著者
菅波 美穂 小林 一夫 今村 健太郎 小松 三佐子
出版者
認知リハビリテーション研究会
雑誌
認知リハビリテーション (ISSN:24364223)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.31-42, 2019 (Released:2022-03-30)
参考文献数
14

脳梗塞により前頭葉機能障害がみられた70歳代男性に高次脳機能訓練を行った。本症例は柔軟に新しい状況に対応していくことが難しく,セット転換の制御が低下していた。これらに起因する行動障害は自宅復帰への阻害要因となっていた。そこで,セット転換に必要とされる柔軟性と心的構えの切り替えの機能改善を目的として,前頭葉機能検査に一般的に用いられるStroop 課題とWisconsin Card Sorting Test を応用したColour Stroop訓練およびSet Shift 訓練を導入した。その結果,Set Shift 訓練が前頭葉機能障害の改善に短期的にも長期的にも効果があるということが示唆された。また,包括的なリハビリテーションに加え,本訓練の結果,前頭葉機能テストの成績に向上がみられ,自宅復帰が可能となった。
著者
高橋 直子 布川 雅雄 今村 健太郎 細井 温 須藤 憲一 増田 裕 森永 圭吾 藤岡 保範
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.487-493, 2010-04-25 (Released:2010-04-26)
参考文献数
27
被引用文献数
11

【目的】腹部内臓動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂した際には死に至ることも多い極めて重篤な疾患である.そのため早期発見と確実な診断が必要であり,今回われわれは,当該病変に対する治療方針を検討した.【対象・方法】2005年3月から2008年10月に当院で内臓動脈瘤と診断された30例(男性21例,女性9例)30瘤を対象とし,発生部位や治療方法,経過についてまとめた.【結果】内訳は脾動脈瘤13例,膵十二指腸動脈瘤5例,腹腔動脈瘤5例,上腸間膜動脈瘤4例,肝動脈瘤3例であった.治療は経過観察17例,塞栓術10例,開腹手術3例であった.当科での侵襲的治療の適応基準は瘤径が2 cm以上,破裂,仮性瘤,拡大傾向,腹痛等の有症状,膵十二指腸動脈瘤,胃十二指腸動脈瘤,上腸間膜動脈分枝の瘤とし,末梢の動脈瘤では血管内治療を第一選択とした.経過観察症例では観察期間は約2カ月から3年9カ月であったが,経過不明1例,他疾患での死亡1例を認めたが,その他15例では瘤の拡大を認めることなく経過した.塞栓術,開腹手術症例では術後観察期間は約1カ月から4年で,破裂症例の2例で一過性の十二指腸狭窄を認めたが,その他では重篤な合併症や手術死は認められなかった.【結論】低侵襲な血管内治療を第一選択とし,瘤の占拠部位や大きさ,再建の必要性に応じて開腹手術を考慮すべきである.われわれの治療成績は緊急症例も含め良好であり,経過観察症例でも治療に移行した症例はなく,当科の腹部内臓動脈瘤に対する侵襲的治療の適応基準は妥当と考えられた.
著者
平井 郁仁 高田 康道 佐藤 祐邦 高橋 晴彦 矢野 豊 高津 典孝 松井 敏幸 今村 健太郎 池田 圭祐 岩下 明德 宮岡 正喜
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.345-357, 2014-03-25

要旨 当科において診療したCrohn病(CD),潰瘍性大腸炎(UC),Behçet病患者(BD)を対象とし,生検および手術標本における病理組織学的所見の結果から,二次性アミロイドーシス(SA)合併の有無を検討した.CDに関してはデータベースを用いて患者数,臨床像,臨床経過および長期予後について解析し,さらにSA合併症例の詳細とSAの合併有無別の比較検討を加えた.IBD患者におけるSA合併率は1.1%(CD : 1.6%,UC : 0.3%,BD : 3.4%)であった.CD症例においては,(1) 診断では十二指腸病変の認識と生検が有用であること,(2) SA合併率は1.6%で,近年やや下降傾向であること,(3) 累積生存率はSA診断後50か月で79.5%,131か月で53.0%と生命予後が不良であること,(4) SA合併例は悪性疾患の既往の頻度が15.4%で非合併例より有意に高かったことが明らかとなった.