著者
吉田 啓志 増田 裕里 近藤 駿 井戸田 弦 永井 宏達
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1275-1279, 2021-11-15

要旨 【目的】自立歩行が可能な脳卒中患者における日本語版Physical Activity Scale for the Elderly(PASE)を使用した身体活動量評価の妥当性および信頼性を検証することである.【方法】妥当性は,対象者27名に対し,入院環境と生活環境においてPASEと3軸加速度計にて評価した身体活動量の相関係数にて基準関連妥当性を評価した.信頼性は,対象者19名に対し,級内相関係数(intraclass correlation coefficients:ICC)にて検者内信頼性を評価した.【結果】妥当性は,生活環境において高い妥当性を認めた(ρ=−0.40〜−0.67).信頼性においても,高い信頼性を認めた(ICC=0.98).【結論】自立歩行が可能な脳卒中患者におけるPASEを使用した身体活動量評価は,妥当性および信頼性とも良好であり,生活環境での応用が今後期待される.
著者
増田裕太 山地隆行
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1700-1703, 2014-07-02

睡眠時の状態を計測するときに用いる機器として,電極を用いて被験者に装着するものや,布団に敷いて圧力変化から体の動きを測るもの,枕元に置き寝具の揺れから間接的に体動を測るなど様々なセンシング方式がある.我々は,被験者の利便性を考慮して,ドップラ式のマイクロ波センサを用い,離れた位置から被験者の睡眠状態を計測することを可能とする研究を行っている.開発技術では,マイクロ波を被験者に照射し,被験者の動きから得られるセンサ信号を解析し,体動,心拍,呼吸の各成分を抽出する.検出した体動より,就寝中の覚醒または睡眠を判定し,心拍,呼吸成分からそれぞれ心拍数,呼吸数を算出する.また,センサで検出する呼吸成分の信号強度の変化より,寝ているときの体の向き(仰向け,うつ伏せ,横向き)を判定する.
著者
安藤 宏 今村 泰弘 増田 裕次 北川 純一
出版者
松本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

咽頭・喉頭領域の感覚は、迷走神経の分枝の上喉頭神経に受容される。この神経において43℃以上の温度およびカプサイシンに活性化されるTRPV1チャネル、冷刺激やメントールに応答するTRPM8チャネル、冷刺激やマスタードに応答するTRPA1チャネルが発現していることを免疫組織学的方法により明らかにした。さらに、これらのチャネルの活性化物質であるカプサイシン、メントールおよびマスタード成分による咽頭・喉頭領域の刺激は、嚥下回数を顕著に増加させた。これらの結果から、上喉頭神経に発現するTRPV1、TRPM8およびTRPA1を介して、嚥下が誘発されることが示唆される。
著者
増田 裕子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.1-16, 2021-11-30 (Released:2022-02-02)
参考文献数
28

本研究の目的は,継時的な母親のワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)の推移を把握し,WFCが高い時と低い時にウェルビーイングを高く保持する対処行動を明らかにすることである.調査方法はWFCとウェルビーイングの推移をライフラインで把握し,葛藤の高い時点について尺度を用いた質問紙調査と対処行動に関する面接調査を行った.尺度結果よりウェルビーイング度の高いWFC対処行動を抽出し,定性的(質的)コーディングで分析した.仕事領域で「働き方改革の活用」「職場・上司・同僚の理解」「仕事をする自己を肯定」「就労の安定」,家族領域で「夫・家族・友人に協力要請」「保育所・幼稚園・自治体に協力要請」「病院に協力要請」「子どもの安定」「自身のプラスの変化に着目」「環境・状況の変化」を抽出した.働く母親のウェルビーイングを高く保持するには,WFC度の高低によって異なる対処行動と支援が必要だと示唆された.
著者
齊ノ内 信 中村 道三 増田 裕一 大谷 良
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001489, (Released:2020-12-15)
参考文献数
20

症例は86歳女性.調理中に突然出現した複視を主訴に来院した.両眼性複視,両側眼球内転障害と輻湊障害,両側側方注視時に外転眼のみに粗大な単眼性眼振を認めた.入院翌日のMRIで中脳下部背側に拡散低下域を認めた.入院1日半後に尿閉,尿意の消失に気付かれた.脳梗塞を念頭に抗血小板薬で治療を行い,発症2ヶ月後には眼球運動は正常になり,複視も消失.尿閉も消失した.眼球運動障害については動眼神経の内転筋亜核から両側medial longitudinal fasciculusにかけての病変を想定している.尿閉については排尿中枢の一つである中脳水道周囲灰白質への障害が原因と考えている.中脳の微小な梗塞で尿閉を呈する例は稀であるため報告する.
著者
吉田 啓志 近藤 駿 増田 裕里 嶋尾 悟 浜岡 克伺 成冨 博章
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.323-326, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕本研究は,リハビリ後自宅退院した脳卒中患者の活動範囲を屋内群と屋外群に分類し,屋外活動の可否を最も予測可能な退院時身体的因子のカットオフ値を明らかにすることとした.〔対象と方法〕自立歩行可能で自宅退院した脳卒中患者31名を対象とした.退院3ヵ月後の活動範囲をLife Space Assessment(LSA)を用いて調査した.退院時評価項目のうちLSA合計点と有意に相関する指標を抽出し,屋外活動判別に最も適したカットオフ値を求めた.〔結果〕6分間歩行距離(6MD)のカットオフ値が最も高い判別能を示し,その値は358.5 mであった.〔結語〕脳卒中患者の自宅退院後の屋外活動を維持・向上させるためには入院中の6MDにおいて350 m以上を目指す必要があることが示唆された.
著者
増田 裕子 福井 利光 渡辺 大輔 玉田 康彦 松本 義也
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.14, pp.2489-2494, 2007-12-20 (Released:2014-12-03)

livedo vasculitis(以下LV)と診断した5症例(平均年齢:50.6歳.男女比:2対3.平均罹患期間:3.4年)は,病理組織学的に真皮内の小血管に血栓形成と,血管壁の硝子化がみられた.抗血小板療法で効果が見られなかったので抗凝固剤であるワーファリンカリウムを投与したところ,全例で皮膚潰瘍や疼痛などの自覚症状が短期間に改善した.今後,抗血小板薬や血管拡張剤等に治療抵抗性のLVに対して,ワーファリンカリウムは試みるべき治療法の一つと考えた.
著者
中村 皖一 中川 明彦 田中 実 増田 裕 林 康之 西園 寺克
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.183-191, 1984 (Released:2007-03-07)
参考文献数
33
被引用文献数
11 7

3位にmethyltetrazolylthiomethyl基を有するセフェム系抗生物質によるジスルフィラム様作用の発現機構を追求するために以下の実験を行った.1)cefetazole(CMZ),cefoperazone(CPZ),latamoxef(LMOX)をヒト,サル,イヌ,ラットに静脈内投与後の原薬物ならびに3位置換基由来のmercaptomethyltetrazole(Me-TZ)の累積尿中排泄率(0~24時間)を求めた.ヒトにおけるMe-TZの尿中排泄率はCPZ(39%)>LMOX(14%)>CMZ(3% of dose)となり,同様の傾向はラット,サルでも見られた.2)ラットにCMZ,CPZ,LMOX,Me-TZを静脈内に単回投与し,一定時間後ethanolを経口負荷したところ,血中アセトアルデヒド値は用量依存的に上昇した.その傾向はMe-TZの尿中排泄率に比例し,CPZ>LMOX>CMZとなった.またサルの2回静脈内投与群においてもCPZ>CMZの傾向が見られた.以上の結果からMe-TZがジスルフィラム様作用の原因物質と推測できたが,本作用発現の強弱に種差,抗生物質問の差異が見られた.それらはこれまでに報告されている各抗生物質の胆汁移行率の大小および組織液中での安定性に起因していると考えられた.
著者
増田 裕美子
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.94-107, 2014-03-31 (Released:2018-05-26)

Sorekara (And Then) by Natsume So-seki was published in the Asahi Shimbun in 1909. In this novel lilies appear as a symbol of the heroine, Michiyo. With the exception of several waka poems compiled in the 8th century Man’yōshū, however, lilies are not seen in traditional Japanese literature. In Meiji Era lilies reappeared in Ozaki Ko-yo-’s Konjiki yasha (The Golden Demon), which was written during 1897-1903. In the dream of her lover, the novel’s heroine, Miya, drowns and is transformed into a lily (yuri). Though the main original source, Weaker Than a Woman by Bertha M. Clay, does not include important descriptions of lilies, Dora Thorne, another novel by the same author, contains many meaningful scenes with lilies. In this paper, I discuss how Ko-yo- changed the meaning of lilies by drawing on an analysis of these scenes described above. While three kinds of lilies appear in Dora Thorne―lilies (yuri), lilies of the valley (suzuran), and water lilies (suiren)―Ko-yo-, who did not know the difference between them, was under the misconception that western lilies grew in the water or by the waterside. Because of this misunderstanding he made lilies symbols of rejected women like Ophelia in Hamlet, who drowns in the river. So-seki utilized this symbolism in Sorekara when the protagonist Daisuke puts lilies into the water of the vase. That act symbolizes Michiyo’s drowning, that is to say, the fact that he rejected Michiyo in the past.
著者
西嶋 真理子 柴 珠実 齋藤 希望 増田 裕美 西本 絵美 松浦 仁美
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.40-49, 2018

<p><b>目的:</b>発達障害児の親を対象に前向き子育てプログラムのひとつであるステッピングストーンズ・トリプルP(以下,SSTP)を実施し,その効果と地域での導入について検討する.</p><p><b>方法:</b>地域の保護者会の協力のもと,3~12歳の発達障害児の親27人に対して筆者らがSSTPを実施し,介入前後の親の子育て場面でのふるまい(Parenting Scale;PS),児の行動の難しさ(Strength and Difficulties Questionnaire;SDQ),親の抑うつ・不安・ストレス(Depression, Anxiety, and Stress Scale;DASS),親としてどう感じるか(Parenting Experience Survey;PES)について比較し分析した.</p><p><b>結果:</b>介入前はPSやSDQのすべての下位尺度は臨床範囲あるいは境界範囲であったが,介入後はPSの親の多弁さと過剰反応,SDQの児の難しい行動の総合スコア,感情的症状,行為問題,交友問題,DASSの抑うつ,ストレスが有意に改善した.PESでは,得られた助け,パートナーとのしつけの一致度等が介入後に有意に改善した.7歳以下ではPS,SDQ,DASSのすべての下位尺度が有意に改善した.</p><p><b>考察:</b>地域の発達障害児の親を対象に行ったSSTPは,親の子育て場面でのふるまい,児の問題行動,親として子育てにストレスを感じる等に有意な改善効果が確認できた.特に児の年齢が7歳以下の家庭への改善効果が大きく,地域でSSTPを導入することが発達障害児と親の支援に有効であると考えられた.</p>
著者
高橋 直子 布川 雅雄 今村 健太郎 細井 温 須藤 憲一 増田 裕 森永 圭吾 藤岡 保範
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.487-493, 2010-04-25 (Released:2010-04-26)
参考文献数
27
被引用文献数
11

【目的】腹部内臓動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂した際には死に至ることも多い極めて重篤な疾患である.そのため早期発見と確実な診断が必要であり,今回われわれは,当該病変に対する治療方針を検討した.【対象・方法】2005年3月から2008年10月に当院で内臓動脈瘤と診断された30例(男性21例,女性9例)30瘤を対象とし,発生部位や治療方法,経過についてまとめた.【結果】内訳は脾動脈瘤13例,膵十二指腸動脈瘤5例,腹腔動脈瘤5例,上腸間膜動脈瘤4例,肝動脈瘤3例であった.治療は経過観察17例,塞栓術10例,開腹手術3例であった.当科での侵襲的治療の適応基準は瘤径が2 cm以上,破裂,仮性瘤,拡大傾向,腹痛等の有症状,膵十二指腸動脈瘤,胃十二指腸動脈瘤,上腸間膜動脈分枝の瘤とし,末梢の動脈瘤では血管内治療を第一選択とした.経過観察症例では観察期間は約2カ月から3年9カ月であったが,経過不明1例,他疾患での死亡1例を認めたが,その他15例では瘤の拡大を認めることなく経過した.塞栓術,開腹手術症例では術後観察期間は約1カ月から4年で,破裂症例の2例で一過性の十二指腸狭窄を認めたが,その他では重篤な合併症や手術死は認められなかった.【結論】低侵襲な血管内治療を第一選択とし,瘤の占拠部位や大きさ,再建の必要性に応じて開腹手術を考慮すべきである.われわれの治療成績は緊急症例も含め良好であり,経過観察症例でも治療に移行した症例はなく,当科の腹部内臓動脈瘤に対する侵襲的治療の適応基準は妥当と考えられた.
著者
上原 由記子 山崎 洋一 増田 裕太 畠山 豊 董 芳艶 廣田 薫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第23回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.313, 2007 (Released:2009-01-14)

家庭環境内に設置された,人間とのさりげないコミュニケーションを図るマスコットロボットシステムにおいて,発話時の語彙と音声より推論されるユーザの感情を考慮したマスコットロボットを構築する.提案システムにより,マスマスコットロボットシステムが提供する情報による動作のみではなく,ユーザの意図を理解したロボットの表情表出が可能となる.実際の生活上で想定されるシナリオに基づくデモンストレーション実験を実施し,ユーザの5段階評価によるアンケート調査を用いて,モジュールの有効性を示す.提案システムは,情報家電の提示端末として,ユーザとマスコットロボットシステムのコミュニケーションの上で有効なモジュールである.