発達した台風の頻発は,日本南方,西太平洋における200hPa(圏界面付近)の明瞭な気温低下,および,高いSSTの相互作用の結果とみなすことができる。さらに,熱帯太平洋中部の高SSTが熱帯収束帯(ITCZ)を活発化させたこと,北太平洋高気圧の張りの西縁部がまさに日本列島付近にあり,その縁辺流が南方の台風を日本列島へ向かわせた。太陽活動と有意な正相関の認められる海域が日本付近に多いが,高SSTは2000-01年極大期の余波とみなすことができよう。放射平衡の結果として現われる圏界面付近の低温化は,今後もトレンドとして進行する可能性が高く,猛烈台風形成要因として見逃せない。台風0423号は特筆に値する。超大型で強風圏は半径650kmに達した後,日本列島を襲った。台風が土佐清水に上陸後,中京地区を東北東進中,中心から100-200km北側の北陸方面(いわゆる「可航半円」内)で激しい暴風雨被害が発生した。その原因として,1)台風上空の12.1-12.5km(200hPa)に強風圏にほぼ対応する暖域があり,Cbスパイラルバンドの雲頂高度もほぼ同高度に及んでいたとみられ,奥羽山脈を東から西へ横断してもCbはあまり衰えなかったこと,2)大陸からー61℃(200hPa;上記暖域核との気温差18℃)の寒気団の南下もあり,気圧および気温の勾配が急激な状態となったことが挙げられる。豊岡・舞鶴などにおける洪水のため,台風に伴う人的被害としては台風8210号(8月2日,梅雨前線が残るなか渥美半島に上陸;死者行方不明:95名)に匹敵する惨事となった。2004年との共通点としては,1)1982年も「長崎豪雨」などの集中豪雨が相次いだ後での追い討ち豪雨による土砂災害だった。2)ともに成層圏QBOは典型的な東風フェイズで,熱帯対流圏の鉛直シアは小さく,東へ張り出すチベット高気圧の東縁部に沿って台風が北上しやすかった。3)ともに黒潮大蛇行年。4)ともに太陽活動はピークの3-4年後の衰退期にあたり,ユーラシア大陸上の寒冷渦が強化された(同期特有の現象)。相違点としては,1982年はエルニーニョ年であるのに対し,2004年は上記のようなSST分布であったが,ともに日本への湿舌は極めて強いという結果となった。4.まとめ2004年は複合的な要因が重なり,前線活動と台風による豪雨災害が頻発した。それには,高いSSTの影響が大きいが,QBO東風フェイズ,太陽活動(SSTおよび寒冷渦へ作用)も影響したほか,地球温暖化の直接・間接的に関与していると考えられる。
著者
遠藤 邦彦 宮地 直道 高橋 正樹 山川 修治 中山 裕則 大野 希一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

火山防災上,防災担当者や住民にとって真に役立つ活動的火山の次世代型ハザードマップの構築を目指し,7項目の目標に対してそれぞれ以下の成果を得た.主に富士山,比較で浅間山,箱根山を対象とした.1.漏れのない噴火履歴の解明:重点的な現地調査により,データの充実化を進めた.2.噴火発生確率のより正確な見積りとデータベース:噴火発生娘串の重要判断材料である富士山の階段ダイアグラムを新しいデータに基づいて改定した.また,データベースを充実させた.3.噴火のさまざまな癖:火口の位置やタイプ,火砕流の発生など,新資料を得た.4.発生確率は低いが影響の大きなイベント:富士山の代表事例として御殿場岩屑なだれ,滝沢火砕流を詳細に解明した.5.多様な噴火シナリオから災害リスクの検討へ:爆発的噴火のタイプ,溶岩流出のタイプの典型として宝永噴火,貞観噴火の詳細な検討を行い,前者について災害リスタの検討を進めた.6.大気や地表の熱情報から:富士山監視カメラシステムを継続的に運用し,雲や降雪状況の変化をホームページに公開した.地表面温度分布の分析成果を公表した.以上のa-fについてその成果を単行本「富士山のなぞを探る」として公表した.7.役に立つハザードマップヘ:噴火が近づき,あるいは始まった時に機器観測,監視カメラ,目視情報をはじめ,大気情報や地表の熱などを含め,多様な情報がリアルタイムに捉えられ,またハザードマップ上に迅速に示されるGISを利用したシステムを,防災担当者および研究者間で運用するDGI-RTSシステムとして構築し,一部を「富士山観測プロジェクト」としてウエブページに公開した[http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/quart/fuji-p/].これは公開済みの「富士山監視ネットワーク」と,さまざまな災害情報に関する「自然災害と環境間題」のページにリンクしている,