著者
高橋 良当 高山 真一郎 伊藤 威之 井上 幸子 大森 安恵
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.165-170, 1998-03-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
3

高度な痛みやしびれを伴った治療後有痛性神経障害 (PPN) 86例の病態を報告する. 平均年齢46歳 (19~78歳), 男55名, 女31名.糖尿病罹病期間は推定7.7年 (0~27年) であるが, 平均5年の放置期間が含まれる. 糖尿病治療開始時のHbA1cは平均14%で, 治療後平均2カ月 (2週~5カ月) で8.8%に改善するも, この間に不眠や苦痛を伴った疼痛が下肢-腰背部に突然出現した. メキシレチン, 抗うつ剤, フルフェナジンなどの治療により平均1年で疼痛は軽減し, BMIは18.7から20.7に改善したが, 網膜症は67%が悪化し, 30%は不変であった. PPNの発症機序は不明であるが, 臨床的にきわめて特徴ある病態を呈し, 予後は良好であった. 長期間高血糖状態が続き, 神経障害を有する患者の血糖コントロールは慎重に行うべきである.
著者
高橋 良当 大和田 一博 森 浩子 川越 千恵美 古味 隆子 井上 幸子 平田 幸正
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-29, 1991-01-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

当センターに入院した既婚女子糖尿病者で, 重症合併症を有さない患者79名に質問紙法調査を行い, 性障害の実態を調べ, 糖尿病病態や心理社会的要因との関連について検討した.その結果, 性欲の低下が38%, 局所湿潤の低下56%, 絶頂感の低下51%, 性交痛39%に認められた.そこで, 局所湿潤と絶頂感と性交痛の障害度を総合判定し, 性障害のない患者群, 軽度障害群, 高度障害群に分け3群間で比較したところ, 高度障害群では性欲や性交回数の低下, 日常生活上のストレス, 糖尿病発症以前から夫婦関係に問題のある患者が有意に多く, 患者は神経質, その夫は社交的な性格が目だった.一方, 年齢, 糖尿病罹病期間, HbAlc値, 糖尿病性合併症の進展度は3群間で有意な差は認められなかった.以上より, 糖尿病女子の4~6割に性障害が認められ, その性障害は糖尿病の病態より, 夫との関係や生活上のストレスなどの心理社会的要因との関連が強く認められた.
著者
糸島 弘和 井上 幸子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.11-20, 2017-11-30 (Released:2018-11-30)
参考文献数
27

緒言:精神障害者が地域生活を継続するためには居場所が必要であると言われている.本研究は,精神障害者が感じる居場所感が地域定着や社会参加への関心に関連しているかどうかを明らかにすることを目的に実施した.方法:A県内の通所施設を利用する精神障害者を対象に,自記式あるいは聞き取りで調査票への回答を依頼し,231名よりデータを収集した.独立変数を居場所感,従属変数を社会参加への関心とし,ロジスティック回帰分析を用いてオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した.結果:精神障害者の居場所感が高いことは,社会参加への関心が高いことに有意に関連しており,調整モデルでも同様の結果であった(OR 1.34, CI 1.20–1.49).居場所感尺度の3つの下位尺度は,いずれも社会参加への関心と関連があった.結論:精神障害者の社会参加への関心を高めるためには,居場所感を高める支援が有効であることが示唆された.