著者
長谷部 正基 明嵐 政司
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

都市部においては道路舗装やコンクリート構造物など、熱容量の大きい構造物で覆われた空間が形成されており、赤外放射等による温度上昇が発生しやすい環境となっている。特に道路舗装面は太陽熱エネルギーにより真夏には70℃以上にまで上昇する。近年、地球温暖化防止、一次エネルギー消費量削減のために新エネルギーの普及促進、未利用エネルギーの利用促進が求められており、こうした道路舗装面に蓄積された太陽熱エネルギーの有効利用は省資源、省エネルギーの見地から重要である。利用方法としては温水供給などの直接利用方式と電気エネルギーへ変換する間接利用方式とがあるが、直接利用方式は需要、立地などの観点から今後とも大規模な利用は困難である。本発電システムでは熱源の温度変動などに即応できる性能が要求される。道路舗装面の太陽熱エネルギーによる熱電発電の場合、システムの構成要素が熱電素子を含む熱交換器のみで、負荷の変動による燃料所要量の変化に対する追従性が良いこと、可動部分が無いため信頼性が高く保守が容易である等の利点がある。本研究では道路舗装面の熱エネルギーを熱電素子の発電機能により電力として回収する発電システムを研究した。我々は当該システムを路面熱利用発電システム(RTEC : Road Thermal Energy Conversion System)と称する。本研究はRTECの概念設計を行い、その実用化の可能性を明らかにした。なお、アスファルト舗装は舗装材料の物性により高温になると軟化し、その結果通行車両から受けるせん断力によりわだち掘れが発生する。これは舗装の耐用年数を短縮させる主因となっている。RTECの機能として、発電による路面温度の低下、これによるヒートアイランド現象の緩和、なおかつアスファルト舗装の耐久性が向上することも期待される。
著者
吉井 邦恒 大山 達雄 長谷部 正 勝又 健太郎 長友 謙治
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

地域インデックスタイプの収入保険については、①収量と価格の両方が負の相関をもって変動する状況下では、収量保険に比べて保険金の支払いが少なくなるものの、収量と価格の両方が下落する年には、収入の大幅な低下を緩和すること、②価格が低下傾向にある状況下では、収量と価格の相関関係が小さい地域における支払いが特に大きくなることから、その制度設計に当たっては、収量と価格の相関関係に留意した保険料率の設定が必要であることを明らかにした。
著者
長谷部 正
出版者
東信堂
雑誌
感性哲学 (ISSN:13467999)
巻号頁・発行日
no.8, pp.97-113, 2008-09
著者
萩原 亨 長谷部 正基
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

警告対策としてグルービングの有効性を高めるため、エゾシカが反応した音の性質を調査し、さらにグルービング音が道路を横断しようとしたエゾシカへの影響を調べた。これらの結果ついて、第62回土木学会北海道支部学術研究会にて発表した。グルービングは、グルービングマシンによって、舗装表面に縦方向または横方向の溝をつけることにより、排水を促進させ、湿潤状態における舗装路面の摩擦係数を増大させようとするものである。車両走行時には、タイヤとの関連によって音が発生する。昨年度、国道238号線の猿払村付近に、エゾシカの警戒声に近い音を出すグルービングを施工した。現地にて、詳細な、グルービング音の計測を実施した。これらの結果から、グルービング走行時の振動音を空間的に推定するモデルを確立した。また、2009秋から冬にかけて施工区間を横断したエゾシカをビデオ観測した。グルービングで発生する2kHz音の継続時間(無音、有音)や音圧がエゾシカに与える影響を調査した。ビデオから、通過車両によるグルービング音が、道路を横断しようとするエゾシカの行動に与える影響を記録できた。横断しようとしたエゾシカが、.横断を中断し、元の場所に戻ったり、警戒したいりする行動がみられた。以上の研究から、警戒声に近い音を道路から発生させることは、エゾシカの行動に影響を与えエゾシカと通行車両との事故を減らす効果があることを明らかにした。ただし、道路のグルービングによる音には限界が多々あり、効果的な対策となるかどうか不十分であることも音響モデルから明らかになった。今後、さらにエゾシカの警戒声を有効にエゾシカ事故対策に生かす方策を模索する必要がある。
著者
佐々木 公明 日野 正輝 長谷部 正 山本 啓 小林 一穂 照井 伸彦 赤松 隆 徳永 幸之 林山 泰久 福山 敬 徳川 直人 平野 勝也 伊藤 房雄 村山 良之 横井 渉央 張 陽
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

日本の集計データに基づいた幸福関数の統計的分析は「他者との比較」を表す生活水準が住民の幸福度に影響を与えることを示す。一方、物質の豊かさの価値よりも心の豊かさに価値を置く方が幸福度を増加させる。幸福度は所得満足度と共に単調に増加するが、所得満足度は生得水準の単調増加ではなく、「快楽の踏み車」仮説があてはまる。社会環境を表す所得分配の不平等と失業率はいずれも個人の幸福度に負の影響を与えるが、不平等よりも失業が住民の幸福により大きな影響を与える。
著者
永木 正和 木立 真直 納口 るり子 茂野 隆一 松下 秀介 川村 保 広政 幸生 長谷部 正 坪井 伸広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.国内研究本年度は研究最終年度にあたるため、各分担者間の研究分担課題の最終微調整、課題の確認、補足的な調査活動、および研究会での研究成果の報告を内容とする活動を行った。国内調査等は個別補完的に行うものとし、小規模にとどめた。2.海外交流、海外調査(1)韓国の農産物・食品流通は日本と類似の展開が認められている。わが国の韓国からの輸入依存が高まる可能性が高いとの認識から、以前より韓国の研究者集団(韓国生鮮農産物新流通研究会)と交流をもっていたが、相互研究発表の形でソウルにおいて「日韓共同シンポジューム」を開催した。情報システムと物流システム(特にロジスティックス)の構築が主要な議論となった。(2)日韓シンポジュームの後は韓国農村で生鮮野菜の流通システムを調査した。3.秋以降は数次の研究会(主に筑波大学にて)(1)筑波大学で公開研究会を開催し、分担者は順次研究報告した。最後の2月の研究会では、本研究全体の統一コンセプトの再確認、ならびに総体的な結論について討論した。(2)研究成果を要約的に言及すると、方法論的には産業組織論であるが、主として川下に切り口を置くアプローチをとった。ちょう度、食品の安全性問題や風評被害が発生した時期であり、これまで市場経済学やマーケッティング経済学ではあまり重視されてこなかった「製品品質の1つとしての安全性」、「製品に付加する1つのサービスとしての安心」を市場流通させるための不可欠な商品属性であることを見いだし、これを取引理論、情報理論を手がかりにした経済学理論を構築した。また、経済学の範疇を超えて、消費者倫理に関しても、一定の考え方を提示できた。(3)ホーム・スキャン・データ等の新しいデータ利用等から、この時期に発生した食品の品質事故問題、また伝統食品対遺伝子組み換え食品の対比での商品の認証や差別化流通に関するタイムリーな消費者行動の実証分析をなし得た。(4)消費者行動の多様化に対応して国内流通・加工業が顧客をターゲット化しており、それが商品に付随する品質やサービスの多様化、市場を主導している小売り市場の多様化、海外からの原料農産物積極輸入の背景が解明された。国内小売業の競争戦略、品質管理戦略に端を発して流通システムが海外からの輸入急増を導いていた。海外での市場再編動向の最新事情も入手した。4.本研究の成果と公表の仕方今年(平成14年)6月末を目処にして専門著書としての公刊を予定している。各分担者はさらなる研究成果の精緻化と推敲に取り組んでいるところである。
著者
松田 敏信 永木 正和 長谷部 正 草苅 仁 鈴木 宣弘 伊藤 房雄 茂野 隆一 趙 来勲 山口 三十四
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,少子高齢化と食の安全性をキーワードとして,消費者需要を中心に生産や国際貿易などフードシステム全般のメカニズムを経済分析により明らかにすることである.主な研究成果として,代表者の独自モデルLA/QUAIDSによって,都市別・月別の疑似パネルデータを推定し,少子高齢化が食料需要に与える影響を明らかにした.また,需要システムの新たな独自モデルを複数提案し,さらに食料生産の計量経済分析や国際貿易の応用ミクロ経済分析等を実施した