著者
門岡 幸男 小川 哲弘 高野 義彦 守屋 智博 酒井 史彦 西平 順 宮崎 忠昭 土田 隆 佐藤 匡央
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.79-83, 2019 (Released:2019-04-23)
参考文献数
19

Lactobacillus gasseri SBT2055株 (LG2055) の摂取による消化管を介した保健機能に関する研究を行った。内臓脂肪蓄積抑制作用については, はじめに, LG2055を含む高脂肪飼料を摂取したラットで腸間膜脂肪の脂肪細胞の肥大化が抑制されることを見出した。さらに, この知見を基にヒト介入試験を実施し, 有効性探索, 用量設定および最終製品での確認という一連の試験において, LG2055の摂取による内臓脂肪蓄積抑制作用を確認した。免疫調節作用については, マウスにおける小腸免疫グロブリンA産生促進作用およびインフルエンザウイルス感染防御作用を確認し, さらに, ヒト介入試験においてインフルエンザワクチン特異的抗体価およびナチュラルキラー細胞活性の亢進を確かめた。以上の成果の活用例として, 内臓脂肪蓄積低減作用に関する知見に基づいた特定保健用食品の許可取得および機能性表示食品としての届出があげられ, 実際の商品への保健機能表示が可能となった。
著者
今泉 勝己 佐藤 匡央
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

食事性高コレステロール濃度を決定する遺伝子は雄では14番、雌では5番染色体上に存在する。以下それぞれ別々に解析した。(1)雄(染色体14番)における解析染色体14番の連鎖解析により既にSMEK2を同定した。前年度はこの機能未知の遺伝子について、コンジェニック系統Ex. BN-Dihc2ラットを用いて、ラット全遺伝子を網羅したDNAチップによりトランスクリプトーム解析を行った結果、本遺伝子の制御による系が発見されたのでその解析を行った。(1)コンジェニック系統Ex. BN-Dihc2ラットを用いた表現型の解析1血清コレステロール濃度と肝臓トリアシルグリセロール量との関係肝臓トリアシルグリセロールの合成不全が、高コレステロール血症を引き起こす。従って、Ex. BN-Dihc2ラットでも同様に起こっており、脂肪酸合成低下に起因したトリアシルグリセロール合成不全はSMEK2によっていると考えられた。(2)雌(染色体5番)における解析染色体5番にある領域は雌の血清コレステロール濃度を規定していると考えられる。しかし現時点では25MBpとかなりの距離があり約245の遺伝子までに限局した。
著者
松井 利郎 佐藤 匡央 津田 孝範 南部 伸孝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-05-31

低分子ペプチドの生体調節機能を明示し、先端的食科学の構築を図ることを目的として、血管及びその他組織での生理作用発現性について詳細な解明を試みた。その結果、塩基性ジペプチド類は内皮非依存的に血管を弛緩させること、その作用は細胞内でのカルシウムシグナル系の抑制であることを細胞並びにMDシミュレーション法により明らかにした。さらに、この血管弛緩作用は加齢に伴い、また高血圧進展に伴い減弱するとの新たな知見を得た。さらに、体内吸収過程の可視化に成功するとともに、筋肉組織においてAMPK活性化を誘導し、抗糖尿病作用を発現する可能性を初めて明示することができた。