著者
本田 俊一 荒川 修 高谷 智裕 橘 勝康 八木 基明 谷川 昭夫 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.815-820, 2005 (Released:2005-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
58 62

無毒養殖トラフグに種々のテトロドトキシン(TTX)添加飼料を与える 60 日間の飼育試験を計 5 回実施した。ナシフグ残滓から抽出した粗毒を投与された試験魚は,低用量では皮や肝臓に微量の毒を,高用量では皮と内臓に少量,肝臓と卵巣に多量の毒を蓄積した。毒蓄積率は,水槽飼育の当歳魚で 2 割未満,網生け簀飼育の 2 年魚では 3 割程度で,一旦蓄積した毒は投与を止めても長期間各組織に保持されていた。精製 TTX の投与では,毒の蓄積は粗毒と同程度であったが,ナシフグ残滓を直接投与した場合は,総じて高濃度の毒蓄積がみられた。
著者
八木 基明 橘 勝康 三嶋 敏雄 原 研治 槌本 六良
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.501-505, 2001-12-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
16

ふ化直後のマダイとトラフグにカロテノイド(マダイ:β-カロテンあるいはアスタキサンチン,トラフグ:β-カロテン)で栄養強化したワムシを投餌し種苗生産を試みた。マダイでは,ふ化後20日の飼育で,β-カロテン及びアスタキサンチン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。トラフグでは,ふ化後28日の飼育でβ-カロテン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。両魚種ともに全長からみた成長にはカロテノイド強化による有意な差は認められなかった。飼育最終日の仔魚より脾臓を採取し,リンパ球の幼若化反応を検討したところ,両魚種ともにPWM20μg/mlあるいはCon A100μg/mlの刺激で,カロテノイド強化区が対照区に比較して有意に高い幼若化の反応性を示した。これらの強化ワムシでマダイやトラフグの種苗を飼育することにより,種々の感染症に対して抵抗力の高い健康な種苗の生産の可能性が考えられた。