著者
大槻 憲四郎 藤巻 宏和 中村 教博 松澤 暢 三浦 哲 山内 常生 松沢 暢 三浦 哲
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

近い将来に危惧される宮城県沖大地震を予知するため、民間・地方自治体から深度1000m前後のボアホールと温泉を計10カ所前後借用し、遠隔自動受信による「深層地下水観測システム」を構築した。精密な水温・水位・ラドン濃度・炭酸ガス濃度を観測し続け、岩手・宮城内陸地震を含む7個の地震のpre-およびco-seismicな変動を捉えた。
著者
井上 建 小坂 浩隆 岡崎 玲子 飯田 直子 磯部 昌憲 稲田 修士 岡田 あゆみ 岡本 百合 香山 雪彦 河合 啓介 河野 次郎 菊地 裕絵 木村 大 越野 由紀 小林 聡幸 清水 真理子 庄司 保子 髙倉 修 高宮 静男 竹林 淳和 林田 麻衣子 樋口 文宏 細木 瑞穂 水田 桂子 米良 貴嗣 山内 常生 山崎 允宏 和田 良久 北島 翼 大谷 良子 永田 利彦 作田 亮一
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-12, 2023-10-05 (Released:2023-10-05)
参考文献数
19

COVID-19パンデミック下,摂⾷障害患者における社会からの孤立,受診控え,症状の悪化,さらに新規患者の増加などが報告された。そこで我々は,2019,2020,2021年の神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)および回避/制限性食物摂取障害(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder: ARFID)の新規患者数,入院患者数,性別,年齢層,COVID-19の影響の有無について,国内で摂食障害を専門的に診療している医療機関に対して調査を依頼した。すべての項目に回答のあった28施設の結果について集計・解析した。ANの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は400人,266人,2020年は480人,300人,2021年は610人,309人であった。一方,ARFIDの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は70人,15人,2020年は97人,22人,2021年は112人,17人であった。AN,ARFIDともに2019年と比較して2020年,2021年は新規患者数,入院患者数ともに増加し,これは10代でより顕著であった。さらにANにおいては20代の患者も増加していた。COVID-19 パンデミック下にARFID 患者数の増加が示されたことは重要な知見であると考えた。
著者
井上 幸紀 山内 常生
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.713-718, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
4

うつ病は本来精神疾患ではあるが, 心療内科医が対応することも多い. うつ病の1割程度はのちに双極性障害と診断が変わることもあり, 心療内科医は精神科医と連携して治療対応することが望まれる. 摂食障害は心身症に含まれ身体管理は心療内科医が得意とするところかもしれないが, 精神的な対応を併せて行う必要から精神科医が対応することも多い. 心療内科医と精神科医が対応する疾患には一部重複がみられるものの, おのおのが受けてきた教育や専門性に違いがある. うつ病と摂食障害を例に挙げたが, 疾患の個別病態によりどちらの診療科の要素が強いのかは異なり, 病態によってはお互いの立ち位置を理解したうえで緊密に連携していくことが求められる.
著者
山内 常生
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.46-51, 2021 (Released:2021-01-01)
参考文献数
3

飢餓状態にある摂食障害患者の生命を救うためには, 入院による厳格な身体管理が不可欠だが, 患者の病識欠如や治療抵抗により入院導入に苦労することも多い. 精神科医療機関では医療保護入院といった法律に基づく非自発的な治療介入も可能だが, その適応基準は明確でなく, 患者の重症度や患者と家族の考え方, 家庭背景や経済状況などさまざまな条件を満たす必要がある. また, 入院後も治療環境上の制限や隔離や身体的拘束などの治療措置には, 医療倫理的配慮だけでなく治療全体への影響についても慎重に検討しなければならない. さらに, 精神科にとって不慣れな身体管理が重荷になることも多く, 内科などと連携して治療が行える総合病院精神科であっても, 摂食障害に併発する独特な身体的問題への対処は容易でなく, 疾患全体の理解と経験が必要となる. 本稿では総合病院精神科である当院での治療経験を踏まえ, 精神と身体への適切な治療介入について検討する.
著者
山内 常生 山田 守 奥田 隆
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.301-310, 1981-10-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Precursory abnormal strain responses associated with rainfall are discussed in the present paper. The data analized are the strains observed at the Mikawa Crustal Movement Observatory (Toyohashi City, central Japan) for the period from January 1973 to April 1980. Each extensometer at the observatory is equipped with two or three sensors for the detection of irregularity in strain. Usually the observation gallery deforms uniformly after a rainfall, because the ground strain responses observed by the sensors attached on the same quartz pipe show nearly the same variation. We can calculate accurately these strain responses by a tank model from the precipitation at the observatory, but sometimes remarkable disagreements between the ground strains caused by rainfalls and the calculated values expected from the model are clearly seen before and after the occurrence of nearby earthquakes. Irregular deformations at the observation site are also observed. These abnormal strain responses to rainfall are observed for 18 earthquakes during the period from January 1973 to December 1979. Distribution of earthquakes which were accompanied by these precursory abnormal strain responses are restricted in the block whose boundary is characterized by the distribution of microearthquakes.
著者
山内 常生 下 道国
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.435-446, 1982-09-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
被引用文献数
6 7

The concentration of 222Rn in air in the gallery at Mikawa. Crustal Movement Observatory (Toyohashi City, central Japan) has been continuously measured with a flow-type ionization chamber since April, 1977 for the investigation of pre-earthquake anomalies. The observed 222Rn concentration shows remarkable increase after rainfall. It seems that 222Rn rich air is squeezed in the gallery by the contractile force caused by rainfalls from faults with elevated 226Ra content. The variation of 222Rn concentration in the gallery has been calculated from the rainfall data from June, 1977 to December, 1979. Sometimes remarkable disagreements between the observed and calculated values of the 222Rn concentration are seen before and after the occurrence of nearby earthquakes. Such a disagreement might be a precursor of nearby earthquake. The concentration of 222Rn is also influenced by the changes in atomospheric pressure; it increases as the pressure drops and decreases as the pressure rises. Seasonal variations are recognized, too. Continuous observation of 222Rn has also been started in June, 1980 at Kikugawa Crustal Movement Observational Station (Shizuoka Prefecture, central Japan).
著者
青木 治三 伊藤 潔 多田 堯 藤井 巌 山内 常生 伊神 煇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1181-1194, 1970-11

9月9日の岐阜地震は犬山地震観測所の北方約50kmに発生し,数多くの余震が観測された.震源の精度をあげるため予備観測および郡上郡奥明方村奥住小学校における10日間の余震観測を追加した.犬山観測網のDataにより9月20日より11月30日までの余震の分布を調査した.余震は主震の南東約3km地点を中心にとしNW-SE方向にのびる二次元の正規分布で近似できる.標準偏差は推定断層に垂直および平行な方向にそれぞれ2kmおよび4kmであった.この余震の中心は古生層,濃飛流紋岩の境界をなす構造線と一致し,観測された余震は主震に伴った断層がこの構造線により大きな残留歪を生じたことを示していると考えられる.|Since the earthquake of September 9, 1969 occurred at about 50km north of the Inuyama Seismological Observatory, a number of aftershocks were recorded at four recording stations: Inuyama, Sinpukuzi, Takazawasan and Ohira. It was intended immediately after the main shock to conduct a preliminary observation of damage and aftershocks for the estimation of the aftershock region and to find the best complementary recording site for the determination of hypocenters. During the two-day observation beginning Sep. 10, we could not find on the ground surface any sign of an earthquake fault. The observed P-S duration times however suggested that the depths of the aftershocks were very shallow.
著者
南須原 美恵 鹿島 雄介 中村 隆志 山内 常生 大槻 憲四郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.63-78, 2011 (Released:2011-06-02)
参考文献数
72
被引用文献数
3 1

宮城県沖大地震に関連した前兆的地下水変動を検出するため,逆断層性活断層の上盤側にある深層孔井を選び,自動リアルタイムデータ受信システムを備えた観測網を構築した.孔井2本の水理学的条件,気圧,地球潮汐,降水の影響,水温観測の解像度を検討した後,観測期間2004年4月6日 から2007年末までに起こった地震の中から地震に関連した可能性のある3つの水温変動を同定した.それらは2005年12月2日の宮城県沖地震(MJ 6.6)の本震の2.7時間前から始まる0.003℃の低下,2007年4月12日に仙台湾で起こった浅発地震(MJ 4.5)の2時間前から始まった0.0012℃の上昇,および2007年5月29日に宮城県北部で起こった浅発地震(MJ 4)と同時の0.02℃に達する低下である.もし,将来の宮城県沖大地震がMJ 6.5以上の地震に相当する先駆すべりを伴うなら,我々の観測システムはそれを前兆的温度変化として捉え得る可能性がある.
著者
中谷 正生 飯尾 能久 小笠原 宏 佐野 修 山内 常生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

断層の滑り摩擦の絶対値を知るために、来るべき地震の断層のすぐそばに精密温度計のアレーを設置するという世界で初めての観測を行った。南アフリカの金鉱山に、地下3kmでの採掘活動が大規模な地質断層のそばで行われているところがある。我々は、この地点で長さ30m程度の多数のボーリングを行い、コアと、孔内ビデオ映像の詳細な解析により、厚さ20mを超える複雑な断層帯の構造を三次元的に描きだした。その結果、断層帯の片側と母岩の境界の厚さ10cm程度の部分だけが、損傷が激しく、際だった弱面になっていることが見出された。この構造は面をつらぬくボーリング孔がカバーする全範囲(10x10m程度)にわたって連続しており、また、相当に平面的であった。この面を中心に、距離1m以内に多くの温度計を設置することができた。断層帯は、主に母岩の砕屑物が固結した岩石でできていたが、その中で面構造を示す部分はごくわずかであった。数センチの厚みで、剪断の集中による葉状構造が観察される所は他にも数カ所あったが、先に述べたものだけが、ぼろぼろの状態で、全ての掘削孔で、この面を通る部分だけ、壁の材質がリング状に失われていた。連続観測された温度データは非常に安定で、この鉱山で発生が期待されるM2-3クラスの地震が、上述の弱面で起こった場合、その滑り摩擦強度が、実験室から予想される値の1/10程度でも、測定することができるほどである。これは、いわゆる地殻応力問題で取りざたされている断層強度の範囲の全域をカバーできていることになる。地震によって起こった発熱による周辺岩盤温度の時間変化をみるこの観測では、地震後1ヶ月ほどのデータが必要だが、地震の被害を受けやすい断層直上での観測であるため、地震後に観測機器にアクセスできなくなる可能性もある。そのため、データの収録、伝送、電源供給方法は無線を含めた多重化を行った。
著者
志知 竜一 飯田 汲事 山内 常生
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1241-1249, 1970-11

A remarkable strain step was recorded by the strainmeter at the Inuyama Crustral Movement Observatory which is located at a distance of about 48km from the epicenter of the Gifu earthquake of September 9, 1989, with the magnitude of 6.6. At the same time a rapid increase of discharged water in the observational gallery was also observed. These phenomena were also observed at the time of the off Nemuro (Hokkaido) earthquake of August 12, 1969, with the magnitude of 7.8. In the case of the off Nemuro earthquake the epicentral distance was about 1200 km. These strain steps and the abnormal increase of discharged water at the time of earthquakes were taken into consideration for the analysis of the crustal deformation accompanied by earthquakes and principal strains obtained from the calculations are listed in Tables 1 and 2, respectively.