- 著者
-
八尾坂 修
- 出版者
- 国立教育研究所
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1988
1各州における教員免許状の効力(有効期間)と現職研修の対応調査研究の結果得られた知見・成果は次の通りである。(1)今日卒業後即座に終身免許状を発行する州は3州(ニュー・ジャージー、マサチューセッツ、ミズーリ)に過ぎず、他の州はいずれも免許状の更新制、上進制を採用している。他のタイプとしては3タイプが考えられた。第1のタイプは有効期限付きの1種類の免許状を発行し、しかも一定の更新要件を課そうとするものである。第2のタイプは、等級別の免許状を上進させるたとによって最終的に終身免許状取得の道を開くものである。第3のタイプは終身免許状を発行することなく、有効期限付きの免許状を教職経験のみならず、一定の単位あるいは修士号取得等により、更新あるいは上進させようとするものである。(2)更新・上進要件として、大学(院)での単位履修のみならず、地方学区主導の研修プログラムを義務づけあるいは代替可能にしている州が多くの州に存するようになっていることはアメリカにおける免許制度と現職研修の対応における一つの変革とも指摘できる。(3)以上の結果を日本と比較してみると、わが国でも1989年4月以降、上位の免許状については在職年数のみによって取得することは適当でないとし現職研修が要求されたことからしてアメリカと同一方向を歩むことが予測され得る。2今後の研究の展開各州個別あるいは全州的にとらえた免許状の更新・上進制と現職研修の関連性の実態(免許状の名称、種類、有効期間、更新・上進要件、具体的な現職教育内容、現職教育の主体等)を明白にすること。さらにはこの研究対象を一般教員のみならず教育官吏職(校長等)にも視点を広げることが今後の研究課題である。