- 著者
-
久米 真司
古家 大祐
前川 聡
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.102, no.8, pp.2074-2081, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
- 参考文献数
- 15
加齢と共に多くの臓器で機能障害が出現する.腎臓も例外ではなく,多くの人で加齢と共に腎機能低下が生じる.加齢の要素単独で末期腎不全へ進行することは稀であるが,加齢に伴う腎機能障害は,生活の質の低下や医療介入の制約を生み出す.現在わが国では,栄養状態の改善ならびに医療技術の発展により寿命が大幅に延長しているが,一方で,このような健康寿命を如何に保証するかという新たな課題に直面している.この課題に対する数多くの研究成果として,加齢に伴う腎機能障害に関わる分子機構が徐々に明らかにされつつある.高血圧や糖尿病などの臨床的要素に加え,近年,angiotensin IIや酸化ストレス,Klotho,Sirt1,オートファジーといった腎局所の分子機構が腎老化と関連するという興味深い知見が得られている.本稿では,これら老化関連分子と腎老化との関わり,その治療標的としての可能性や問題点を概説させていただく.