著者
中村 隆之 横見瀬 裕保 磯和 理貴 平田 敏樹 福瀬 達郎 水野 浩 乾 健二 池 修 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.7, pp.817-821, 1996-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例1は45歳,女性,症例2は50歳,男性,いずれの症例も検診で肺野に孤立性銭形陰影を発見された来院した.その他の諸検査で異常を認めなかったが,肺癌を否定できないため肺部分切除を行った.病現組織で壊死を伴う肉芽腫様組織中に犬糸状虫の虫体を認め肺犬糸状虫症と診断した.肺犬糸状虫症の報告は近年増加しているが,特異的所見に乏しく非観血的診断が困難である.銭形陰影を呈する肺病変,特に肺癌との鑑別診断に肺犬糸状虫症を考慮する必要がある.
著者
上林 孝豊 柳原 一広 宮原 亮 板東 徹 長谷川 誠紀 乾 健二 和田 洋巳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.566-569, 2003-07-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

目的・対象: 当院で手術を施行し, 病理組織学的に肺カルチノイドと診断された20症例 (定型15例, 非定型5例) の臨床的検討を行った.結果: 定型, 非定型の5年生存率は, それぞれ86.6%, 60%であった.定型の1期症例は術式に関わらず全例, 無再発で生存中である.非定型は全例, 葉切除および肺門縦隔リンパ節郭清が行われていた.1期3症例は, いずれも無再発で生存中であるが, T2N2のIIIA期症例, T4NOのIIIB期症例は, 集学的治療にも関わらずそれぞれ術後10ヵ月後, 61ヵ月後に遠隔転移にて癌死した.定型では観察期間1~250ヵ月間 (平均観察期間72.8ヵ月) において, 5年生存率は86.6%であった.非定型では観察期間10~251ヵ月間 (平均観察期間121, 4ヵ月) において5年生存率は60%であった.まとめ: T2の定型カルチノイドに対する縮小手術の可能が示唆された.またIII期以上の非定型カルチノイドに対しては有効な集学的治療の確立が望まれる.
著者
里田 直樹 藤永 卓司 福瀬 達郎 磯和 理貴 乾 健二
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.596-601, 2002-05-15
参考文献数
16
被引用文献数
5 2

肺内穿孔をきたし緊急手術を行った縦隔奇形腫の1例を経験した.症例は18歳,男性.2001年4月の検診にて右肺門部に腫瘤陰影を認め同月の胸部CTで前縦隔腫瘍と診断し手術予定で外来経過観察をしていたが,2001年5月17日より胸痛,血痰,高熱が出現し,同年5月20日右中下肺野に浸潤影を認めたため当科緊急入院した.エコーガイド下縦隔腫瘍穿刺吸引による腫瘍内溶液の性状はアミラーゼ0IU/l,リパーゼ4U/l,トリプシン19ng/lと低値であり,腫瘍内溶液は黄色ブドウ球菌に感染していた.全身状態の悪化が著しいと考えたため,2001年5月22日縦隔腫瘍摘出術及び右肺中葉切除術を行った.摘出標本の病理組織学的検査で縦隔奇形腫と診断された.術前に上昇していたSCC抗原,CA19-9,可溶性IL-2レセプターは術後正常化しており嚢胞内産生が考えられた.