著者
巽 博臣 升田 好樹 今泉 均 吉田 真一郎 坂脇 英志 後藤 京子 原田 敬介 信岡 隆幸 平田 公一
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.1245-1250, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

【目的】重症患者における早期経腸栄養開始後は便秘・下痢が問題となる。排便量から緩下剤の継続・休止や必要な処置・検査などを決定する排便コントロール基準 (以下、本基準) の効果について検討した。【対象および方法】ICUで経腸栄養を7日以上継続した53症例 (導入前群24例、導入後群29例) を対象とした。「一日排便量≥300g」を下痢、「48時間以上排便がない状態」を便秘と定義し、経腸栄養開始後1週間の排便状況を両群間でレトロスペクティブに比較検討した。【結果】一日排便量の1週間における推移は導入前後で交互作用がみられた。7日間における下痢の頻度は導入前群2.5±0.3日、導入後群2.0±0.3日と有意差はなかったが、便秘の頻度は1.5±0.3日から0.7±0.2日に、便秘または下痢の頻度は4.0±0.3日から2.6±0.3日に有意に減少した。【結語】排便量に従って薬剤投与や浣腸処置の追加を判断できる本基準の導入により、排便量および下痢・便秘の頻度が減少した。本基準の導入により適切な排便コントロールが可能となり、経腸栄養管理を有効かつ安全に実施できると考えられた。
著者
小井戸 一光 向谷 充宏 水口 徹 福井 里佳 木村 康利 信岡 隆幸 平田 公一
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.607-613, 2004

胆嚢,総胆管に同時に発生した重複早期胆道癌の1例を報告した.症例は70歳, 女性.当科に入院の2年前から指摘されていた胆嚢壁肥厚が腫瘤様となったため,精査目的に当科入院となった.US,CT,EUSの画像所見から固有筋層にとどまる早期胆嚢癌と診断し手術が施行されたが,術中ゲフリールにて胆嚢管断端陽性のため肝外胆道切除術D2郭清と胆管空腸吻合が施行された.膵・胆管合流異常は認められなかった.病理組織学的に胆嚢体底部と胆嚢管,さらに中部胆管に,それぞれ独立した早期乳頭状腺癌を認めた.胆嚢体底部,胆嚢管と中部胆管病変は,それぞれ大きさが3×1.5cm,0.7×0.5cm,0.2×0.2cmで,胆嚢管と中部胆管病変は画像・肉眼上確認できなかった.これらの病変問に連続性はなかった.胆嚢癌に遭遇した場倉,重複胆道癌を念頭において診断を進める必要がある.
著者
巽 博臣 信岡 隆幸 川崎 喜恵子 竹中 ユキ江 佐藤 香織 高橋 和也 菊池 敦子 角谷 真由美 井山 諭 平田 公一
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1119-1123, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
5

【目的】スタッフの臨床栄養に関する知識の把握を目的に調査を行った。【対象および方法】2011年4月と11月にアンケート調査を行った。1回目の結果を公表し、2回目の調査までに栄養療法の基礎的な内容のNSTセミナーを行った。【結果】基本項目の正答率 (1回目) は3大栄養素の熱量は52%、6大栄養素の成分は20%、微量元素製剤に含まれる微量元素は11%、急性期の栄養指標は5%であった。略語の意味の正答率はIVH、BMI、NSTについては約5割にとどまり、半数以上の略語が20%以下であった。高カロリー輸液製剤に含まれる栄養成分を理解している医師は50%以下で、経腸栄養剤の特徴は一部を除き10%以下の正答率であった。1回目に比べ2回目にはアンケート回答数が増加し、多くの項目で正答率の上昇傾向がみられた (有意差なし)。【結論】スタッフの栄養に関する基本知識の理解度は低かった。NSTセミナーで臨床栄養の重要性を啓蒙することで、栄養に対する興味や知識の理解度は向上すると考えられた。