著者
小林 博人 田辺 俊英 鈴木 薫 石崎 宏 井上 久美子 中島 啓雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.240-244, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

症例1: 52歳, 女性。瘢痕性類天疱瘡。ニコチン酸アミド800mg/日4週間で口腔粘膜疹は消失, 56日間投与。その後の1年間に粘膜疹の出現なし。症例2: 66歳, 女性。水疱性類天疱瘡。ベタメタゾン3mg/日で水疱は消失。ベタメタゾン1mg/日に減量時よりニコチン酸アミド1000mg/日の併用を開始した。ベタメタゾンを6カ月間で中止, ニコチン酸アミドをステロイド離脱後6カ月間投与した。ニコチン酸アミド中止後の6カ月間に水疱の出現なし。両症例においてニコチン酸アミドによる副作用はみられず, 本療法は両疾患に対して有用な治療法と思われた。
著者
井上 久美子
出版者
西南学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、幼児及び児童の身体感覚への意識性と共感性の関連を検討することであった。その結果、幼児においては、身体の感じに気づき、身体の状態の変化を正確に表現できることと共感的応答との関連が窺えた。児童においては、小学4年生及び6年生において、身体のありのままの感覚を感じられることが、共感的関心や視点取得といった共感性と関連する可能性が示された。したがって、幼児期から児童期にかけての時期においても、豊かな身体感覚への気づきを促すことが重要であることが示唆された。
著者
井上 久美子 小林 三智子 長澤 伸江
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.164-172, 2019

<p>目的:スマートフォン(以下,スマホ)の常時携帯・接続可能という特殊な使用形態は,生活行動の乱れや心身の健康問題などの誘因になる.日本ではスマホ依存の定義や依存尺度が確立しておらず,先行研究では主に使用概算時間が指標として用いられてきた.そこで,本研究では回答が簡易であるスマホ使用場面数を用い,スマホ使用状況と健康状態や生活行動に対する自己管理力の関連と,指標としての有用性を検討した.</p><p>方法:女子大学生を対象とする横断研究として,24時間軸に沿って抽出した8つの場面から,スマホを使用する場面を複数回答する質問を含む生活調査を実施した.場面数と,身体的愁訴や生活行動および食に関する自己評価との関連を検討した.統計解析は,順序尺度はクラスカル・ウォリス検定,名義尺度はχ<sup>2</sup>検定後に残差分析を用いた.</p><p>結果:有効回答は1,260名(84.9%)であった.多使用群(6場面以上)は,食事,授業,アルバイトなどの場面を複数選択していた.少使用群(0~2場面)と中使用群(3~5場面)に比べ,多使用群では有意に身体的愁訴数(<i>P</i><0.001)と朝食欠食者数(<i>P</i>=0.001)が多く,食に関する自己評価が低かった.</p><p>結論:スマホ使用場面数を指標として用いることは,スマホの使用状況が生活行動や健康状態に及ぼす影響を検討するために有用である.本研究は,スマホ多使用者において,朝食欠食行動と身体的愁訴が増大するリスクがあることを示唆している.</p>
著者
井上 久美子 向後 朋美 阿部 史 角田 真二 泉 直子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.109-116, 2016-03-28

【はじめに】情報機器の急速な普及に伴って多数の社会問題や健康問題が表出している。これらの問題解決のために,効果的な健康教育プログラムの立案に用いられるプリシード・プロシードモデルの枠組みが有効であるか,検討を試みた。【方法】本研究では,疫学アセスメントの項目である「行動とライフスタイル」として,女子大学生の情報機器の使用頻度と,通常授業日の1日の生活行動の流れに沿った使用状況をアンケート調査した。【結果と考察】対象者101人の90%以上はスマートフォン(以下,スマホ)を高い頻度で使用し,無料通話アプリであるLINEのチェックと書き込みを,起床時から就寝時に及んで行っていた。アルバイト時には使用が少ないのに対し,授業時間内,あるいは帰宅後から就寝前までの学習すべき時間帯での使用が顕著に見られ,プリシード・プロシードモデルの前提要因である,女子大学生のスマホ使用に対する意識や態度をアセスメントする必要性が明らかになった。また,食事時にスマホを使用する傾向は,特に友人と一緒の昼食時に多く観察され,食行動への直接の影響だけでなく,友人との人間関係の構築にも影響を及ぼすことが懸念された。【まとめ】プリシード・プロシードモデルは,段階的なアセスメントの結果から因果関係を推察し,課題を明確にするために用いるものである。今後は,「環境;疫学アセスメント」として社会環境がスマホ使用者に及ぼしている影響を,「健康;疫学アセスメント」として睡眠障害や心身の健康問題を,さらに「QOL;社会アセスメント」として,スマホを介したコミュニケーションによる人間関係とQOLとの関わりをアセスメントし,解決すべき優先課題の抽出とプログラムの立案をすすめるものである。