著者
佐藤 康太
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of National Institure of Japanese Literature Archival Studies (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.12, pp.35-56, 2016-03-14

本稿は、近年新たに「大学史料編纂室」を設置した立正大学を事例に、年史編纂事業から大学アーカイブズへの発展へ向けた動向について考察するものである。まずアーカイブズ設立前史として、これまで立正大学において行われてきた周年記念事業(大学史編纂)に係る組織の変遷と、その過程で収集された大学史資料の保存管理状況や、現在までの伝来経緯をあきらかにする。つづいて、立正大学における「文書保存要領」などの現行規程類を参考に、今後の資料収集計画(レコードマネージメント)について展望を述べるとともに、その実践へ向けた現状の課題を整理する。また、先行研究に拠りつつ、実際に立正大学史料編纂室が所蔵する資料群に対して、適用可能な編成理論について検討をおこない、その有力な選択肢の一つとして「シリーズ・システム」について触れる。最後に、その実践として、現在計画中の「シリーズ・システム」のイメージを参考とした、リレーショナル・データベースによる目録検索システムの導入についても、その概要の一部を紹介する。なお、本事例における大学史資料の来歴検証の結果として浮き彫りとなった、大学組織内におけるアーカイブズの存在意義やその在り方についても、若干の私見を述べる。The purpose of this paper considers Rissho University which established “university archives” newly in recent years about the trend for the university archives establishment in a case.First of all, it's checked about establishment commemoration business of the past and a change in its organization in Rissho University. And I make it clear about management conditions of the university record collected by the process of the university history compilation. Second, future's view for decision of a record collection plan and the practice and problem are described by making reference to a present regulation of “documentary preservation point” etc. in Rissho University. Next when classifying a university record material group of Rissho University, applicable classifying process theory is considered and “series system” is taken up as one of the strong choices. Finally, The part of the outline is also introduced about introduction of the material catalog search system by the relational database which made the image of “series system” reference that it’s being planned at present.
著者
佐藤 康太
出版者
国立音楽大学大学院
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 = Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-16, 2023-03-31

メンデルスゾーンの《演奏会用小品第2番ニ短調》作品114にはメンデルスゾーン本人によるものではないオーケストラ伴奏稿が存在する。その編曲者に関して、初演者の1人であり成立過程に密接に関与したミュンヒェンのクラリネット奏者カール・ベアマンではなく、同姓同名の伯父であるベルリンのファゴット奏者ではないかという可能性が、Riedelによって提案されていた。本論文は、候補となる2人のカール・ベアマンのうち、編曲者はミュンヒェンのカールである可能性が高いことを史料の情報を精査することで示すものである。まずオーケストラ伴奏稿唯一の楽譜史料であるミュンヒェンの手稿総譜が、Riedelの想定する自筆の作業用総譜ではなく、あくまで別の史料から書き写されたものであることを、特に第3楽章の修正痕から明らかにする。この箇所ではバスパートのみを1小節ずらして書いてしまったものを後から修正しているが、これは編曲するときには起こりにくく、楽譜を筆写するときに容易に起こるものである。続いて、このミュンヒェンの史料が、誰によって書かれたものかを考察する。Riedelは、この史料の筆跡がミュンヒェンのカールによるものではないという点から、書き手としてベルリンのカールを想定した。しかし筆者がこの史料を、ベルリンの確実性の高い史料と比較した結果、書き手はミュンヒェンのカールの父であるハインリヒ・ベアマンである可能性が非常に高いことが明らかになった。中でも、イタリア語の序数secondoをIImoと誤記している点は、この2つの史料に固有の特徴である。また本史料に使われているのがミュンヒェン近郊の紙工房のものであること、そして本史料がミュンヒェン宮廷楽団のコレクションであったことも、書き手がハインリヒであることを支持する。もしベルリンのカールが書き手であるとしたら、同じ筆跡による複数のハインリヒ・ベアマンの作品が同コレクションに含まれていることの説明がつかない。史料の書き手がベルリンのカールではない以上、編曲者としても彼を想定する必然性はない。筆者はさらに、オーケストラ伴奏稿の第1楽章のカデンツァが、ミュンヒェンのカールが所持していた筆写譜に基づく初版譜のそれと明確な共通性を示すことを指摘し、編曲者としてもミュンヒェンのカールを想定すべきという結論に達した。なぜハインリヒが息子の楽譜を書き写す必要があったのかは確かに疑問ではあるが、それだけを理由に編曲者としてベルリンのカールを想定することは、史料そのものから読み取ることのできる情報に反する。最後に筆者は、現存史料の関係性を樹形図として示した。第2楽章のカデンツァの違いから、オーケストラ伴奏稿のもととなった筆写譜と、初版譜のもとになった筆写譜は――両方ともベアマン親子が所持していたはずだが――異なるものであった可能性が高い。
著者
藤島 昭宏 竹内 健一郎 佐藤 充羽 佐藤 康太郎 宮﨑 隆
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.241-250, 2012
参考文献数
15

研磨したチタンに4種類の表面処理(サンドブラスト,プライマー,2種類のトライボケミカル)を施し,7種類のレジンセメントを用いてチタン接着体を接着させ,せん断接着強さ(SBS)の測定を行った.チタン研磨面における接着強さは,機能性モノマーを含有するアンフィルド系レジンセメントでは,コンポジット系レジンセメントよりも顕著に高いSBSを示したが,表面処理を施しても接着強さには影響しなかった.サンドブラスト処理面へのプライマー(B-MDP)処理では,機能性モノマーを含有しないコンポジット系レジンセメントは,顕著に高いSBSを示した.また,トライボケミカル(TRB)処理においても,B-MDP処理面とほぼ同等の高いSBSを示した.以上の結果から,チタンに対する接着強さの増加には,B-MDP処理やTRB処理を施した後,機能性モノマーを含有しないレジンセメントを用いた場合,最も効果的であった.
著者
佐藤 康太
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 = The bulletin of the National Institute of Japanese Literature. 人間文化研究機構国文学研究資料館 編 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.12, pp.35-56, 2016-03

本稿は、近年新たに「大学史料編纂室」を設置した立正大学を事例に、年史編纂事業から大学アーカイブズへの発展へ向けた動向について考察するものである。まずアーカイブズ設立前史として、これまで立正大学において行われてきた周年記念事業(大学史編纂)に係る組織の変遷と、その過程で収集された大学史資料の保存管理状況や、現在までの伝来経緯をあきらかにする。つづいて、立正大学における「文書保存要領」などの現行規程類を参考に、今後の資料収集計画(レコードマネージメント)について展望を述べるとともに、その実践へ向けた現状の課題を整理する。また、先行研究に拠りつつ、実際に立正大学史料編纂室が所蔵する資料群に対して、適用可能な編成理論について検討をおこない、その有力な選択肢の一つとして「シリーズ・システム」について触れる。最後に、その実践として、現在計画中の「シリーズ・システム」のイメージを参考とした、リレーショナル・データベースによる目録検索システムの導入についても、その概要の一部を紹介する。なお、本事例における大学史資料の来歴検証の結果として浮き彫りとなった、大学組織内におけるアーカイブズの存在意義やその在り方についても、若干の私見を述べる。The purpose of this paper considers Rissho University which established "university archives" newly in recent years about the trend for the university archives establishment in a case.First of all, it's checked about establishment commemoration business of the past and a change in its organization in Rissho University. And I make it clear about management conditions of the university record collected by the process of the university history compilation. Second, future's view for decision of a record collection plan and the practice and problem are described by making reference to a present regulation of "documentary preservation point" etc. in Rissho University. Next when classifying a university record material group of Rissho University, applicable classifying process theory is considered and "series system" is taken up as one of the strong choices. Finally, The part of the outline is also introduced about introduction of the material catalog search system by the relational database which made the image of "series system" reference that it's being planned at present.