著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

漢方薬として知られるラカンカには、その果実に強い甘味物質であるトリテルペノイド配糖体(モグロシドV)が含まれ、肥満者や糖尿病患者向け低カロリー甘味料として市販されている。本研究では、ラカンカの抗糖尿病作用について検討し、インスリン分泌促進活性を見いだした。また、動脈硬化症予防の観点から、コレステロール誘導性酸化的ストレスに対する抑制効果を明らかにした。さらに、モグロシドV とそのアグリコンであるモグロールの消化・吸収・体内動態を検討した。
著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ビタミンB12酵素であるメチルマロニル-CoAムターゼの活性、発現レベルについて、B12欠乏の影響について欠乏ラットを作製し検討した。その結果、肝臓におけるポロ酵素活性は、正常なラットにおいてもトータル活性(ホロ+アポ酵素活性)の5%以下であった。一方、B12欠乏ラットではホロ活性はほぼ消失したが、トータル活性の異常な上昇が観察された。ウエスタンブロッティングを行ったところ、このトータル活性の異常な上昇は、本酵素タンパク質の異常な増加によることが確認された。一方、real-time PCR法でmRNAレベルを調べたところ、欠乏ラットでは正常ラットに比べむしろ低下していた。したがって、B12欠乏によるメチルマロニル-CoAムターゼタンパク質の異常な増加は、転写レベルによるものではなく、おそらく翻訳レベルもしくはタンパク質の安定性などの変化に起因するものと考えられる。COS-7細胞を用いて培養細胞系でも検討したが、どうようにB12欠乏によるメチルマロニル-CoAムターゼタンパク質の異常な増加が観察された。B12欠乏ラットにおける肝臓機能について検討した。その結果、血漿アラニンアミノトランスフェラーゼが異常に上昇しており、肝障害の発症が示された。また、細胞増殖の指標であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現レベルを調べたところ,欠乏ラットでは肝臓の細胞増殖が異常に活性化していることが示唆された。これらの原因についてしらべたところ、肝障害はメチルマロニル-CoAムターゼホロ活性の低下に起因すること、一方細胞増殖の異常な活性化はもう1つのB12酵素であるメチオニン合成酵素が関係していることを見いだした。
著者
松本 隆仁 乾 博 宮武 和孝 中野 長久 村上 克介
出版者
生態工学会
雑誌
Eco-Engineering (ISSN:13470485)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.223-227, 2007-10-31 (Released:2008-03-29)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We have investigated the effects of light quality and CO2 concentration (0.04% and 10%) on growth of Euglena as a fundamental study. Useful nutrients such as high quality protein and fatty acid, as well as specific saccharide (β-1,3 glucan), contained in Euglena are now being highlighted. In the present study, we investigated the effects of light quality and CO2 concentration on the production of protein, paramylon and fatty acid. Under the CO2 concentration of 0.04%, protein contents in Euglena cultured in red and blue light were 105.0 μg 106 cells-1, paramylon 48.2 μg 106 cells-1, and in blue light fatty acid was 20.3 μg 106 cells-1, higher than those in other light conditions. Whereas under the CO2 concentration of 10%, protein contents in Euglena cultured in red and blue light were 125.6 μg 106 cells-1, paramylon 57.6 μg 106 cells-1, and in blue light fatty acid 29.7 μg 106 cells-1, higher than those in ordinary air conditions (with 0.04% CO2). No significant differences in these nutrient contents were found between the four light quality treatments under the CO2 concentration of 10%. As previous data we showed growth of Euglena depended on chlorophyll contents, protein and paramylon contents depended on chlorophyll contents, too. It was concluded that Euglena would be good nutrition source when they are cultured in each light conditions under CO2 concentration of 10%, so CO2 discharged from industrials, power stations and so on, will be utilized to this new food production system, effectively.
著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満モデルマウス(KK-Ayマウス)に高スクロース食もしくは高フルクトース食を摂取させると、盲腸内の細菌叢に変化が起こり、特にビフィズス菌の減少が見られた。このような変化は高脂肪食でも見られるものであり、フルクトース過剰摂取に起因した脂肪性肝炎の発症に関係していると考えられる。ユーカリ抽出物を摂取させると腸管におけるフルクトース吸収が抑制され、高フルクトース食に起因した脂肪肝が抑制されるが、その活性成分としてテリマグランジンIを見いだした。また、ユーカリ抽出物以外に、バナバ、グァバ、オリーブ抽出物にもフルクトース吸収阻害活性があり、高フルクトース食に起因した脂肪肝の抑制に有効であった。