著者
矢ヶ崎 一幸 伊藤 秀一 柴山 允瑠
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

解析的および数値的な手法を用いて,偏微分方程式系や離散格子系などの,さまざまな無限次元力学系において起こる分岐現象およびホモ/ヘテロクリニック挙動を明らかにした.特に,偏微分方程式系のソリトンやパルス解,フロント解に対応した,常微分方程式系のホモ/ヘテロクリニック軌道に対して,サドル・ノードおよびピッチフォーク分岐が起こる条件を求めるための摂動的な方法を開発し,その軌道まわりの変分方程式の微分ガロア理論の意味での可積分性との関連を明らかにした.
著者
小竹 武 新井 仁之 板東 重稔 伊藤 秀一 高木 泉 加藤 順二 小野 薫
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

多様体上の解析学としての大域解析が包括する研究対象は多岐にわたる。本研究では、種々の偏微分方程式の解構造の研究、力学系、関数微分方程式の摂動と安定性の研究、非線型解析の微分幾何学、数理物理学への応用等、解析学と幾何学、数理物理学との境界領域での研究の進展をはかるとともに、これら研究における解折手段として重要な調和解析および作用素の理論等の深化につとめた。以下、本研究において得られた新たな知見、成果の概要を記す。1. 偏微分方程式論に関するものとして、一般な正値ポテンシャルをもつシュレディンガ-作用素に対する固有値の漸近分布についての結果、およびリ-マン多様体上の熱方程式に対するヴィダ-型一意性定理の証明、更に、楕円型作円用素論の幾何学への対用として、ディラック作用素族の芸変指数についての研究、正則ベクトル束の除去可能特異点についての研究等が挙げられる。2. 力学系の分野では、可積分なハミルトン正準方程式系の特異点近傍での標準型への還元に関する研究、一方、遅れをともなう関数微分方程式に対する大域解の存在、安定性についての研究等がある。3. 非線型解析に関しては、拡散・反応方程式系について解の詳しい幾何学的研究がなされ、パタ-ン形成や将異点発生等について興味ある結界が得られた。4. 調和解析では、強擬凸領域上の〓〓調和関数の境界挙動に関するファトゥ型定理の証明がある。 2、作用素環の順序構造と正則完備化の構造との関係について新しい知見が得られた。5. バ-クマン核の研究では、領域がラインハルト領域のとき、核のトレ-スと境界のチャ-ン・モ-ザ-不変多項式との関係が明確化され、その応用として、複素球の大域的特徴づけが示された。
著者
沖野 正宗 牛島 準一 加藤 聰彦 伊藤 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.508, pp.71-74, 2003-12-12

近年無線アドホックネットワークにおけるルーチングプロトコルの研究が注目されている。将来アドホックネットワークの発展により、多くのノードが集まった高密度なアドホックネットワークで効率的に経路を確立するためのルーチング手法が必要となってくる。現在提案されているAODV(Ad hoc On-demand Distance Vector)のように、経路制御メッセージを受信した全てのノードが再ブロードキャストを行うルーチング手法は高密度なアドホックネットワークでは適切とはいえない。そこで我々はAODVを高密度なアドホックネットワークに適用したルーチングプロトコルについて検討している。本方式では、無線到達範囲の遠くにいるノードを経路制御メッセージの中継ノードとして選択し、ネットワークに広がる経路制御やデータのためのメッセージ数を減らし、宛先ノードまでのホップ数を最小限に抑えるルーチング方式を実現している。本稿ではこの方式の詳細について述べる。