- 著者
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工藤 康生
村井 哲也
伊達 惇
- 出版者
- 日本知能情報ファジィ学会
- 雑誌
- 日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.4, pp.108-117, 1999-08-15
可能性理論の枠組において信念更新を正確に定式化する.信念更新は世界の動的な変化に対応して所有する情報を変更する操作を定式化し, その理論的な性質を扱う.Katsuno and Mendelzonは論理的枠組における信念更新の操作として更新および消去, 対称的消去の3種類の操作を提案している.Dubois and Pradeは論理的枠組における更新の操作を, また, Kudoは論理的枠組における消去の操作をそれぞれ可能性理論の枠組で表現しているが, 定式化に不正確な部分が多い.本論文では, Dubois and Pradeによる可能性理論における更新の定式化では更新の結果が常に構成できるとは限らないことを指摘し, 可能性理論における更新を正確に再定式化することで, この問題点を解決した.また, 消去の操作および対称的消去の操作を可能性理論の枠組で新たに定式化し, 動的な世界の変化によって所有する情報を失う場合の極小変化として特徴付けた.更に, 不確実な情報に基づく信念更新を提案し, 対称的消去は不確実な入力に基づく信念更新における本質的な操作であることを例示した.