著者
渡邉 隆 青柳 邦彦 船越 禎広 山本 智文 江口 浩一 山口 真三志 冨岡 禎隆 二村 聡 向坂 彰太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.464-469, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
28
被引用文献数
1

症例は59歳,男性.元来,愛煙家であり,25本/日,35年間の喫煙歴があった.左肺巨大嚢胞を認めたため禁煙を開始したところ,1カ月後より水様性下痢と血便が出現し,当科受診となった.下部消化管内視鏡検査にて全大腸にびまん性の発赤粗造粘膜と血管透見像の消失を認めた.除外診断を行い,特徴的な下部消化管内視鏡と生検組織所見,および再燃寛解を繰り返す臨床経過より潰瘍性大腸炎と診断した.本症例は,禁煙を契機に発症したと考えられ,喫煙と潰瘍性大腸炎の関連を考察するうえで興味深い.中高年発症の潰瘍性大腸炎症例では,喫煙歴は重要な因子であると考えられ報告した.
著者
入江 真 横山 圭二 櫻井 邦俊 岩下 英之 上田 秀一 森原 大輔 西澤 新也 阿南 章 竹山 康章 坂本 雅晴 岩田 郁 釈迦堂 敏 早田 哲郎 向坂 彰太郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.169-174, 2010 (Released:2010-05-11)
参考文献数
15

症例は52歳,男性.約6年前より高血圧,膝関節痛に対して,アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムを処方されていた.2009年6月上旬より全身倦怠感,食欲不振が出現し近医入院.入院後も黄疸,肝障害が改善しない為,原因精査目的にて当科紹介入院となった.アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムによる薬物性肝障害を疑い,薬物性肝障害診断基準を用いてスコアリングを行った結果,胆汁うっ滞型,スコアは9点:「可能性が高い」と判定した.アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムに対して薬物リンパ球刺激試験(DLST)を施行,このうちロキソプロフェンナトリウムのみ陽性であった.また,肝生検組織像では,小葉内に胆汁栓を認め,門脈域では好中球浸潤,門脈域の線維性拡大を認めた.今回,DLSTおよび肝生検が診断の一助となった,長期アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウム服用にて高度の黄疸を伴った薬物性肝障害の1例を経験したので報告する.