著者
福渡 努 江畑 恵 佐々木 隆造 保苅 義則 紅林 毅久 橋詰 昌幸 柴田 克己
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.265-272, 2005-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

(1) ヒトを用いて, カツオ由来ナイアシン高濃度含有パウダー(カツオパウダー)中のナイアシンの生物有効性について検討した.21~23歳の健康な女子経生8名を対象として, 食事摂取基準を満たす食事を2日間与えた後, ナイアシン51mgを含むカツオパウダー15gを摂取させた.カツオパウダーを摂取した日に, 摂取カツオパウダー中のナイアシンの52%がニコチンアミド代謝産物として尿中に排泄された.カツオパウダー中のナイアシンはニコチンアミド標品に近い, 高い生物有効性を持つことが示唆された.(2) カツオパウダーがストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病の予防・改善効果を有するか検討した.5週齢のWistar系雄ラットにカツオパウダー添加食を8日間与えた後, STZ20mg/kg body weightを腹腔内注射し, さらにカツオパウダー添加食を21日間与えた.カツオパウダー摂取によるSTZ誘発性の糖尿病の予防・改善は見られなかった.しかし, STZ誘発性糖尿病によるナイアシン栄養状態の悪化を防止した.
著者
永尾 雅哉 増田 誠司 佐々木 隆造 増田 誠司 永尾 雅哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

エリスロポエチン(EPO)は赤血球の前駆細胞に作用して、その増殖・分化を促進することで赤血球量を調節するホルモンである。しかし、意外にも血管内皮細胞に作用して、その増殖を促進することが明らかになってきたため、性周期にともなう子宮内膜の肥厚の際に見られる生理的な血管形成にEPOが関与している可能生について検討した。そして実際にEPOが血管形成促進因子として機能することを突き止めた。そこで本研究では、子宮におけるEPOの発現制御機構に対して検討すると同時に、他の生殖器官におけるEPO産生についても検討した。以下に成果を列挙する。1.子宮におけるEPOの産生制御は主としてエストロゲンによって行われている。低酸素刺激のみでは産生は誘導されず、エストロゲン投与時にのみ低酸素による誘導が観察された。2.子宮ではエストロゲンによって一過的にEPOの産生誘導が見られるが、これはエストロゲン受容体がダウンレギュレーションされるためと考えられた。3.腎臓や脳においては、子宮とは異なり、エストロゲンではEPO mRNAは誘導されず、低酸素により誘導された。但し、腎臓では低酸素で一過的に誘導されるのに対して、脳では低酸素が続く限り、EPO mRNAは高レベルを維持した。この結果は、腎臓で産生されるEPOは赤血球量の調節に、脳のEPOは神経細胞死の防御に用いられるため、その機能を非常によく反映した制御機構であると理解できた。4.卵巣、卵管においてもエストロゲン依存的にEPOの産生が見られたが、特に卵管峡部で発現が高かった。5.精巣および精巣上体でも低酸素誘導性のEPOが産生が見られることを発見した。また、性成熟に伴い精巣上体でのEPO産生が劇的に上昇することが明らかになった。
著者
柴田 克己 福渡 努 和田 英子 佐々木 隆造
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, 2004-09-25

ニコチンアミドは, ヒトにおいてもトリプトファンからde novo合成される. トリプトファン-ナイアシン転換係数を60とすると, 日本人では, ナイアシン当量摂取量の半分はトリプトファンから生合成されたものであるため, この係数をどのように扱うかは, ナイアシンの必要量算定においてきわめて重要な問題となっている. ところが, このde novoニコチンアミド合成経路が, ヒトにおいて摂取ニコチンアミド量によって影響を受けるか否かについては, 未だに報告がない, もし, 摂取ニコチンアミド量によってde novoニコチンアミド生合成経路がフィードバック阻害をうけているならば, ナイアシンの必要量の策定に大きな影響を及ぼすことになる. そこで, 6名の女性を被験者として, ニコチンアミドの付加がde novoニコチンアミド生合成経路の中間代謝産物の産生に及ぼす影響を調べた. その結果, アンスラニル酸, キヌレン酸, キサンツレン酸, 3-ヒドロキシキヌレン酸, キノリン酸の産生量はニコチンアミドを89μmol/日, 310μmol/日, 562μmol/日という量を付加させても, 全く変動しなかった. すなわち, de novoニコチンアミド生合成経路は目的産物であるニコチンアミドによってフィードバック阻害を受けていないことが明らかとなった. したがって, ナイアシンの必要量を算定する上で, 摂取ニコチンアミド量を考慮に入れたトリプトファン-ナイアシン係数を算定する必要がないことが, はじめて明らかとなった. 〔論議〕勝沼会友 代謝経路におけるfeed back inhibitionは, その系の最初のステップになることになっているので, うまくデザインされていると思います. トリプトファンからナイアシンへの合成系の終末産物は何でしょうか. それによりデザインは変えねばならぬと思いますが. 柴田委員 ありがとうございます. 最終産物はニコチンアミドです. ヒトには, ニコチンアミド→ニコチン酸の反応を触媒するニコチンアミダーゼ活性は検出されていませんので. 上田委員 こういう栄養実験の被検者はどのように生活管理されるのでしょうか. といいますのは, 運動したり紫外線を受けたりすると, NAD→ポリ(ADP-リボース)系が動いてNAD合成にも影響するように思われます. 柴田委員 外での積極的な運動をさせていません. 一定の生活を送るように管理しています. 先生のサジェストは, 食事摂取基準の策定において, 大変重要なことですので, 検討してみる必要があると考えます.