著者
森上 太郎 大久保 雄 西川 拓也 上林 和磨 乙戸 崇寛 赤坂 清和
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.30-36, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
20

目的:異なる頚部および上肢角度にてDraw-inを行なった際の腹部筋活動を超音波画像装置や表面筋電計を用いて評価し,腹部深部筋の賦活化に有効な肢位を検証すること.対象:健常成人男性22人.方法:頚部肢位4通り,上肢肢位3通りを組み合わせて12通りの肢位でDraw-inを行ない,腹筋群の筋形態および筋活動の変化を各肢位で比較した.結果:頚自動屈曲では腹直筋,外腹斜筋の活動量が増加および腹横筋の筋厚が低下し,上肢挙上位では外腹斜筋の活動量が増加した.結論:頚自動屈曲あるいは上肢挙上させることで腹部表層筋の活動量が増加することから,腹横筋の選択的収縮には頚部および上肢を中間位で安静にさせることが有用であることが示唆された.
著者
中島 遼 平野 大輔 赤坂 清和 澤田 豊 乙戸 崇寛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.51-54, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

〔目的〕拮抗筋に対するストレッチが主動筋の関節トルクに与える影響について,筋硬度柔軟性,および3種類の速度による等速性運動時の膝関節伸展トルクにより検証した.〔対象〕立位体前屈で手掌が床につかない男子大学生20名.〔方法〕被験者をストレッチ実施群,非実施群に無作為に分け,介入は7日間のセルフストレッチとした.介入前後に筋硬度,下肢伸展挙上角度(以下SLR角度),指床間距離(以下FFD),角速度60,120,180°/secでの膝関節伸展トルクを測定した.〔結果〕実施群ではストレッチによる介入により,筋硬度には変化がなかったものの,SLR角度は有意に改善した.また,伸展-30°での膝関節伸展トルクは,180°/secで有意な増大を示した.〔結語〕拮抗筋の柔軟性の増加は,主動筋による速い運動での関節トルクを増加させる可能性が示唆された.
著者
溝口 靖亮 赤坂 清和 乙戸 崇寛 服部 寛 長谷部 悠葵
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-197_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】 バレーボール競技における腰痛は障害の多い部位の一つである.またスポーツ実施者における腰痛発生率は18歳以降で上昇するとされており,予防対策は18歳未満より始める必要がある.本研究では高校バレーボール選手に対するフィジカルチェック(FC)の結果を基に腰痛予防のための選択的トレーニングを行い,その効果について検討することを目的とした.【方法】 対象は2017年7~10月に埼玉県大会に出場する県立高校8校でバレーボール部に所属する18歳未満の男女123名であり,全例にFCを実施した.FCとして船橋整形外科式Kraus-Weber test,Ito test,heel-buttock distance,finger-floor distance(FFD),Side-FFD,フルスクワット,トーマステスト,胸腰椎回旋ROM,肩ROMを実施した.各FCに基準値を設け,かつ先行研究を基に各FCに対応する腰痛予防トレーニングを設定した.除外基準は現在腰痛を認める者,FCの基準を満たしている者とした.高校毎に封筒法を用いて,トレーニングを行う群(I群;36名)と通常の部活動を行う群(C群;40名)の2群に群分けした.I群はFCのフィードバックとFCに対応するトレーニングとして最大2種類を本人が選択し,部活動の一環(週4~5回)として実施した.C群は通常の部活動を実施した.介入期間は4週間であり,期間内のI群におけるトレーニング遵守率と両群の腰痛発生数,腰痛発生時期,腰痛誘発方向および腰痛強度(NRS),腰痛発生後に部活動を休んだかについて調査した.腰痛関連項目について記述統計ならびに群間比較を行い,腰痛発生数における群間の相対危険度(RR)をSPSS statistics25を用いて検討した(有意水準5%).【結果】 I群のトレーニング遵守率は100%であった.腰痛発生数はI群3名(8%),C群11名(28%)であり,I群で腰痛発生数が有意に低く(p=0.03),全例練習中に発生し,部活動を休むことはなかった.またRRは1.26(95%CI:1.02~1.57)であった.また,腰痛強度は2群間で有意差はなかった(p=0.09).腰痛誘発方向・部位では,I群で屈曲1例,伸展2例で全例真ん中と回答し,C群では屈曲3例,伸展7例,左回旋1例で真ん中5例,右3例,左2例,左右1例と回答した.【結論】 トレーニング遵守率が高かった理由は,FCにより選手が自分の身体機能を認識し興味を深めたこと、選手が希望するトレーニングを選択できるようにしたこと、トレーニング内容が簡単であったこと等が要因と考える.一般的な腰痛予防トレーニングにおいては教育と並行して運動を実施することが効果的であるとされている.本研究においてもFCよるフィードバックとFCの基準に満たない高校バレーボール選手に対して選択的トレーニングを行うことで腰痛発生の減少に寄与できる可能性が示唆された.一方で,腰痛発生者においては疼痛を抱えながら競技を継続しており,かつ腰痛誘発方向や部位が異なるため,重症化する前に的確に問診した上で治療を行う必要がある.【倫理的配慮,説明と同意】埼玉医科大学保健医療学部倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号: M-73)
著者
片桐 創太 中釜 大輔 乙戸 崇寛 澤田 豊 赤坂 清和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.699-702, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
7

〔目的〕肩甲帯と骨盤帯の回旋角速度の変化が反復投球によりどのように変化するか検討した.〔対象〕上下肢に整形外科疾患を有しない大学野球部員8名.〔方法〕投球数を60球とし,この投球の前半と後半のフォームを水平面よりハイスピードカメラを用いて撮影した.画像よりacceleration期の肩甲帯と骨盤帯の回旋角度,回旋角速度,およびステップ長を算出した.〔結果〕投球の後半で球速が維持または上昇した群では,球速が低下した群と比較して肩甲帯の相対的回旋角速度の変化が少なかった.〔結語〕反復投球時では投球速度を維持するため,無意識に肩甲帯の相対的回旋角速度の変化を最小限に調整している可能性が示唆された.