著者
矢田 修 槌本 六秀 槌本 六良
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大學水産學部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.5-12, 2002-03

コイを用い、背部普通筋へのピンク筋の介在が、死後のK値変化に及ぼす影響を明らかにしようとした。深さ方向の筋タイプの構成は、血合筋部が赤筋のみ、中間筋部がピンク筋のみ、普通筋部が白筋(サブタイプIIa、或いはIIb)とピンク筋からなっていた。K値変化は、血合筋、中間筋、普通筋の順位で速く、ピンク筋が介在した普通筋の深さ方向の3部位では、K値変化に顕著な差は認められなかった。筋タイプの違いによるK値変化は、赤筋、ピンク筋、白筋の順位で速かったことから、背部普通筋へのピンク筋の介在はK値変化を速めるものと考えられた。
著者
橘 勝康 原 研治 野崎 征宣 槌本 六良
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ふ化直後のマダイとトラフグにカロテノイド(マダイ:β-カロテンあるいはアスタキサンチン,トラフグ:β-カロテン)で栄養強化した初期餌料を投餌し無投薬で生産を試みた。マダイでは、ふ化後20日の飼育で,β-カロテン及びアスタキサンチン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。トラフグでは,ふ化後28日の飼育でβ-カロテン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。両魚種ともに全長からみた成長にはカロテノイド強化による有意な差は認められなかった。飼育最終日の仔魚より脾臓を採取し,リンパ球の幼若化反応を検討したところ,両魚種ともにPWM20μg/mlあるいはCon A 100μg/mlの刺激で,カロテノイド強化区が対照区に比較して有意に高い幼若化の反応性を示した。これらの強化初期餌料でマダイやトラフグの種苗を飼育することにより,種々の感染症に対して抵抗力の高い健康な種苗の無投薬での生産の可能性が考えられた。引き続いてβ-カロテン強化モイストペレツトでブリ一年魚の飼育を2-3ヶ月間無投薬で行い飼育開始と飼育終了時の血液値と免疫防御能の比較を行った。飼育終了時における血液値では,両区とも飼育開始と飼育終了時では顕著な違いを認めず,実験期間を通じて健康であったと考えられた。実験終了時の免疫防御能をリンパ球の幼若化能を比較すると,β-カロテン区がマイトーゲン添加培養の全てで対照区より高い幼若化を示し免疫防御能が高いと考えられた。以上より,β-カロテン,アスタキサンチン共に免疫賦活作用を持ち,これらを餌料に添加することで無投薬飼育が可能となることが分かった。
著者
槌本 六良 宮田 克也 松尾 重己 大里 進子 高良 治江 三嶋 敏雄 橘 勝康
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.301-306, 1992-02-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

As a part of a study on the improvement of flesh texture in cultured red sea bream, we examined whether body density was useful to estimate the body fat content in live fish. A significant negative correlation was seen between body fat content (BF) and body density (BD) for cultured red sea bream aged one and two years as shown below. BD=-0.0018BF+1.0997 (n=97; p<0.001) The deviation of body density from this regression line, the residual value for each fish, was effected by the muscle ratio in the whole body. These results indicate that body density is useful not only to estimate the body fat content but also to surmise the relative level of muscle ratio in live fish.
著者
八木 基明 橘 勝康 三嶋 敏雄 原 研治 槌本 六良
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.501-505, 2001-12-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
16

ふ化直後のマダイとトラフグにカロテノイド(マダイ:β-カロテンあるいはアスタキサンチン,トラフグ:β-カロテン)で栄養強化したワムシを投餌し種苗生産を試みた。マダイでは,ふ化後20日の飼育で,β-カロテン及びアスタキサンチン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。トラフグでは,ふ化後28日の飼育でβ-カロテン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。両魚種ともに全長からみた成長にはカロテノイド強化による有意な差は認められなかった。飼育最終日の仔魚より脾臓を採取し,リンパ球の幼若化反応を検討したところ,両魚種ともにPWM20μg/mlあるいはCon A100μg/mlの刺激で,カロテノイド強化区が対照区に比較して有意に高い幼若化の反応性を示した。これらの強化ワムシでマダイやトラフグの種苗を飼育することにより,種々の感染症に対して抵抗力の高い健康な種苗の生産の可能性が考えられた。
著者
槌本 六良 橘 勝康 原 研治 石原 忠
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

種々の食用魚種における筋タイプと死後硬直進行を検討し、以下の結果を得た。種々の魚種の普通筋にはタイプII-aとII-b及びピンク筋の筋タイプが存在したが、その死後硬直との関係では、普通筋部にピンク筋が介在している魚種の死後硬直の進行速度とその到達レベルが高かった。白筋・ピンク筋・赤筋の分取し易いコイを用いて検討を行ったところ以下の結果を得た。筋肉内エネルギー貯蔵物質(ATP関連化合物総量・グリコーゲン量)はピンク筋・白筋・赤筋の順で多く、乳酸脱水素酵活性は白筋とピンク筋が赤筋に比較して高かった。すなわちピンク筋の嫌気的代謝能力は極めて高かった。筋タイプ別の死後硬直の進行はピンク筋・赤筋・白筋の順に速く、アクトミオシンの超沈殿反応でみた筋収縮モデルではピンク筋と白筋が赤筋よりそのレベルが高かった。筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性ピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。各筋タイプから調節した筋小胞体のCa放出能・Ca up take・Ca^<2+>-ATPasaからみたCa^<2+>調節能はピンク筋と白筋が赤筋よ 高かった。また電子顕微鏡を用いた形態計測の結果、筋小胞体の筋原線維に対する充実度(容積占有率・表面積率)はピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。すなわち、筋肉の収縮を支配し死後硬直進行に大きく係わるCa^<2+>調節能はピンク筋が最も高いと考えられた。以上の結果より、普通筋部へのピンク筋の介在が死後硬直の進行を速めると同時にその収縮レベルを高くしていると考えられた。