著者
伊井 春樹
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin Of The National Institute of Japanese Literature
巻号頁・発行日
no.01, pp.1-65, 1975-03-25

兼良は『花鳥余情』(文明四年十二月)を著作するにあたって、数多くの資料を利用したであろうが、その一つに文明二年三月に相伝した二条家伝来の、為家撰とする「紫明抄」ほかいく種かの秘説集があった。彼はこれらの説から、必要と思われる注記を『花鳥余情』に摂取していくとともに、相伝した中にすでに存在していた「三ケ条口伝」と「十ケ条口伝」を併せて、十三ケ条からなる「花鳥口伝抄」を文明三年三月に編纂し、伝授の形式を確立した。『花鳥余情』完成後は、それをさらに整理して、十五ケ条の『源語秘訣』を生み出したのである。今川範政も兼良以前にこの秘説集を『源氏物語提要』に用いたらしく、引用された内容から推定すると、現存本は部分でしかないと思われる。これらのことから、兼良の源氏学の形成には、二条家の学説が大きく関与していたことが知られるのである。 It appears that Kanera used a lot of materials on writing “Kachoyojo”(花鳥余情)(December, 1472), there are “Shimeisho”(紫明抄) which was inherited on March in 1470 by Nijo family selected by Tameie and some kinds of the secret stories as one of materials. He adopted an explanatory note that are considered to be necessary from these theories in “Kachoyojo” and also “Kacho Kuden sho”(花鳥口伝抄)which consisted of 13 articles collectively included “Sankajo Kuden”(三ヶ条口伝)and “Jukkajo Kuden”(十ヶ条口伝)that have been already existed in materials handed down was compiled on Mar,1471 and the form of transmission was established. After completing “Kachoyojo”, it was arranged more and produced 15 articles of “Gengo hiketsu”(源語秘訣). Imagawa Norimasa also seemed to use this secret stories for “Genji monogatari teiyo”(源氏物語提要)before Kanera did, the existence book is thought to be only a part when it is estimated from quoted contents. For these reasons, it is known that the Nijo family’s theory was greatly related to the formation of Genji studies of Kanera.
著者
伊井 春樹
出版者
笠間書院
雑誌
笠間索引叢刊56
巻号頁・発行日
pp.1-71,
著者
伊井 春樹
出版者
中古文学会
雑誌
中古文学 (ISSN:02874636)
巻号頁・発行日
no.71, pp.1-11, 2003-05
著者
伊藤 鉄也 伊井 春樹 鈴木 淳 入口 敦志 荒木 浩 海野 圭介 スティーヴン・G ネルソン 伊藤 鉄也
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本課題は、日本文学に関する情報を所有する海外の機関や研究者を確認し、どのような情報が収集・利用されているか、またはどのようなテーマで研究がなされているかを解明することにある。そのために、日本文学や文化に特化したものを集積・分析し、諸外国の研究者相互の連携を推進し、情報網を広げ、質の高い研究情報を蓄積し、国内外の研究者へ提供してきた。国際集会の開催、刊行物「日本文学研究ジャーナル」第1~4号の作成はその成果の具体的な証である。