著者
人見 英里 田村 聡美 鶴本 祐子 津田 孝範 中野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.779-785, 1999-12-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
21
被引用文献数
3 5

南アフリカ産発酵茶であるルイボスティーについて数種のin vitroモデル系を用いてその抗酸化性の評価を行った.(1) ルイボスティー茶葉熱水浸出液およびルイボスティー熱水抽出物はリノール酸モデル系において強い抗酸化性を示し,ルイボスティー熱水抽出物はクエン酸との間に相乗効果を示した.(2) 生体モデル系である赤血球膜ゴースト系,ラット肝ミクロソーム系,ラット肝ホモジネート系においてもルイボスティー熱水抽出物又はルイボスティー茶葉熱水浸出液は濃度依存的に過酸化を抑制した.(3) ルイボスティーに含まれることが報告されているフラボノイド類から6種を選んで抗酸化試験を行ったところ,ルテオリンとクェルセチンが特に強い抗酸化性を示した.
著者
津田 孝範 藤井 正人 渡邉 美栄 中莖 秀夫 大島 克己 大澤 俊彦 川岸 舜朗
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.475-480, 1994
被引用文献数
2

本金時抽出物の抗酸化性について食品レベルで抗酸化効果を示すかどうか検討した.<BR>(1) 本金時抽出物は,リノール酸モデル系において強い抗酸化性を示し, α-トコフェロールと同等かそれ以上の抗酸化性を示した.<BR>(2) 本金時抽出物は,クエン酸との間に強い相乗効果を示すが, α-トコフェロールとの間には,顕著な相乗効果を示さなかった.<BR>(3) ラードを用いたAOM試験においても本金時抽出物は強い抗酸化性を示し,クエン酸との間に強い相乗効果が認められた.従って,本金時抽出物を食品加工へ利用するときには,クエン酸を同時添加することが効果的であると考えられた.<BR>(4) 本金時抽出物を,ラードを用いたビスケットに添加したところ効果的にPOVの上昇を抑制し,クェン酸を同時添加すると更に強い抗酸化効果が認められた.<BR>(5) 本金時抽出物とクエン酸を同時添加したコーンサラダ油で揚げた小麦粉あられは, POVの上昇抑制効果が見られたが,その効果は,ビスケットへの添加効果と比較すると弱かった.<BR>(6) 本金時抽出物をβ-カロチンを含むモデルジュースに添加したところ,効果的にβ-カロチンの退色を抑制し,本金時抽出物は,ジュース中のような水系においても強い抗酸化効果を示すことが明らかになった.
著者
津田 孝範 深谷 吉則 大島 克己 山本 明 川岸 舜朗 大澤 俊彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.430-435, 1995-06-15
参考文献数
18
被引用文献数
2 11

タマリンド種皮抽出物の抗酸化性を食品加工へ利用するための基礎について検討した.<BR>(1) タマリンド種皮抽出物は,リノール酸モデル系において強い抗酸化性を示し,クエン酸及びα-トコフェロールとの間に相乗効果を示した.<BR>(2) タマリンド種皮抽出物は,100℃,2時間の加熱に対して安定であり,pHの変化に対しては,pH 5.0で抗酸化性の低下が認められた.また塩化ナトリウム存在下では,10%溶液中でも抗酸化性は,70%以上の残存率を示した.<BR>(3) 実際の食用油脂としてラード及びコーンサラダ油にタマリンド種皮抽出物を添加したところ,いずれの油脂においても抗酸化性を示した.
著者
松井 利郎 佐藤 匡央 津田 孝範 南部 伸孝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-05-31

低分子ペプチドの生体調節機能を明示し、先端的食科学の構築を図ることを目的として、血管及びその他組織での生理作用発現性について詳細な解明を試みた。その結果、塩基性ジペプチド類は内皮非依存的に血管を弛緩させること、その作用は細胞内でのカルシウムシグナル系の抑制であることを細胞並びにMDシミュレーション法により明らかにした。さらに、この血管弛緩作用は加齢に伴い、また高血圧進展に伴い減弱するとの新たな知見を得た。さらに、体内吸収過程の可視化に成功するとともに、筋肉組織においてAMPK活性化を誘導し、抗糖尿病作用を発現する可能性を初めて明示することができた。