著者
小野 裕之 八尾 建史 藤城 光弘 小田 一郎 上堂 文也 二村 聡 矢作 直久 飯石 浩康 岡 政志 味岡 洋一 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.273-290, 2020 (Released:2020-02-20)
参考文献数
138
被引用文献数
2

早期胃癌に対する内視鏡治療が急速な拡がりを見せている現況において,日本消化器内視鏡学会は,日本胃癌学会の協力を得て,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,“胃癌に対するESD/EMRガイドライン”を2014年に作成した.この分野においてはエビデンスレベルが低いものが多く,コンセンサスに基づき推奨度を決定しなければならないものが多かったが,近年,よくデザインされた臨床研究が増加している.新しい知見を踏まえて,適応・術前診断・手技・根治性の評価・偶発症・術後長期経過・病理の7つのカテゴリーに関して,改訂第2版を刊行し,現時点での指針とした.
著者
渡邉 隆 青柳 邦彦 船越 禎広 山本 智文 江口 浩一 山口 真三志 冨岡 禎隆 二村 聡 向坂 彰太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.464-469, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
28
被引用文献数
1

症例は59歳,男性.元来,愛煙家であり,25本/日,35年間の喫煙歴があった.左肺巨大嚢胞を認めたため禁煙を開始したところ,1カ月後より水様性下痢と血便が出現し,当科受診となった.下部消化管内視鏡検査にて全大腸にびまん性の発赤粗造粘膜と血管透見像の消失を認めた.除外診断を行い,特徴的な下部消化管内視鏡と生検組織所見,および再燃寛解を繰り返す臨床経過より潰瘍性大腸炎と診断した.本症例は,禁煙を契機に発症したと考えられ,喫煙と潰瘍性大腸炎の関連を考察するうえで興味深い.中高年発症の潰瘍性大腸炎症例では,喫煙歴は重要な因子であると考えられ報告した.
著者
二村 聡 田邉 寛 小野 貴大 太田 敦子 久部 高司 岩下 明德
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.359-362, 2021-03-25

概念・定義 T細胞リンパ腫はT細胞(Tリンパ球)を正常対応細胞とするリンパ系腫瘍と定義される.これに基づくと,同疾患は未熟T細胞に近い性質を示す腫瘍細胞から成るTリンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-lymphoblastic leukemia/lymphoma)と,より分化した成熟T細胞に近い性質を示す腫瘍細胞から成る末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma;PTCL)に大別される.2016年に概要が公表され1),翌2017年に公刊された最新のWHO分類2)に掲載されているT細胞リンパ腫の病型・疾患単位の多くは,このPTCLに帰属する.なお,末梢性という用語はT細胞の分化・成熟段階において末梢に位置し,より分化・成熟しているという意味で使われており,決して腫瘍の発生部位を意味するものではない. 他稿で解説されているB細胞リンパ腫の各病型は,B細胞の生物学的な各分化段階と明確に関連づけられており,その分類はかなり整然としている.一方,胸腺以降の末梢性T細胞の細胞形態やリンパ組織における分布域はT細胞の分化段階とはあまり関連しておらず,T細胞リンパ腫では正常対応細胞が細胞形態学的にも免疫組織化学的にも容易に識別できない.このことがT細胞リンパ腫の分類をいっそう困難にしている.