著者
赤坂 清和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.311-317, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
10

本稿では,理学療法の臨床場面で遭遇することが多い骨格筋異常に関連して,マッスルインバランスの考え方について整理した。緊張あるいは短縮した筋を伸張し,筋力低下している筋に対して筋力増強運動を行うことが重要であるが,それぞれ代表的な筋の検査方法と代償運動など検査施行上の注意点をあげた。また静的評価として姿勢,動的評価として歩行分析および片脚立位のみかたについて整理した。対象者の運動パターンを病態運動学的にとらえ,機能異常や能力低下などの評価と合わせて包括的に問題点を整理し,理学療法を適切に選択することにより,理学療法の効果を向上させる有効な手法となることを示した。
著者
赤坂 清和 高倉 保幸 陶山 哲夫 石川 雅樹
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.2-7, 2001 (Released:2003-07-03)
参考文献数
19
被引用文献数
1

高齢者の転倒による受傷が多い大腿骨頚部・転子骨折の理学療法を行う場合、寝たきりを予防するためにも出来るだけ早期より立位歩行練習を行うことが推奨されている。理学療法士は骨折部の固定性、術側下肢の荷重量、整形外科的治療後の合併症に対して充分な知識を持ち、患者が訴える疼痛を予測し、実際に疼痛がある場合には迅速かつ適切に対応できなくてはならない。本稿では、大腿骨頚部・転子部骨折の分類に対する理解を深め、大腿骨頚部骨折では、Cannulated Cancellous Hip Screw(CCHS)、ハンソンピン、セメント人工骨頭置換術における理学療法の実際とその注意点、大腿骨転子部骨折では、Compression Hip Screw(CHS)およびγnailによる骨接合術後の理学療法および理学療法を遂行する上での注意点を簡潔にまとめた。
著者
永井 秀幸 赤坂 清和 乙戸 崇寬 澤田 豊 大久保 雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1254, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】下腹部引き込み動作(以下ドローイン)は通常背臥位で行われる。しかし,腰痛者が職場で背臥位やバランスボールを使用することはスペースや安全面から困難であり,椅子座位でエクササイズを施行する方が機能的・現実的であると考えられる。そこで我々は,椅子座位で施行出来る効果的な腰痛予防エクササイズを模索するため,超音波診断装置を用いてバランスディスクの有無とドローインエクササイズを組み合わせた腹部深層筋の筋活動が高まる運動課題を検討した。【方法】対象は,本研究に対して同意を得られた健常男性20名(平均年齢:22.2±2.7歳)とした。測定機器は,超音波診断装置(ALOKA社製PROSOUND6)を用いた。基準となる安静背臥位で腹横筋と内腹斜筋の筋厚を測定した。運動課題は,椅子座位,バランスディスク座位とし,各々に①安静,②左片脚挙上(以下knee elevation),③下腹部引き込み動作(以下ドローイン),④ドローインしながら左片脚挙上(以下ドローイン+knee elevation)を行なう合計8種類とした。測定部位は,最下位肋骨の下端と腸骨稜の中点かつ前腋窩線上とし,測定はすべて右腹壁にて安静呼気時に測定した。また,前述の運動課題施行中の難易度をVASにて測定した。さらに,筋厚の安静背臥位との比(以下,安静時比)を算出した。筋厚の比較は腹横筋と内腹斜筋における椅子座位,ディスク座位の2つの姿勢と前述の4つの運動課題の2要因による2元配置分散分析と多重比較を行った。また,各課題における難易度のVASの比較についても同様に実施した。統計処理にはSPSS Statistics version 21を使用し,有意水準を5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,埼玉医科大学保健医療学部倫理員会による承認(M-37)を得て実施した。【結果】各運動課題における筋厚の安静時比は,腹横筋について椅子座位でのドローインでは2.1倍,ドローイン+knee elevationでは2.4倍,ディスク座位でのドローイン+knee elevationが2.5倍となった。腹横筋の筋厚は,姿勢による有意差はなく,運動課題では,安静<knee elevation<ドローイン<ドローイン+knee elevationとなり,不等号部分にて,有意に筋厚が増加した。内腹斜筋の筋厚は,椅子座位よりもディスク座位で有意に増加した。また,運動課題間の比較では,安静<knee elevation,ドローイン<ドローイン+knee elevationとなり,不等号部分にて有意に筋厚が増加した。椅子座位における4つの運動課題の難易度は,安静<knee elevation,ドローイン<ドローイン+knee elevationとなり,ディスク座位における難易度は,安静<ドローイン<knee elevation<ドローイン+knee elevationとなり,不等号部分にて有意に難易度が増加した。各運動課題における椅子座位とディスク座位との難易度は,全てにおいてディスク座位の方が,難易度が高い結果となった。【考察】各運動課題における筋厚の安静時比の結果は,バランスボールの先行研究(Rasouri O, et al. 2011)と同程度であり,バランスディスクはバランスボールと同程度の効果を示唆した。座面の不安定性では,ローカルよりもグローバルマッスルが,有意に活動が増大したことを示唆した。また,knee elevationよりもドローインが腹横筋の活動を増大させ,内腹斜筋は両課題の有意差はみられなかった。一方,ドローインの影響は内腹斜筋より腹横筋の方が大きく,先行研究(Urquhart DM, et al. 2005)と同様の結果となった。ドローイン+knee elevation時の腹横筋・内腹斜筋の筋厚が有意に高くなった理由は,大腰筋の収縮が腰椎・骨盤の固定性をさらに高める必要性を生じさせ,両筋の筋活動がより増加したと推察する。これらから,内腹斜筋の過活動を抑えながら腹横筋の筋厚を高めるには椅子座位でのドローインが有用であり,両筋の活動増加を目的とする場合は難易度が高くなるが,椅子座位でのドローイン+knee elevationが有用であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】腹横筋について,バランスディスクの影響は少なく,knee elevationよりドローインの影響が大きいことが示唆された。また,ドローインでknee elevationさせると,腹横筋と内腹斜筋の筋厚が増加するととともに,難易度が増加することが示唆された。これらの結果は,臨床での腰痛者への運動療法を行う際,運動の選択における基礎的知見になると考える。
著者
森上 太郎 大久保 雄 西川 拓也 上林 和磨 乙戸 崇寛 赤坂 清和
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.30-36, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
20

目的:異なる頚部および上肢角度にてDraw-inを行なった際の腹部筋活動を超音波画像装置や表面筋電計を用いて評価し,腹部深部筋の賦活化に有効な肢位を検証すること.対象:健常成人男性22人.方法:頚部肢位4通り,上肢肢位3通りを組み合わせて12通りの肢位でDraw-inを行ない,腹筋群の筋形態および筋活動の変化を各肢位で比較した.結果:頚自動屈曲では腹直筋,外腹斜筋の活動量が増加および腹横筋の筋厚が低下し,上肢挙上位では外腹斜筋の活動量が増加した.結論:頚自動屈曲あるいは上肢挙上させることで腹部表層筋の活動量が増加することから,腹横筋の選択的収縮には頚部および上肢を中間位で安静にさせることが有用であることが示唆された.
著者
葉 清規 ⾚坂 清和 横⼭ 茂樹 対⾺ 栄輝
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202302, (Released:2023-06-28)
参考文献数
6

【⽬的】本調査では,理学療法ガイドライン第2版における背部,股関節,膝関節,⾜関節・⾜部機能障害理学療法ガイドラインの認知度および実践状況について報告する。【⽅法】運動器機能障害の理学療法ガイドラインについて,回答者属性,ガイドラインの認知度および実践状況のアンケート調査を⾏った。そのうち背部,股関節,膝関節,⾜関節・⾜部機能障害について得られた回答を分析した。【結果】ガイドラインの実践状況について,患者への説明や理学療法の選択として実践していることが多かった。各CQ において,臨床課題と概ね合致しており,アウトカムの改善は,「とても改善が得られた」,「わずかに改善が得られた」両者の回答割合が多かった。【結論】背部,股関節,膝関節,⾜関節・⾜部機能障害理学療法ガイドラインについて,各CQ における臨床課題との合致度,アウトカムの改善から,その有効性が⽰された。
著者
中島 遼 平野 大輔 赤坂 清和 澤田 豊 乙戸 崇寛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.51-54, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

〔目的〕拮抗筋に対するストレッチが主動筋の関節トルクに与える影響について,筋硬度柔軟性,および3種類の速度による等速性運動時の膝関節伸展トルクにより検証した.〔対象〕立位体前屈で手掌が床につかない男子大学生20名.〔方法〕被験者をストレッチ実施群,非実施群に無作為に分け,介入は7日間のセルフストレッチとした.介入前後に筋硬度,下肢伸展挙上角度(以下SLR角度),指床間距離(以下FFD),角速度60,120,180°/secでの膝関節伸展トルクを測定した.〔結果〕実施群ではストレッチによる介入により,筋硬度には変化がなかったものの,SLR角度は有意に改善した.また,伸展-30°での膝関節伸展トルクは,180°/secで有意な増大を示した.〔結語〕拮抗筋の柔軟性の増加は,主動筋による速い運動での関節トルクを増加させる可能性が示唆された.
著者
溝口 靖亮 赤坂 清和 乙戸 崇寛 服部 寛 長谷部 悠葵
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-197_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】 バレーボール競技における腰痛は障害の多い部位の一つである.またスポーツ実施者における腰痛発生率は18歳以降で上昇するとされており,予防対策は18歳未満より始める必要がある.本研究では高校バレーボール選手に対するフィジカルチェック(FC)の結果を基に腰痛予防のための選択的トレーニングを行い,その効果について検討することを目的とした.【方法】 対象は2017年7~10月に埼玉県大会に出場する県立高校8校でバレーボール部に所属する18歳未満の男女123名であり,全例にFCを実施した.FCとして船橋整形外科式Kraus-Weber test,Ito test,heel-buttock distance,finger-floor distance(FFD),Side-FFD,フルスクワット,トーマステスト,胸腰椎回旋ROM,肩ROMを実施した.各FCに基準値を設け,かつ先行研究を基に各FCに対応する腰痛予防トレーニングを設定した.除外基準は現在腰痛を認める者,FCの基準を満たしている者とした.高校毎に封筒法を用いて,トレーニングを行う群(I群;36名)と通常の部活動を行う群(C群;40名)の2群に群分けした.I群はFCのフィードバックとFCに対応するトレーニングとして最大2種類を本人が選択し,部活動の一環(週4~5回)として実施した.C群は通常の部活動を実施した.介入期間は4週間であり,期間内のI群におけるトレーニング遵守率と両群の腰痛発生数,腰痛発生時期,腰痛誘発方向および腰痛強度(NRS),腰痛発生後に部活動を休んだかについて調査した.腰痛関連項目について記述統計ならびに群間比較を行い,腰痛発生数における群間の相対危険度(RR)をSPSS statistics25を用いて検討した(有意水準5%).【結果】 I群のトレーニング遵守率は100%であった.腰痛発生数はI群3名(8%),C群11名(28%)であり,I群で腰痛発生数が有意に低く(p=0.03),全例練習中に発生し,部活動を休むことはなかった.またRRは1.26(95%CI:1.02~1.57)であった.また,腰痛強度は2群間で有意差はなかった(p=0.09).腰痛誘発方向・部位では,I群で屈曲1例,伸展2例で全例真ん中と回答し,C群では屈曲3例,伸展7例,左回旋1例で真ん中5例,右3例,左2例,左右1例と回答した.【結論】 トレーニング遵守率が高かった理由は,FCにより選手が自分の身体機能を認識し興味を深めたこと、選手が希望するトレーニングを選択できるようにしたこと、トレーニング内容が簡単であったこと等が要因と考える.一般的な腰痛予防トレーニングにおいては教育と並行して運動を実施することが効果的であるとされている.本研究においてもFCよるフィードバックとFCの基準に満たない高校バレーボール選手に対して選択的トレーニングを行うことで腰痛発生の減少に寄与できる可能性が示唆された.一方で,腰痛発生者においては疼痛を抱えながら競技を継続しており,かつ腰痛誘発方向や部位が異なるため,重症化する前に的確に問診した上で治療を行う必要がある.【倫理的配慮,説明と同意】埼玉医科大学保健医療学部倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号: M-73)
著者
赤坂 清和 福田 敏幸 澤田 豊 泉 美帆子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.349-356, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
76

スポーツ理学療法のエビデンスを調べるために,2000年以降のシステマティックレビュー76件を抽出した。システマティックレビューの対象となった身体部位は,膝関節・下腿,足関節・足部が多く,問題では,疼痛,筋力低下,運動耐容能低下などが多かった。理学療法の治療としては,ストレッチ・モビライゼーション・マッサージ,筋力増強,装具・テーピング,スプリント,物理療法などが多かった。これらの特徴を明らかにすると共に,科学的根拠の観点にてスポーツ理学療法の実践方法を紹介する。
著者
片桐 創太 中釜 大輔 乙戸 崇寛 澤田 豊 赤坂 清和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.699-702, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
7

〔目的〕肩甲帯と骨盤帯の回旋角速度の変化が反復投球によりどのように変化するか検討した.〔対象〕上下肢に整形外科疾患を有しない大学野球部員8名.〔方法〕投球数を60球とし,この投球の前半と後半のフォームを水平面よりハイスピードカメラを用いて撮影した.画像よりacceleration期の肩甲帯と骨盤帯の回旋角度,回旋角速度,およびステップ長を算出した.〔結果〕投球の後半で球速が維持または上昇した群では,球速が低下した群と比較して肩甲帯の相対的回旋角速度の変化が少なかった.〔結語〕反復投球時では投球速度を維持するため,無意識に肩甲帯の相対的回旋角速度の変化を最小限に調整している可能性が示唆された.
著者
大西 秀明 八木 了 大山 峰生 相馬 俊雄 伊橋 光二 小野 武也 赤坂 清和 半田 康延
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.116, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】歩行や立位保持時の膝窩筋の筋活動については,過去にいくつかの報告があるが,起立動作時における膝窩筋の活動を報告したものはみない.今回,我々は起立動作時における膝窩筋の筋活動を解析したので報告する.【方法】対象は,膝関節に損傷の既往のない健常男性8名(21歳_-_36歳)であった.被験者には実験内容を十分に説明した上でインフォームド・コンセントを得た.運動課題は高さ40cmの椅子からの起立動作であり,足関節が軽度背屈位の肢位から動作を開始した.起立の速度は自然速度とし,動作遂行時における膝窩筋および外側広筋からEMGを導出した.膝窩筋のEMGの導出には双極性のワイヤー電極を使用し,外側広筋のEMG導出には表面電極を使用した.右側の膝窩筋に25ゲイジのガイド針で双極ワイヤー電極を刺入し,電気刺激で確認した後,ガイド針を抜去して電極を留置した.導出されたEMGは,バンドパスフィルタ処理(膝窩筋;10Hzから1000Hz,外側広筋;10Hzから500Hz)を行った後,全波整流し移動平均処理を行った.さらに,最大筋収縮時に得られた値を基準にして正規化した(%EMG). 動作分析には床反力計(Kistler)と三次元動作解析装置(Oxford Metrics)を使用し,頭部が動きだした時期から臀部が椅子から離れた時期までの期間を第一相とし,臀部が椅子から離れてから膝関節が完全伸展するまでの期間を第二相と規定し,各被験者が起立動作に要した時間を100%として動作時間を正規化した.【結果】運動開始から直立位までに要した時間は1969±394(平均±標準偏差)msecであり,第一相が768±166msec(39.4±6.4%),第二相が1201±298msec(60.6±6.4%)であった. 膝窩筋の筋活動をみると,動作開始時にわずかな活動(15%EMG)がみられ,徐々に活動量が増加し,殿部が椅子から離れる前(32%time)に最も強い活動(29 %EMG)を示した.臀部が椅子から離れた直後から60%timeまで膝窩筋の活動は急激に減少し,60%time以降では殆ど筋活動が観察されなかった.外側広筋の筋活動をみると,第一相初期(0から20%time)では殆ど筋活動がみられず,20%timeから活動量が増加し,臀部が椅子から離れる直前(37%time)に最も強い活動 (33%EMG)を示し,その後,動作が終了するまで徐々に活動量が低下していくのが観察された.【考察】我々は過去に歩行,立位保持,階段昇降動作時における膝窩筋の筋活動を解析し,膝窩筋が大腿四頭筋と同時期に活動することを報告してきた.しかし,本研究の結果においては先行研究と異なり,外側広筋の活動に先駆けて膝窩筋の活動がみられた.これは,体幹を前屈する際に大腿骨が脛骨に対して前方移動するのを防ぐためではないかと推測できる.
著者
加藤 剛平 田宮 菜奈子 柏木 聖代 赤坂 清和
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-26, 2011-02-20

【目的】地域在住要介護者等の外出頻度に関連する環境因子を横断研究により検討する。【方法】通所リハビリテーション利用者(77名)を対象にした。多重ロジスティック回帰分析を用いて,外出頻度が低い状態に関連する利用者の基本属性および環境因子を探索した。一週間の外出頻度を従属変数とし,性別,年齢,疾病の種類,日常生活活動能力,利用施設,一週間の通所リハビリテーション利用日数,環境因子を独立変数とした。環境因子は,Home And Community Environment(HACE)日本語版を用いて評価した。【結果】地域の障害の多さを示すHACE日本語版の地域移動性得点が高いことは,一週間の外出頻度が通所リハビリテーションの利用を除くと「まったく外出しなかった(調整オッズ比[95%信頼区間]:8.84[1.80-67.02])」と独立に関連した。また,通所リハビリテーションを外出頻度に含めた二次的分析でも同様の結果が得られた。【結論】地域の物的障害が多いことは,地域在住要介護者等の低い外出頻度に関連する環境要因として重要である。