著者
兵藤 宏 池田 典代 長谷 彰 田中 邦明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.196-199, 1983 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

バナナ果肉中のアルコール脱水素酵素の活性は, 追熟に伴って, エチレンの生成や呼吸の増大と共に, 著しく増大した. それに遅れて果肉中のエタノール含量は顕著に増加した. バナナ果肉のアルコール脱水素酵素の最適pHはアセトアルデヒドのNADHによる還元では7.5,一方エタノールのNAD+による酸化は9.5であった.またpH 7.0では, アセトアルデヒドの還元の速度がエタノールの酸化の速度より15倍も速かった. これらのことはバナナ果肉中では, アルコール脱水素酵素はエタノール生成の方向に有利に働いていると考えられる.バナナ果肉は, 追熟に伴い, 解糖系による糖の分解が促進される. 特にフルクトース1, 6-二リン酸の増加が著しい. ピルビン酸デカルボキシラーゼの活性はほとんど変化はみられなかった. したがって追熟に伴う果肉中のエタノールの増加は, アルコール脱水素酔素の活性増大が大きな起因をなしていると考えられる.
著者
石原 義啓 大川 清 兵藤 宏
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.141-147, 1991
被引用文献数
3 5

スイートピー (Lathyrus odoratus L.) は切り花の花持ちが悪く, 花弁が軟弱で損傷しやすいため, 長時間の輸送が困難であることが大きな問題となっているが,切り花の花持ちや花弁の損傷による品質の劣化は, 出荷前にエチレンの作用阻害剤であるチオ硫酸銀 (silver thiosulfate, STS) を処理することにより著しく改善されることが報告されている (8,9). このことから, スイートピーの切り花の老化におけるエチレンの関与が考えられ, Morら (8) によって, その関与の概要が明らかにされた.<BR>そこで, スイートピーの切り花の老化におけるエチレンの関与をより詳細に明らかにする目的で, 自家採種した冬咲き系スイートピーの品種'ダイアナ'の切り花の老化に伴うエチレン生成と呼吸, 小花の各器官のエチレン生成と1-aminocyclopropane-1-carboxylic acid (ACC), N- (malonyl) ACC (MACC) の含量を測定した. また, 1司時に切り花のエチレン生成, 呼吸,花持ちに及ぼす気温およびSTSの影響も調査した.
著者
徐 忠傳 兵藤 宏 生駒 吉識 矢野 昌充 小川 一紀
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.192-194, 2000-03-15
被引用文献数
6

キウイフルーツ'魁密'(Actinidia chinensis)と'ヘイワード'(Acitinidia deliciosa)では果実の部位によって1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素遺伝子の発現, ACC含量およびACC合成酵素活性に大きい差が認められた.エチレン生成能の低い'ヘイワード'においてはACC合成酵素mRNAのレベルは外果皮で一番高く, 部位の違いが明確であった.一方エチレン生成能の高い'魁密'においては外果皮, 内果皮, 果芯のすべてで高かった.ACC合成酵素mRNAの発現, ACC含量およびACC合成酵素活性は'魁密'の方が'ヘイワード'より高かった.これらの結果より, キウイフルーツのエチレン生成能の品種間差に関与する要因は主にACC合成酵素遺伝子の発現とACC合成酵素の活性であることが示された.