著者
佐藤 昭宏
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.147-170, 2012-12-26

困難な状況にあるとされる教員を如何に支援するかを考えるにあたり,これまでの先行研究の蓄積の結果,職員室という環境が注目を集めることが多くなってきた。しかしこれまで,職員室を,実際にその場を構成する当事者である教員の立場から検討しようとする研究はほとんど見られなかった。 そうした状況を鑑み,本論文においては,当事者である教員が職員室という場を如何に意味づけているかということを検討することの意義について,まず論じた。そしてその意味づけを考察するにあたっては,教員による「語り」,「言葉」を研究対象とすべきことを,言葉を,それを語る者の「世界の見方」としたBakhtin の言語論,更にMoos による社会的風土概念から示した。 本論文は,今後の職員室研究が如何に進展すべきかを,先行研究のレビューを基に理論的に検討したものである。
著者
佐藤 昭宏
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.73-89, 2011-06-30

本研究では,職員室が一体如何なる環境であるのか,つまり職員室風土とは如何なるものであるのかを,8名の現役教員に対する聞き取り調査を行うことから検討した。その結果これまで指摘されてきた5つの機能の他に,「様々な問題に対応するための組織の柔軟性の提供」,「子ども達の駆け込み場所となる」,「教員の孤立を防ぐ」,「学校としての組織風土や雰囲気を醸成する場を提供する」という4つの機能が職員室にあることが新たに見出された。また個別の教員のインタビューを比較検討した結果,職員室という環境が,「教員集団」,「職員室の構造」,「学校の構造・教育内容」,その教員の「個人要素」という4つの要素が複雑に絡み合った結果成立しているものであることが示唆された。