著者
戸ヶ里 泰典 米倉 佑貴 井出 訓 Taisuke Togari Yuki Yonekura Satoshi Ide
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.33, pp.11-25, 2015

保健・看護系の大学院生が、効率的に必要十分な統計学的知識の定着をはかり、データ解析ができるための学習支援のプログラムの開発に向けて、本学の保健・看護系修士課程大学院生における、①統計解析の学習に関する意向とニーズを明らかにすること、②統計解析スキル向上に向けた演習を構築しその評価をすること、③良く質問され、かつ研究遂行上重要なQ&Aを探索し整備すること、の3点を目的とした。 目的①に対しては一定の統計解析を行って修士論文を作成した本学保健・看護系大学院生・卒業生13名を対象とした自記式質問紙ないし構造化面接調査を実施した。また、目的②に対しては極力わかりやすい解説の元、論文の結果表を読み取り、自身の研究データ解析に活用できる授業の構築、ならびに、参加者が自分の研究データを扱っている感覚でデモデータを分析する演習の構築を行い、終了後に感想を聞くとともに、目的①の質問紙調査において感想を聞いた。目的③については、新たに専用の統計相談窓口を設置し、統計解析に関する相談を受け付けることを通じて、どのような質問が寄せられるかを整理した。 修士論文作成に使用した統計解析ソフトウエアはR/Rコマンダーが6名、SPSSが5名、Excel統計が4名であった。統計解析方法については、教員からの指導に依存し、補足的に自学自習をしているスタイルであった。事例が豊富な教材を期待する声が大きかった。講義、演習については、概ね良好に受け入れられたが、回数が限られており分量が多く、スピードが速いといった指摘が見られた。統計相談の内容の傾向としては、量的変数として扱ってよい場合とそうでない場合、必要なサンプルサイズについて多く寄せられていた。 統計解析に関する知識を概観し、自己学習のきっかけをつくるうえでの講義授業は重要であることが伺われた。同様に自主演習をすすめるきっかけとしての演習授業も重要であることが伺われた。
著者
井出 訓 木村 靖子 杉田 隆介 森 伸幸 イデ サトシ キムラ ヤスコ スギタ リュウスケ モリ ノブユキ Satoshi IDE Yasuko KIMURA Ryusuke SUGITA Nobuyuki MORI
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.59-63, 2006

本研究の目的は、高齢者に対する教育的な介入プログラムである「物忘れ予防教室」を、地域介護支援センター職員がそのマニュアルに沿って展開し、高齢者の記憶や自己効力感に対するプログラムの影響を追試すると共に、地域における介護予防活動としてプログラムを展開していくことの可能性を模索することである。対象者は、物忘れ予防教室に参加した者のうち、調査協力が得られ、かつ教室前後でのデータを得ることができた男女16名である。結果から、すべての測定ツールにおいて介入後のプラス変化が見られ、特にメタ記憶の「記憶の補助方法」(p=0.039)と「記憶の自己効力感」(p=0.039)、および抑うつ感(p=0.050)に関して有意な変化が見られた。このことから、物忘れ予防教室によって対象者は有意に記憶に関する自己効力感を高め、また記憶の補助方法の活用頻度を高めていることが明らかとなった。支援センター職員が中心となって行われた「物忘れ予防教室」も、マニュアルに沿って介入を行うとで、参加者の記憶に対する認識や記憶の効力感を高め、高齢者をエンパワーしていく働きかけとなることが示唆され、地域における活動として展開していくことの有用性が確認されたといえる。Purpose of this study was to test the memory training program for its efficiency and applicability as a preventive service for elderly providing at a care support center in community. The subjects for this study were elder participants living in community who agreed to join this research. The result showed significant increase in metamemory (p=0.039) and memory self efficacy (p=0.039). This result suggested that the memory training program was useful as a program aimed at preventing elderly people from requiring nursing care and further losing physical and mental strength.