著者
五十嵐 悟 長渡 真弓 細井 俊宏 松井 晋
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.147-160, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
26

福島第一原子力発電所の事故により放射性セシウムが降下した環境において,事故前から長期的な鳥類相が調べられている地域は非常に限られる.福島市小鳥の森における2003年4月から2013年3月までの10年間(合計3,078日間)に長期的に記録した合計103種の鳥類の在/不在データを集計した結果,一年を通してみられる留鳥34%(35種),平均3.7ヶ月滞在する夏鳥9.7%(10種),平均4.4ヶ月滞在する越冬種18.4%(19種),渡り鳥4.9%(5種),不定期飛来種11.7%(12種),偶発的飛来種21.4%(22種)となった.各種の出現率の経年的な増減を調べると,原発事故以前からメジロZosterops japonicusは繁殖期と越冬期,キビタキFicedula narcissina,ツバメHirundo rusticaは繁殖期,ヒガラPeriparus aterは越冬期に増加傾向が見られ,スズメPasser montanusは減少傾向が見られた.原発事故後に繁殖期におけるウグイスCettia diphone,ハクセキレイMotacilla alba,スズメの出現率が上昇し,アオゲラPicus awokera,センダイムシクイPhylloscopus coronatus,キセキレイMotacilla cinereaの出現率は低下した.
著者
松井 晋 Audrey STERNALSKI Christelle ADAM-GUILLERMIN 笠原 里恵 五十嵐 悟 横田 清美 渡辺 守 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.169-174, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
21
被引用文献数
2

福島第一原子力発電所事故から1年後の2012年に東京,長野,茨城,福島を含む地上から1 mの空間線量率が0.11-21.4(μGy/h)の地点で回収したカラ類(シジュウカラParus minorもしくはヤマガラPoecile varius)の主にコケ類を用いて作られた巣材の放射性セシウム[Cs-134+Cs-137]濃度は6.6-6,128.9(Bq/g dry weight, n=14)となり,空間線量率が高い場所で採集した巣材ほど,巣材の放射性セシウム濃度が高くなる傾向があった.これらの結果は,地上1 mの空間線量率は相対的な巣材の汚染レベルの指標になりうることを示唆し,空間線量率の高い地域ほど巣材に含まれる放射性物質から繁殖期に卵,雛,親が近接的に受ける外部被曝線量率が増加すると考えられた.
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2585-2594, 2001-12-01
被引用文献数
28

近傍明度の符合変化を評価するための周辺増分符合相関画像を新たに提案し, これに基づいて, (1)出現物体の明度分布によらず, (2)背景の明度変化の影響を受けない, 画像時系列からの出現物体のロバストな検出・分離抽出手法を提案する.周辺増分符合相関画像は, 着目画像の近傍明度の増減傾向のみに基づくために, 系列にわたる明度変動に対して強いロバスト性をもち, 明度変化を伴っても本来のテクスチャパターンのみの類似を検出するという特性を実現している.また, 複雑な前処理やパラメータ設定などを必要とせず, 直接的に高密度の差分画像を得ることができる.いくつかの条件を想定した実画像を用いた実験により, 実際に明度変化に対してロバストな差分抽出が行えることを確認し, 有効性を示した.また, 情景中の出現物体領域を抽出する処理への応用実験を行い, 比較的単純なフィルタ系列を後処理として加えることにより, 良好な輪郭及び連続性を保った領域分割が可能であること確認した.
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟 丹羽 義典 山本 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.202, pp.15-22, 2001-07-11
被引用文献数
1

継続的に情景を撮影した画像時系列において新たな出現物体を検出し背景から分離するための画像パタン検出技術は, 環境監視, メディア処理などの様々な分野において重要となりつつある.本研究では, 明度変動の影響を抑えながら, ピクセル単位の分解能で局所的なテクスチャを評価するRRFを提案し, 本来のテクスチャ・パタンのみの類似を検出するという特性を実現している.これにより, 出現物体のもつ明度分布に依存せず, しかも影などの不良条件による明度変動の影響を低減した背景差分を実現している.理論的検討および実画像を用いた実験を行い, 手法の有効性を示す.
著者
五十嵐悟道 編
出版者
三合庵
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1922
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟 阿刀田 央一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.387, pp.137-144, 1997-11-21

基本的な画像処理プリミティブをカスケードに接続した画像処理モジュールのパラメータ最適化および構造(順序)の最適化を同時に行う手法を提案する。探索空間を狭めることなく、しかも処理時間を増大させないために、独自のMF交差法を導入した遣伝アルゴリズムに基づく手法である。また、外的構造を保持したまま内部構造を変化させる周期構造モジュールを提案し、パタメータと構造(順序)の最適化を同時に進行させることを可能にしている。実画像による実験も併せて示す。
著者
前 孝宏 宮本 敦 金子 俊一 五十嵐 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.524, pp.139-146, 2001-12-13
被引用文献数
2

登録画像内の相関構造を予め解析し, 未知の対象画像の検索を厳密にしかも高速に行う検索法を提案する.任意に選択した解候補となるべきピボット画像と対象画像との相関係数値と, 予め算出されているピボット画像と登録画像との相関係数値とを用いることによって, 対象画像と任意の登録画像との未知の相関係数値を拘束する不等式条件を導出した.これにより導かれる2種類の判定条件を利用する高速内容検索アルゴリズムを提案する.特許庁の商標画像データベースから引用した1, 200枚の実画像を用いて, 検索実験を行い, 提案手法の有効性を確認した.