著者
中辻 真
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.978-982, 2018-10-15

AI「オシエル」は,QAコミュニティ「教えて!goo」上で,恋の悩みにアドバイスするAIキャラクタとして誕生した.質問者から寄せられる複雑な相談に対し,日々瞬時に回答を構築,1ユーザとして投稿し,その回答数は2018年現在3万件を超える.恋愛相談は,一般的に一意な回答で決まるものではなく,多様な回答を取り得る.その中で,納得性の高い回答を構築するため,「オシエル」は,回答シナリオを「共感」,「結論」,「補足」,「励まし」の流れで抽象的に定義し,質問と回答の関係を,深層学習による回答文選択と文間の組合せ計算を実現する「長文回答構築モデル」により学習する.本稿は「オシエル」誕生の背景と,技術概略,今後の展望を述べる
著者
小瀨木 悠佳 立石 修平 大杉 康仁 狩野 悌久 中辻 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1T3GS604, 2023 (Released:2023-07-10)

近年,新型コロナウイルスの影響によりチャットボットやボイスボット,メタバースの活用などオンライン接客の注目が強まっている.接客において相手の感情を読み取りながら対応を変化させることは,相手と信頼関係を築きコミュニケーションを円滑にするために重要である.一方で,普及しているチャットボットの多くは,感情情報や文脈を考慮せず短絡的な会話になってしまうことがある. そこで本研究では,丁寧な接客応答ができる次世代対話システム構築に向けて,マルチターン対話の中に現れる感情の変化を捉え,相手の感情に合わせた対話応答ができるように予測するモデルを提案する.具体的には,マルチターン対話における感情予測と,直前の発話における相手の感情に合わせた対話応答の学習を同時に行う学習モデルを提案する. 提案手法の有効性を示すためにMELDデータセットを用いて比較実験を行った.結果として,マルチターン対話における感情を把握しながら応答予測を行うことは,応答予測の精度向上の効果が確認できた.
著者
中辻 真
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.6, pp.436-446, 2022-06-01

Web上に整備されている大規模な知識ベースに存在するセマンティクスは,個別のサービスに蓄積されているユーザの行動ログの統合分析に活用できる.ユーザ行動は,三つ以上のオブジェクトを含む関係で表現でき(例:“ユーザ”が“ウェブページ”に“タグ付け”するなど)るため,テンソルはユーザ行動を表現するための合理的な方法論を提供する.近年提案されたSemantic Sensitive Tensor Factorization (SSTF) は,オブジェクトの背後にあるセマンティクス(例:アイテムのカテゴリ)を用い,テンソル分解を行い,ユーザー行動を高精度に予測できる.しかし,SSTFは一つのサービスに対するテンソル分解のみを取り扱うため,(1) 異質なサービスのデータセットを同時に扱う場合に起こるバランス問題,及び (2) 観測データが不十分な場合に発生する希薄問題を解決できない.本論文で提案するSemantic Sensitive Simultaneous Tensor Factorization (S3TF) は,(1) 個々のサービスのテンソルを作成し,個別にテンソル分解を実行するのではなく,同時に実行する.これにより,バランス問題に起因する予測精度の低下を回避できる.また,(2) 分散した行動ログの背後にあるセマンティクスを用い,テンソル分解時に意味的なバイアスをサービス間で共有する.これにより希薄問題を回避する.実世界のデータセットを用いた実験により,S3TFは,既存のテンソル分解手法よりも高い予測精度を達成し,また,サービスを跨る暗黙の関係を抽出できることを示した.
著者
中辻 真 立石 修平 小瀬木 悠佳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.174, 2021

<p>NTTレゾナントは「教えて!goo」における恋愛相談AIオシエルや、日本テレビ社に提供したキャラクタチャット「AI菜奈ちゃん」など、多くの対話サービスを提供してきました。対話AIは広く普及し、現在では、様々なサービスをユーザが享受する際のインタフェースとして不可欠となっています。本講演では、レゾナントが進める、「音声、映像、言語の3モダリティを統合し、対話、ユーザ代行など、幅広いサービスを支える基盤となるAIアルゴリズムAPIサービスを紹介します。AI suiteにより、クライアント企業様の希望するサービスを迅速に構築できます。今回、本基盤を支えるPersonalized AI技術やマルチモーダル技術も紹介し、映像、音声、言語を統合した対話例とし、「ユーザアバタとAIキャラクタのエンタテイメント会話デモ」と「雑談を交えユーザ代行を行うAI」を紹介します。</p>
著者
瀧田 航平 鈴木 奨 呉 健朗 堀越 和 中辻 真 宮田 章裕
雑誌
ワークショップ2017 (GN Workshop 2017) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.1-6, 2017-11-09

発展を続ける情報分野を支える技術の 1 つである対話型エージェントは,今後もより多くの場面で活躍が期待されている.一方でエージェントとの無機質な対話に親しみを感じないユーザには,このような対話型エージェントは受け入れてもらえない可能性が懸念される.この問題を解決するために我々は,ユーザの発言の一部をわざと間違えて聞き返す,ボケて返す対話型エージェントを提案してきた.我々は,このエージェントに適切なキャラクタ性を付与することで,ユーザが感じる親しみを増加させることができると考えている.この仮説を検証するため,本稿では,特定のカテゴリに属する単語のみを返答させることによって,エージェントにキャラクタ性を付与するアプローチを提案し,この概念をプロトタイプシステムとして実装した.検証実験の結果,現時点では,ユーザが感じる親しみの有意な向上は認められなかったが,エージェントにキャラクタ性を持たせることには成功したことが確認できた.
著者
藤原 靖宏 中辻 真 塩川 浩昭 三島 健 鬼塚 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.473-478, 2015-03-01 (Released:2015-02-03)
参考文献数
6

In AI communities, many applications utilize PageRank. To obtain high PageRank score nodes, the original approach iteratively computes the PageRank score of each node until convergence from the whole graph. If the graph is large, this approach is infeasible due to its high computational cost. The goal of this study is to find top-k PageRank score nodes efficiently for a given graph without sacrificing accuracy. Our solution, F-Rank, is based on two ideas: (1) It iteratively estimates lower/upper bounds of PageRank scores, and (2) It constructs subgraphs in each iteration by pruning unnecessary nodes and edges to identify top-k nodes. Experiments show that F-Rank finds top-k nodes much faster than the original approach.
著者
呉 健朗 中原 涼太 長岡 大二 中辻 真 宮田 章裕
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.231-238, 2018 (Released:2018-12-31)
参考文献数
19

Conversational agents are beginning to become popular in various scenes of daily life, and it is considered that many users will use it in the future. However, since the conversation with the agent is impersonal, many users seems not to feel familiar with such agents. To address this issue, we focused on the relationship between humor and familiarity. Based on this idea, we propose an agent that creates humor by hearing wrongly the word that has a dissimilar meaning and similar sound instead of the word that the user has said. This makes it possible for the agent to bring humor into the conversation, thus the user can feel familiarity with the agent.
著者
中辻 真 藤原 靖宏 内山 俊郎 戸田 浩之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.457-467, 2013-11-01 (Released:2013-10-01)
参考文献数
33
被引用文献数
1

Tracking user interests over time is important for making accurate recommendations. However, the widely-used time-decay-based approach worsens the sparsity problem because it deemphasizes old item transactions. We introduce two ideas to solve the sparsity problem. First, we divide the users’ transactions into epochs i.e. time periods, and identify epochs that are dominated by interests similar to the current interests of the active user. Thus, it can eliminate dissimilar transactions while making use of similar transactions that exist in prior epochs. Second, we use a taxonomy of items to model user item transactions in each epoch. This well captures the interests of users in each epoch even if there are few transactions. It suits the situations in which the items transacted by users dynamically change over time; the semantics behind classes do not change so often while individual items often appear and disappear. Fortunately, many taxonomies are now available on the web because of the spread of the Linked Open Data vision. We can now use those to understand dynamic user interests semantically. We evaluate our method using a dataset, a music listening history, extracted from users’ tweets and one containing a restaurant visit history gathered from a gourmet guide site. The results show that our method predicts user interests much more accurately than the previous time-decay-based method.