著者
鈴木 亜夕帆 渡邊 智子 渡邊 令子 中路 和子 満田 浩子 井上 小百合 山岡 近子 西牟田 守 宮崎 秀夫
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.259-269, 2015
被引用文献数
1

自立した生活をしている81歳の男女58名の3日間の食事秤量調査を行い,食生活の実態について検討した。1) 血液検査値,体位およびBMIは,それぞれ正常範囲内であった。2) 男女とも嗜好飲料類の摂取量が一番多く,次いで,穀類の摂取量であった。穀類摂取量の変動係数は,食品群の中一番低く,藻類および菓子類は,男女で摂取量の個人差の違いが異なる食品群であり,女性は男性に比べ,菓子類の摂取量が多く,そのばらつきも少なかった。3) エネルギー摂取量は,男性2,077kcal,女性1,761kcalで男女とも適正であった。エネルギー産生栄養素比率は,たんぱく質:男性15.4%,女性15.2%,脂質:男性23.9%,女性24.1%,炭水化物:男性56.6%,女性59.9%,アルコール:男性4.1%,女性0.7%であった。4) イコサトリエン酸およびアラキドン酸で男性が女性よりも有意に多く摂取していた。エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計摂取量は,1.1g (男性1.2g,女性1.0g) であった。5) グルタミン酸,次いでアスパラギン酸が多く摂取されていた。6) ショ糖,次いでぶどう糖および果糖が多く摂取されていた。7) 日本人の食事摂取基準2010年版から対象者の個人別必要エネルギーを算出した値と,実摂取量とを比較すると,男女ともに1%以内の相違にすぎなかった。 これらのことから,自立して生活している高齢者のエネルギー摂取量および栄養素別エネルギー摂取比率は食事摂取基準の適正範囲内であったが,食品群別摂取量を見ると男女別に特徴があることがわかった。
著者
渡邊 智子 梶谷 節子 中路 和子 柳沢 幸江 今井 悦子 石井 克枝 大竹 由美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【</b>目的<b>】</b>『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じて聴き取り調査を行い,昭和35~45年頃までに残されて次世代に伝え継ぎたいと対象者が考えている家庭料理を収集した。ここでは,各地域のおやつについてその特徴を報告する。<br /><b>【方法】</b>千葉県の9地域(利根川流域,北総台地,東京湾奥,九十九里海岸,内房・館山地域,北総台地,房総湾奥部海岸地域,船橋地域)について聴き取り調査研究を行った。各地域のおやつついて,日常のおやつとハレのおやつに区分して検討した。<br /><b>【</b>結果<b>】</b> 日常のおやつは,食材の宝庫である千葉県の特徴を生かした生鮮果実(すいか,いちご,びわ,柿:房州海岸,柿,びわ,すいか:内房・館山地域,柿,りんご,みかん:北総台地),乾果実(柿:房州海岸・館山地域・北総台地)がみられた。幕張はさつまいも栽培が始まった地域であるが,さつまいももふかす,干しイモ,いも餅,芋羊羹として5地域で食べていた。米を用いたおやつには,おにぎり,ぼたもち,あられ,かきもち,すいとん,せんべい,もち草だんご,ポン菓子,性学(せいがく)もち(つきぬき餅:うるち米が原料)として全地域で食べられていた。てんもん糖(しょうが,ふき)は,北総台地や九十九里で食べていた。その他,パン,そばがき,うに,あけび,かき氷など多様なおやつを食べていた。<br /> はれのおやつは,ぼたもちが主で,重箱にごはん,あんこを順番に入れる作り方(北総台地・船橋地域)もあった。たまご寒天(九十九里海岸)は,寒天の中に黄色の卵が入り華やかなお菓子であった。他には,おしるこ,甘酒,赤飯,五目飯,餅菓子も食べた。<br />千葉県のおやつは,千葉県で採れる豊かな食材を家庭で料理したものがほとんどであった。