著者
平 あき津 五十嵐 崇訓 行場 次朗
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-20-00063, (Released:2021-04-15)
参考文献数
7

This study investigated the relationship between facial youthfulness and facial areas. The cognitive model reported previously shows that youthfulness is a complex impression composed of estimated age, lively impression, and clean impression. Eight participants rated these impressions of seven facial images using Scheffe’s paired comparison method. The images consisted of an average face of 19 women in their 50s and modified average faces by adding moderate or severe wrinkles on the forehead, under the eyes, or around the mouth of the average face. Additionally, eye-movements were monitored during the rating of the average face. These investigations revealed that youthfulness and estimated age related to forehead and under-eye areas, whereas lively impression and clean impression related to under-eye area. Further analysis suggested that youthfulness had a combined feature of other three impressions. These results support the cognitive model of youthfulness reported previously and demonstrate that important facial areas vary with impressions.
著者
五十嵐 崇訓
出版者
Japan Society of Colour Material
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.156-163, 2012-04-20
被引用文献数
2 4

ファンデーションの開発では,ファンデーションを塗布した肌の色,つや,透過性を適正化するために,その光学特性の制御法が重要な技術テーマとなっている。このようなファンデーションの光学特性制御はおもに二つのアプローチにより達成されている。一つ目は,目的の光学特性を発現する粉体を合成し,この粉体をファンデーションに配合することで目的の特性を作り出すものである。二つ目は,ファンデーションを肌上に塗布した際に形成される化粧膜に,目的の光学特性を発現する構造を与えるものである。いずれの方法においても,光学特性の中でもとくに重要な反射に着目した研究が数多く報告されている。本報では,とくに消費者からの期待が高い,透明感のある美しい化粧仕上がりを目的とした先行研究をおもな事例として取り上げながら,ファンデーションの反射特性の具体的な制御法の概要を紹介する。さらに,この概要を受けて,今後の技術課題についてコメントする。
著者
平 あき津 南 浩治 五十嵐 崇訓 行場 次朗
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.65-71, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
19

This study aimed to construct a cognitive model of facial youthfulness. First, we investigated which higher-order impressions (e.g. lively, clean, etc.) compose youthfulness on the hypothesis that youthfulness is a complex impression. Then, we investigated which lower-order impressions (e.g. wrinkles, translucency, etc.) account for the constituent impressions of youthfulness. Eight trained participants rated 27 impressions of 32 women’s facial images in their 50s. Factorial analysis and multiple regression analysis were conducted on the rating data. Our investigation revealed that youthfulness consisted of lively impression and clean impression in addition to estimated age, while lively impression was the main constituent of youthfulness. Further analyses showed that those three impressions respectively related to strong appearance of eyes, perceived translucency, and wrinkled appearance. Based on these results, we proposed a cognitive model representing that youthfulness is a complex impression composed of three higher-order impressions, which are affected by particular facial features.
著者
五十嵐 崇訓
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.65, 2018-03-01 (Released:2018-06-09)
参考文献数
87
被引用文献数
1

肌は,人間にとって最も“目にする”身近な認識対象の一つである.そのため,肌の外観(アピアランス)は,学術・産業分野における重要な研究の対象として研究が進められている.この際,肌のアピアランスの特徴を決定する重要な因子の一つである“色”は,不可欠な評価対象である.そのため,肌の色彩を理解する上で有用となる様々な観点からの研究が展開されている.本報では,このような多岐にわたる研究分野の中から,肌色とその周辺に関する基礎知見として三つの観点から先行研究をレビューする.まず,肌色に関する一般的な評価知見として,(1)データベースに基づいた肌色特徴に関する最近の研究を振り返る.次に,しばしば肌色の理解において必要となる生理学的観点からの評価知見として,(2)分光データや画像データなどから肌の主要色素(メラニンとヘモグロビン)を定量化・指標化するための解析法の事例をレビューする.最後に,これらの評価では捉えづらいと考えられる肌特有の評価知見として,(3)肌・顔に特徴的な知覚を扱った最近の研究事例の一端を振り返る.
著者
度会 悦子 五十嵐 崇訓 渡邉 美香子 矢後 祐子 福田 啓一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.218-225, 2015
被引用文献数
1

「化粧よれ」とは, ファンデーションがほうれい線や目元などのシワに経時で溜まる化粧崩れ現象である。化粧がよれると, シワが目立ち, 疲れまたは老けた印象を与える。ゆえに, 多くの研究が着目してきた皮脂による化粧崩れ現象だけでなく, 顔の動きによる化粧よれを防止する技術が必要となる。本研究では, 化粧よれ防止技術の開発を目的とし, 化粧よれの①メカニズム探索, ②定量的評価および, ③処方への応用を行った。その結果, 化粧よれは, ファンデーションの粉が皮脂に濡れて, シワが動くことにより, ファンデーションの粉が「とれ」および「凝集」を引き起こすことで生じることを見出した。さらに, メカニズムを基に化粧よれをモデル系で再現し, 再現した化粧よれの画像をヒストグラム解析することで, 化粧よれ(ファンデーションの「とれ」および「凝集」)の定量的評価方法を開発した。最後に, この評価方法を用いて化粧品原料をスクリーニングし, 弾性ポリマーと高重合シリコーンの組み合わせが化粧よれを防ぐことを見出した。この組み合わせを処方に応用することで, 化粧よれを防ぐ化粧下地の開発へ展開することができた。
著者
菊池 麻実子 五十嵐 崇訓 佐藤 平行 藤村 努
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.114-117, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

医療や化粧品分野においては,色素沈着や炎症等の状態評価が求められる.この評価では,メラニンやヘモグロビンを主とする皮膚内色素の定量化が不可欠である.色素の定量化法として,少数の波長における皮膚の分光吸収率を用いてメラニン・ヘモグロビン量にそれぞれ相関するインデックス値(“メラニンインデックス”,“紅斑インデックス”)を算出する手法がすでに提案され,本手法をベースとした機器が開発されるなど,広く利用されている.しかし,本手法には,メラニンインデックス値にデオキシヘモグロビンの吸収に由来する影響が含まれるなど,定量化精度における課題が指摘されてきた.本研究では,この課題を解決するため,メラニンとヘモグロビンの分離精度を向上した新たな算出式を考案した.また,色素状態の理解において,色素の空間分布を把握することが重要であるため,スペクトルカメラを用いて皮膚の分光データを空間分布として取得し,メラニンインデックスと紅斑インデックスの画像化を試みた.これにより,インデックス算出式について画像を用いた検証実験が可能となり,メラニン・紅斑インデックスの空間分布を精度よく可視化できる技術を確立した.
著者
度会 悦子 五十嵐 崇訓 渡邉 美香子 矢後 祐子 福田 啓一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.218-225, 2015 (Released:2017-03-21)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

「化粧よれ」とは, ファンデーションがほうれい線や目元などのシワに経時で溜まる化粧崩れ現象である。化粧がよれると, シワが目立ち, 疲れまたは老けた印象を与える。ゆえに, 多くの研究が着目してきた皮脂による化粧崩れ現象だけでなく, 顔の動きによる化粧よれを防止する技術が必要となる。本研究では, 化粧よれ防止技術の開発を目的とし, 化粧よれの①メカニズム探索, ②定量的評価および, ③処方への応用を行った。その結果, 化粧よれは, ファンデーションの粉が皮脂に濡れて, シワが動くことにより, ファンデーションの粉が「とれ」および「凝集」を引き起こすことで生じることを見出した。さらに, メカニズムを基に化粧よれをモデル系で再現し, 再現した化粧よれの画像をヒストグラム解析することで, 化粧よれ(ファンデーションの「とれ」および「凝集」)の定量的評価方法を開発した。最後に, この評価方法を用いて化粧品原料をスクリーニングし, 弾性ポリマーと高重合シリコーンの組み合わせが化粧よれを防ぐことを見出した。この組み合わせを処方に応用することで, 化粧よれを防ぐ化粧下地の開発へ展開することができた。