著者
安部 朋世 神谷 昇 西垣 知佳子 小山 義徳
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.209-213, 2017-03

[要約] 本稿は,「データ駆動型学習(Data-Driven Learning; DDL)」開発の基礎的資料とすべく,現行の中学校国語教科書及び英語教科書に現れる文法用語を調査し,DDLによる文法指導における注意点や問題点等を整理することを目的とするものである。具体的には,中学校国語教科書と中学校英語教科書における「品詞」の現れ方と,小学校及び中学校国語教科書と中学校英語教科書における「文の構成要素」に関する用語の現れ方を調査し,国語と英語の品詞の内実の違いについての注意点や,文法用語の使用状況に関する問題点を明らかにするとともに,本研究を踏まえ,今後実践研究における分析を行うことにより,文法用語の適切な使用のあり方について考察を行っていく必要があることを指摘した。
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.351-358, 2009
被引用文献数
1 1

英文速読指導が大学生の英語リスニング能力の伸長に効果があるか検討を行った.まず,予備実験を行い,英語リスニング得点高群と低群の英文読解時の読み戻り数を比較した.その結果,高群は低群と比較して読み戻り数が少ないことが明らかになった.本実験では速読訓練を行うことで読み戻り数が減少し,入力情報を継時的に処理するスキルが向上することで英語リスニング能力の伸長につながるのか,ディクテーション訓練との比較検討を行った.8週間の間,速読群(24名)には週1回10分間の英文速読訓練を行い,ディクテーション群(18名)には8週間の間,週1回10分間のディクテーション訓練を行った.その結果,ディクテーション群のリスニング能力は伸びなかったが,速読群のリスニング成績が向上し,英文速読訓練を行うことで読む速さが向上するだけでなく,副次的に英語リスニング能力も伸長する可能性があることが明らかになった.
著者
安部 朋世 神谷 昇 小山 義徳 西垣 知佳子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.59-64, 2018-03

[要約] 本研究グループでは,英語の語彙・文法指導のひとつの方法として,「データ駆動型学習 (Data-Driven Learning:DDL)」の有効性について,継続して調査・研究を行っている。本稿は,DDL教材・指導法開発のための基礎的データを収集するために,学校英文法と学校国文法が既修である大学生に対して,英語と国語それぞれの品詞に関する理解度調査を行った結果を報告し,学校英文法と国語科文法学習の双方の影響と連携の可能性について検討する。具体的には,大学1年生を対象に調査を行い,その結果から,[ 1 ] 日本語文法と英文法の知識をどの程度正しく身に付けているか,[ 2 ] 日本語と英語の品詞によって理解の程度に差はあるか,[ 3 ] 日本語文法の知識から英語文法の知識に,どのような転移が見られるか,[ 4 ]英語文法の知識から日本語文法の知識に,どのような転移が見られるか,について実態を明らかにする。
著者
植阪 友理 鈴木 雅之 市川 伸一 Manalo Emmanuel 和嶋 雄一郎 小山 義徳 瀬尾 美紀子 植阪 友理 Manalo Emmanuel
出版者
東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター
雑誌
Working Papers
巻号頁・発行日
vol.1, 2012-08-31

科学研究費補助金基盤研究B「学習方略の自発的利用促進メカニズムの解明と学校教育への展開」(代表 Emmanuel Manalo)
著者
小山 義徳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.28-42, 2020-03-30 (Released:2020-11-03)
参考文献数
59
被引用文献数
1

本稿は,この数年の間に発表された,日本教育心理学会における教授・学習・認知領域における研究を概観し,この分野における成果を紹介した。本稿の対象としたのは2018年7月から2019年6月末までに『教育心理学研究』に掲載された論文及び,2019年9月に日本大学で開催された日本教育心理学会第61回総会で発表された内容である。本稿では,『教育心理学研究』に掲載された研究と,総会で発表された研究を分けて紹介し,学会誌におけるトレンドと学会発表のトレンドが明らかになるように構成した。また,「探究的な学習」に関する理論やエビデンスとしてどのような研究があるかを検討した。その結果,「探究的な学習」に関する研究があまり多く行われていないことが明らかになった。そのため,最終節では,特に「疑問生成」にフォーカスして,教育心理学の「探究的な学習」への展開可能性について述べた。
著者
小山 義徳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.73-85, 2009-03-30 (Released:2012-02-22)
参考文献数
29
被引用文献数
6 1

英語を外国語として学ぶ日本人学習者を対象に, 英単語の学習方略が英語の文法・語法上のエラー生起に与える影響を検討した。研究1では, 半構造化面接を行って収集した項目をもとに高校生182名・大学生84名を対象に調査を行い英単語学習方略尺度を作成した。研究2では, 学習者が英語のエラーを犯す頻度を測定するために, 高校生157名を対象に調査を行い英語の文法・語法エラーテストを作成した。研究3においては, 研究1, 2で作成した尺度を用いて高校生123名と大学生301名を対象に, 英単語学習方略がエラー生起に与える影響を検討した。その結果, 英語と日本語の意味を対にして覚える対連合方略の使用が英語の文法・語法エラーの生起と関連があることが明らかになった。
著者
小山 義徳
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.559-568, 2011 (Released:2013-04-09)
参考文献数
17

This study examined relation between English listening, working memory capacity and serial information processing skill. English passages were presented word by word to Japanese university students (N=22) to measure serial information processing skill, and to examine its role in English listening comprehension in relation to working memory capacity. The result of this study showed that even learners with high capacity of working memory perform poorly on listening comprehension test, if they have low serial information processing skill. Working memory capacity measured by the reading span test is not a good predictor of L2 listening comprehension, and found that the participants' serial information processing skill is a possible variable that influences L2 listening comprehension. This study showed the need for continued investigation on L2 listening comprehension from the perspective of serial information processing.
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.351-358, 2009-02-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
23
被引用文献数
2

英文速読指導が大学生の英語リスニング能力の伸長に効果があるか検討を行った.まず,予備実験を行い,英語リスニング得点高群と低群の英文読解時の読み戻り数を比較した.その結果,高群は低群と比較して読み戻り数が少ないことが明らかになった.本実験では速読訓練を行うことで読み戻り数が減少し,入力情報を継時的に処理するスキルが向上することで英語リスニング能力の伸長につながるのか,ディクテーション訓練との比較検討を行った.8週間の間,速読群(24名)には週1回10分間の英文速読訓練を行い,ディクテーション群(18名)には8週間の間,週1回10分間のディクテーション訓練を行った.その結果,ディクテーション群のリスニング能力は伸びなかったが,速読群のリスニング成績が向上し,英文速読訓練を行うことで読む速さが向上するだけでなく,副次的に英語リスニング能力も伸長する可能性があることが明らかになった.
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.87-94, 2010

英文速読訓練により英語リスニングスコアが向上する学習者にはどのような特性があるのか検討した.分析1では英文速読訓練を行った群が統制群よりも英語リスニングスコアが伸びることを確認した.分析2では,速読訓練前のディクテーションスコアの高低でリスニングスコアの伸びを比較した.その結果,速読訓練前の時点でディクテーションスキルが高かった学習者も低かった学習者も,訓練後に継時処理課題のスコアが伸びていた.しかし,訓練前の時点でディクテーションスキルが高い学習者の方が,低い学習者よりもポストテストにおけるリスニングスコアが高かった.このことから,訓練前の時点で既にディクテーションスキルが高い学習者の方が,英文速読訓練により継時処理スキルが向上した場合に,リスニングスコアが高くなることが明らかになった.
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.87-94, 2010-11-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
11

英文速読訓練により英語リスニングスコアが向上する学習者にはどのような特性があるのか検討した.分析1では英文速読訓練を行った群が統制群よりも英語リスニングスコアが伸びることを確認した.分析2では,速読訓練前のディクテーションスコアの高低でリスニングスコアの伸びを比較した.その結果,速読訓練前の時点でディクテーションスキルが高かった学習者も低かった学習者も,訓練後に継時処理課題のスコアが伸びていた.しかし,訓練前の時点でディクテーションスキルが高い学習者の方が,低い学習者よりもポストテストにおけるリスニングスコアが高かった.このことから,訓練前の時点で既にディクテーションスキルが高い学習者の方が,英文速読訓練により継時処理スキルが向上した場合に,リスニングスコアが高くなることが明らかになった.
著者
深谷 達史 小山 義徳
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.115-126, 2013-09-17 (Released:2017-03-02)
参考文献数
18

This study examined students' difficulties of explanation activity in university lecture class. Study 1 examined the students' impression to the explanation activities, and the result showed that most of the students thought the activity positive manner. However, the result also suggested that many students felt anxious of the activity because they were not sure how to explain. In Study 2, to reduce their anxiety, students were instructed to give examples for topics hard to understand and to check listeners' understanding. The results showed that although students' confidence to their explanation rose after the instruction, most of their examples just mimicked what on the texts, and some contained inappropriate examples. Based on these results, we discussed the way of effective instruction for explanation activity.
著者
深谷 達史 小山 義徳
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.115-126, 2013

<p>This study examined students' difficulties of explanation activity in university lecture class. Study 1 examined the students' impression to the explanation activities, and the result showed that most of the students thought the activity positive manner. However, the result also suggested that many students felt anxious of the activity because they were not sure how to explain. In Study 2, to reduce their anxiety, students were instructed to give examples for topics hard to understand and to check listeners' understanding. The results showed that although students' confidence to their explanation rose after the instruction, most of their examples just mimicked what on the texts, and some contained inappropriate examples. Based on these results, we discussed the way of effective instruction for explanation activity.</p>
著者
小山 義徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.49-52, 2008

本研究はリスニングの理解には学習者の音声情報の認識能力と情報の継時処理の2つの要因が関与していると考えた.リーディングとリスニングの情報処理過程には共有部分があるとする先行研究に基づき,英文速読訓練を行い継時処理スキルを向上させることが,英語リスニング能力の伸長につながるか検討を行った.リスニングのプレテストスコアを共変量,ポストテストスコアを従属変数,音声情報認識能力テストの高低を実験変数とした共分散分析を行ったところ英文速読訓練が英語リスニング能力の伸長に与える効果は,音声情報認識能力の高さによって異なることが明らかになった.
著者
Manalo Emmanuel 鈴木 雅之 田中 瑛津子 横山 悟 篠ヶ谷 圭太 Sheppard Chris 植阪 友理 子安 増生 市川 伸一 楠見 孝 深谷 達史 瀬尾 美紀子 小山 義徳 溝川 藍
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

3年目である本年は、21世紀型スキルの促進ということに焦点を当てて研究を行った。この結果、様々なワークショップや授業を開発した。具体的には、大学教員の質問スキルの向上を目指すワークショップの開発、小学校教員による効果的な学習法指導の開発、高校生の批判的思考と探究学習を促進する実践の提案などを含む。さらに、教育委員会と連携した実践なども行った。こうした研究の結果、研究代表者であるEmmanuel Manaloと分担研究者である植阪友理を編者に含む、英語の書籍を刊行した。この書籍は、自発的な方略を促進するためのあり方を具体的に提案するものであった。この本の論文はいずれも、査読付きであり、このうち9本は本プロジェクトに関わるメンバーが執筆している。のこり10本は海外の研究者が執筆している。海外の著者にはアメリカのUCLA (University of California Los Angeles) やPurdue University、スイスの ETH Zurich、ドイツの University of Munster (Germany) 、University of Hong Kongなどといった一流大学の研究者が含まれており、国際的な影響力も大きなものとなったと考えられる。さらに、日本心理学会、教育工学会などといった国内学会において発表を行った。さらに、EARLI (European Association for Research in Learning and Instruction) やSARMAC (Society for Applied Research in Memory and Cognition) といった国際学会においても発表した。
著者
小山 義徳
出版者
Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.559-568, 2011-12-01

This study examined relation between English listening, working memory capacity and serial information processing skill. English passages were presented word by word to Japanese university students (<I>N</I>=22) to measure serial information processing skill, and to examine its role in English listening comprehension in relation to working memory capacity. The result of this study showed that even learners with high capacity of working memory perform poorly on listening comprehension test, if they have low serial information processing skill. Working memory capacity measured by the reading span test is not a good predictor of L2 listening comprehension, and found that the participants' serial information processing skill is a possible variable that influences L2 listening comprehension. This study showed the need for continued investigation on L2 listening comprehension from the perspective of serial information processing.