著者
中川 直子 奥野 良信 森川 佐依子 伊藤 正恵
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1.AH9型およびAH5型インフルエンザウイルスの早期診断AH9型のインフルエンザウイルスは香港でヒトヘの感染例が報告されており、次の新型ウイルスの最有力候補といわれている。AH9型の流行に備えて、A/Duck/HongKong/702/79(H9N5)対するモノクローナル抗体を作製した。既にAH5型のインフルエンザウイルスに対するモノクローナル抗体を樹立しているので、これらの抗体をPAP法に応用することにより新型ウイルスの迅速診断を行いたい。2.新しいタイプのB型インフルエンザウイルス(山形タイプ)の早期発見従来のB型に中和活性を示すモノクローナル抗体5H4を用いて抗原性を調べたところ、大阪府で採取された1998/1999シーズンの株の6%にあたる株は5H4で中和されない新しい抗原性を有した株であった。HA1領域のDNAシークエンス解析の結果、149番目のアミノ酸がアルギニンよりリジンに変化していることが、原因であると示唆された。149番目のアミノ酸がアルギニンであることは、山形タイプに特徴的で、10年来変異がなく、この知見は特筆すべきものであると考えられる。1999/2000シーズンはB型の流行がなく2株のみ採取されたが、この2株とも新しい抗原性の株であった。新しい変異が見られたことで、2000/2001のB型の流行が以前より大きくなることを予想していたが、懸念通り、ワクチン株と抗原性の差異がみられるウイルス株が流行し、その流行が長引いた。今後はワクチン株の選定に貢献したい。3.AH1型インフルエンザウイルスの早期診断1999/2000シーズンには4年ぶりにAH1(Aソ連)型の流行があり、流行株に対するモノクローナル抗体を作製した。次の流行時には、これらの抗体をPAP法に応用することにより、迅速診断ができるだけでなく、今回の流行株との抗原変異の解析が可能となる。
著者
奥野 良信 伊藤 正恵 加瀬 哲男 中川 直子 前田 章子
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

インフルエンザウイルスのHA蛋白は構造的に頭部と幹部に分かれるが、我々は以前に幹部に共通中和エピトープの存在することを証明した。このエピトープを利用するために、幹部だけをコードするヘッドレスHAのcDNAを構築し、これを広域反応性のDNAワクチンとして活用することを考えた。昨年度までは、HA遺伝子を発現させるベクターにpEF-BOSを用いていたが、マウスに有効な免疫を賦与できなかった。そこで今年度は、高発現ベクターのpNOW-GKTに変更してDNAワクチンを作製し、マウスに免疫して抗体価の測定とチャレンジテストによりこのワクチンの有効性を検討した。フルサイズのHA、あるいはヘッドレスHAをコードするcDNAをベクターに挿入し、遺伝子銃を用いて3週間隔で2回マウスに免疫した。2回目の免疫から2週後にマウス肺に強い親和性を示すA/FM/1/47(H1N1)をマウスの鼻腔内に接種してチャレンジテストを行った。ベクターだけを接種したマウスは著明に体重減少し、半数のマウスが死亡した。一方、フルサイズのHAを免疫したマウスはすべて体重減少を示すことなく生存した。ヘッドレスHAを免疫したマウスの20%は死亡したが、生存したマウスは体重減少を起こさなかった。経時的にマウスより採血し、血清抗体価をELISAと中和試験で調べた。フルサイズのHAを免疫したマウスは有意な抗体上昇を示したが、ヘッドレスHAを免疫したマウスは抗体価の上昇を認めなかった。以上の結果より、ヘッドレスHAを免疫したマウスがコントロールのマウスよりも生存率が高かったのは、液性抗体よりも細胞性免疫が働いているためだと推測された。今後は、ヘッドレスHAの免疫方法を変え、抗体価の測定だけでなく細胞性免疫も調べてヘッドレスHAのDNAワクチンとしての有用性を検討したい。
著者
伊藤 友隆 河田 恭兵 中川 直樹 生天目 直哉 橋爪 克弥 伊藤 昌毅 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.17, pp.31-36, 2009-02-25
被引用文献数
3

近年,コンピュータの小型・高性能化に伴い様々な情報機器にコンピュータが搭載されるようになった.また無線 LAN をはじめとする,無線通信技術の普及により,家電製品や AV 機器などこれまでネットワークへの接続性がなかった様々な機器がネットワークに参加するようになった。これらのネットワーク機器の連携を行うにあたって,現在最もユーザの障害となっているのは機器指定作業および,設定作業における直感性のなさである.IP アドレスなど機器を指定する数字やコンピュータ場の識別子は実世界の機器の外見や,性質から連想することは難しく,ユーザの頭の中での関連付けが難しい.こういった問題を背景として,直感性を意識したインタフェースの研究がいくつか行われている.本論文ではユーザインタラクションにおける距離的制約の解消や操作の容易さといった点を機能要件として求めた振る動作によるインタフェースを提案している.振る動作を用いた機器連携手法のプロトタイプシステムである Snappy を構築し,これをもとに提案手法の説明と設計・実装について述べた.These days as computers get smaller and smarter, many devices get ability to join networks. To make those network devices collaborate, the biggest barrier for users is lack of intuitive interaction among them. It is impossible to tell IP address or some other name in cyber space from just looking at a real entity of the device. As for these issues, many researchers have been working on intuitive Human-Device interaction. In this paper, we propose a Snap-based Human-Device Interaction method for multiple device collaboration. Snappy gives the way for the users to specify and collaborate devices with easy and distance-free interaction. We implemented Snappy and demonstrated with multiple devices such as camera, digital photoframe and printer.