著者
文 世一 矢澤 則彦 安藤 朝夫 佐々木 公明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

(1)交通計画、地理学、都市・地域経済学をはじめとする関連分野において、情報通信及び交通システムの整備が経済活動に及ぼす効果について論じた文献をレビューし、空間のレベル、企業のタイプ、コミュニケーションの形態ごとに、情報通信と交通システム整備の効果をいかにとらえるべきかについて論点整理を行なった。(2)オフィス企業が都市内の他企業と行うコミュニケーションの手段と回数、および都市内での立地選択をモデル化した。ここではコミュニケーションの質的レベルを明示的に考慮してコミュニケーションの手段選択を定式化している。情報通信費用の低下が都市内交通需要、及び企業の立地分布に及ぼす効果をシミュレーションによって分析した。その結果、通信費用の低下によって交通需要は増加する場合と減少する場合があること、企業の立地分布は分散化することなどが示された。(3)都市間コミュニケーションのための情報通信・交通システムの整備が、企業の本社-支社の機能配置に及ぼす影響を通じて広域的な空間構造の変化を分析した。ここでは企業間(他都市に立地する取引先と)、および企業内(同じ企業の本社と支社の間)の二通りのコミュニケーションを行うオフィス企業の行動をモデル化した。このモデルは、一企業の立地選択を定式化するだけではなく、多数の立地行動の間の相互依存関係と立地均衡を通じて都市規模の分布を求めることができる。このようなモデルにもとづいて、支社の立地と都市規模が交通システムや情報通信システムの変化によってどのような影響を受けるかを分析した。その結果、情報通信システムの整備は、支社の立地を促進するが、交通システムの整備は本社への集中化をもたらすことが示された。
著者
佐々木 公明 日野 正輝 長谷部 正 山本 啓 小林 一穂 照井 伸彦 赤松 隆 徳永 幸之 林山 泰久 福山 敬 徳川 直人 平野 勝也 伊藤 房雄 村山 良之 横井 渉央 張 陽
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

日本の集計データに基づいた幸福関数の統計的分析は「他者との比較」を表す生活水準が住民の幸福度に影響を与えることを示す。一方、物質の豊かさの価値よりも心の豊かさに価値を置く方が幸福度を増加させる。幸福度は所得満足度と共に単調に増加するが、所得満足度は生得水準の単調増加ではなく、「快楽の踏み車」仮説があてはまる。社会環境を表す所得分配の不平等と失業率はいずれも個人の幸福度に負の影響を与えるが、不平等よりも失業が住民の幸福により大きな影響を与える。