- 著者
-
佐々木 華織
菅野 洋光
横山 克至
松島 大
森山 真久
深堀 協子
余 偉明
- 出版者
- 日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.12, pp.881-894, 2004
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
-
3
山形県庄内地方に発生する清川ダシの集中気象観測を行い,峡谷出口に強風域が局限される事例(Obs-1)と,全域で強風の事例(Obs-2,3)を観測した.峡谷出口でのパイバル2点観測の結果,東風成分の高度は事例によって異なり,Obs-2では下層200~400mに最強風帯が,その上空付近には1m/s以上の強い上昇流が発生していた.峡谷出口の風速は,峡谷内の気圧傾度によって加速された,地峡風の風速と同様の傾向であったが,Obs-1ではばらつきが大きかった.付近の高層データから,全ての事例で逆転層が認められた.Obs-1では上流である仙台の逆転層が清川周辺の山脈と同程度と低く,フルード数は0.11であり,峡谷出口付近でHydraulic jumpが発生していた可能性がある.一方,Obs-2,3では仙台の逆転層が高く,フルード数は最高0.58で,強風が平野全域に現れやすい状況であったと考えられる.