著者
角屋 睦 岡 太郎 増本 隆夫 田中 礼次郎 今尾 昭夫 福島 晟
出版者
自然災害科学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.8-20, 1985

The west part of San'in District suffered severe disasters from slope failure and flood flows caused by record heavy rainfall, in July 23,1983. At the Hamada meteorological observatory, for instance, the maximum one-day and one-hour rainfalls were 331.5mm and 91.0mm, respectively. After delivering the outline of the meteorological conditions and damages, this paper discusses the runoff process and flood magnitude in representative mountain rivers such as the Rivers Hamada, Sufu, Misumi and Masuda applying the kinematic runoff model, and shows that flood peaks are almost near to maximum experienced values.
著者
今尾 昭夫 木原 康孝 福桜 盛一
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

3年間にわたる本研究成果の概要は、以下のようである。1.今尾は、作物の有効な裁培手法として多用されているビニールマルチが、傾斜農地の縦畝に利用された場合の土壌侵食の挙動について実証的な検討を行った。実験は自然降雨、及び人工降雨を対象として、既設の野外傾斜土槽(野外実験)と室内可傾式土槽(室内実験)を利用して行い、粒度組成の異なる3種のマサ土を供試した。その主な結果を示せばつぎのようである。(1)野外実験の場合:降雨強度が大きくなるとビニールマルチ敷設による土壌侵食防止効果があると言えるが、それが小さい時には畝間の土壌侵食を促進する傾向がある。従って、畝間へ敷きワラ等のマルチングを敷設することが必要である。(2)室内実験の場合:大きな降雨強度の下における実験であるために、(1)と同様な結果を得ているが、細粒部分を多く含む土が土壌侵食量を増加させる傾向を示す。(3)両実験ともに、畝から畝間への土壌飛散、供給土量が予想外に多く、これらは降雨強度、傾斜度、及び粒度組成に密接に関連し、傾斜農地の土壌侵食に影響を与える。2.木原・福桜は、畑地におけるマルチングの効果を検証するために必要な土壌中の水分動態を正確に把握することにより、潅水量、及び潅水強度が土壌中への水分の浸潤に与える影響について実験的な検討を行った。その主な結果を示せば次のようである。(1)浸潤過程における水分動態は潅水量が支配的な要因となる。(2)現場圃場における水分動態は、潅水量や降雨量が多い場合、その相当量が下方浸透し、これは長期間継続する。(3)マルチングにより蒸発は抑制されているが、蒸散があるにも拘らず水分減少は僅かで、下層から水分の毛管補給があるためと考えられる。主として以上のような研究成果が得られたが、問題点も多く今後の研究にまつところが多い。
著者
藤原 輝男 日下 達朗 翁長 謙良 南 信弘 細山田 健三 今尾 昭夫
出版者
山口大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1986

水食による農地災害防止の基礎的問題としての降雨特性と土壌特性との関連における土壌侵食の問題解明についておよそ次のような成果を得た。(1)南・小椋は25種の土壌について自然降雨による最大一時間降雨強度と土壌流亡量を一降雨毎に測定した結果、許容流亡土量を0.5t/haとすれば限界降雨強度は5〜30mm/hとなる結果を得た。(2)細山田は表土が黒ボクの土壌流亡の実測結果から、土壌因子Kの値が約0.04となり、また、たてうね,よこうねの土壌流亡量の比は中程度の侵食量の場合、前者が30〜40倍になることを求めた。(3)田熊はマサ土と赤色土の侵食性は、それぞれ220μmの粒径分と集合体の安定度が高い相関を示し、その両土の水食後の粒子の210μmの粒径分が対照的であることを明らかにした。(4)藤原・日下はこれまでに明らかにしてきた表面流と土壌侵食量の基礎的な関係に侵食要因を総合的な数値で表わす侵食係数を取り入れて展開し、降雨量から直接予測できる実用的な土壌流亡量推算式を提案した。(5)福桜は雨滴侵食に対する土壌面タン水の影響を明らかにするためにナイロン球を用いた実験を行なった結果、水滴の場合と明らかに異なって水深3mm程度のタン水時における衝撃のピークは認められなかった。(6)深田は水深がある場合に落下水滴による底面圧力を測定し、データを無次元量でまとめ、底面圧力と侵食量は密接に係わっていることを示唆した。(7)翁長は侵食試験区や室内実験の観測をもとに侵食に関与する傾斜要因を解明した結果、【E_I】値186以下の降雨条件下で侵食が極めて少くなる限界勾配(約1.5度)があることを実証した。また今尾は被覆による防止効果の発現は単作栽培に比較して早朝に発生すること及び帯状幅の長さには限界のあることなどを明らかにした。
著者
田中 礼次郎 福島 晟 松井 佳久 鳥山 晄司 福桜 盛一 今尾 昭夫
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

1.暗渠の被覆材として、発泡スチロ-ル、モミガラ、園芸用疎水材を用いて現場試験、実験室試験によりその排水効果の比較を行った。その結果安価で耐用年数の期待できる被覆材として、発泡スチロ-ルを使用することの可能性を示唆した。2.干拓地土壌の牧草栽培による土壌構造変化の挙動と、土壌生態系の有機物への作用による土壌団粒化促進効果を各種調査、実験により明らかにした。3.干拓地の水や土壌中の陽イオン濃度の分析から、相互に相関の高い土壌イオンの存在すること、また干拓地内に地下浸透する湖水量は、湖水位と対応して周期的に変化する。湖水の浸透は土壌イオンの組成を変化させることなどを明らかにした。4.中海干拓彦名地区の土壌乾燥経過を各種試験で調査し、排水溝の効果が顕著であること、軟弱埋立て粘土層の圧密沈下量と乾燥沈下量の観測値と計算値の比較およびトラフィカビリチ-の経年変化を示した。5.雨水流モデルと長短期流出両用モデルを併合した流出モデルによる流出解析法を提示するとともに、その適応性を中海流入河川の高水、低水について検証した。また干拓地における長期および短期流出解析が可能なKWSTモデルを提案した。6.中海水域への代表流入河川である斐伊川、飯梨川等の日流量について年、および季節的特性を流況曲線等を用いて分析し、比較検討した。