著者
尾中 文哉 大川 清丈 白鳥 義彦
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、「歴史」をふまえた「比較」の方法に関する、新聞を資料とした一連の実験的考察の一部である。そこでは、(1)1980年前後に、日本の受験生の態度が「受験に対する否定」から「中立」に変化すること、(2)試験成績の公開に関してイングランドとウェールズで90年代以降違いが生じたこと、(3)この90年ほどの間に試験制度の変化が量的な観点を強化されていくこと、(4)この変化は、イギリスの場合には試験の教育制度への統合過程、日本では逆にその分離過程と関連していることが明らかとなった。こうした研究を通して、このタイプの研究には、「言説」よりも「記事」という視点が適切であるとした。また、具体的な方法論として「逆欠如視点」「社会文化的ネットワーク分析」を提案した。
著者
大川 清孝 上田 渉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.622, 2017-05-24

定義 輪状潰瘍は腸管の短軸方向に走行する潰瘍であり,幅が広くなったものを帯状潰瘍と言う.全周性でなくてもこの用語が用いられており,周在性に関する定義はない.ほぼ同様の意味で横走潰瘍という言葉が用いられることがある1).
著者
大川 清孝 大庭 宏子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.799, 2012-05-24

赤痢アメーバ感染症の原因は原虫のEntamoeba histolyticaであり,腸アメーバ症と腸外アメーバ症に分類できる.前者は赤痢様の激しい症状を示すアメーバ赤痢とアメーバ性大腸炎に分類できるが,現在ではこの分類にあまり意味がなく,両者を含めてアメーバ性大腸炎と呼ぶことが多い.囊子が経口摂取されることにより感染し,下部小腸で栄養型となり,大腸,特に盲腸で成熟し分裂,増殖する.その後粘膜に侵入し,壊死に陥らせ下掘れ潰瘍を形成する. 本邦での感染原因は発展途上国への旅行より性行為によるものが圧倒的に多い.男性同性間感染が多いが,最近では風俗店を介した異性間感染が増加している.多くは慢性に経過し,下痢,粘血便,腹部膨満感,腹痛などで寛解と再燃を繰り返す.劇症型とは,急速に大腸の広範な全層性壊死が進行し,腸管穿孔や多臓器不全を併発した死亡率の高い病態を言う.
著者
上田 渉 大川 清孝 青木 哲哉 佐野 弘治 田中 敏宏 小谷 晃平 松井 佐織 会澤 信弘 川崎 靖子 斐 英洙 井上 健 平井 学 川島 篤
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1983-1991, 2008-12-25

要旨 患者は34歳の男性.当初回腸末端の不整形潰瘍,結腸の類円形潰瘍,縦走潰瘍からCrohn病を疑われた.steroid使用にて一時症状は軽快するが狭窄を呈し手術が施行された.その後も約1年にわたり発熱,腹痛が持続.播種性血管内凝固症候群で緊急入院した際,異常な抗Epstein-Barr virus(EBV)抗体価と血中EBVの増加から慢性活動性EBV感染症(chronic active EBV infection ; CAEBV)と診断した.CAEBVは数か月以上伝染性単核球症様の症状が持続し,5年で約半数が致死的となる疾患である.本症例はCrohn病類似の腸病変を呈したこと,steroidで一時症状が軽減したことで診断に難渋した.Crohn病と診断された症例でも不明熱が持続する場合はCAEBVの消化管病変の可能性も考え,EBVの検索をすることが必要であると考えられた.
著者
大川 清孝 大庭 宏子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.636, 2017-05-24

定義 1977年に白壁ら1)の「大腸結核のX線診断」という論文により“潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯”という用語が初めて記載された.その後一般的な使用には冗長的であったため萎縮瘢痕帯という表現が慣用的に用いられ,現在に至る2).白壁らは手術を施行し総合的に腸結核と診断した47例の肉眼所見,X線造影所見,病理組織学的所見などを検討した.その結果,腸粘膜またはリンパ節に乾酪壊死がみられ結核と確定診断できた症例と,非乾酪性肉芽腫を認めた,あるいは肉芽腫を認めなかった症例において,共通した肉眼所見として萎縮瘢痕帯を見い出した.すなわち,乾酪壊死を認めなくても,萎縮瘢痕帯を認めた場合には腸結核と診断できる可能性が高いと述べた.また,萎縮瘢痕帯を示す結核以外の疾患はほぼないことも根拠とした.萎縮瘢痕帯とは炎症性ポリープの多発,潰瘍瘢痕の多発,萎縮した粘膜などで構成される区域性領域であり,治癒傾向の著明な腸結核病変を意味する3).
著者
大川 清孝 青木 哲哉 上田 渉 佐野 弘治 小野 洋嗣 中内 脩介
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.470-481, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
32

サイトメガロウイルス(CMV)腸炎は免疫不全症や集中管理を要する重症患者が背景として多い.内視鏡像では打ち抜き様類円形潰瘍のみでなく,輪状傾向潰瘍,帯状潰瘍,縦走潰瘍,二段潰瘍などの存在,多彩な潰瘍の混在などがあれば,本症を疑う必要がある.診断には病理学的検査(HE染色による核封入体の検出とCMV免疫組織検査によるCMV抗原の検出)やCMV抗原検査が用いられるが,偽陰性が多いのが問題である.潰瘍性大腸炎(UC)においてステロイド抵抗性や難治性の場合にCMV腸炎合併を疑う必要がある.病理学的検査とCMV抗原検査は,特異度は高いが偽陰性が多い.粘膜CMV-DNA検査は感度,特異度とも高いが,抗ウイルス療法の適応を決めるには疑陽性が多くなるため,適正なcut off値を決める必要がある.両疾患ともCMV検査が陰性であっても,臨床的にCMV感染症を強く疑えば,診断的治療が必要なこともある.
著者
大川 清孝 上田 渉 佐野 弘治 有本 雄貴 久保 勇記 井上 健 田中 敏宏 松井 佐織 小谷 晃平 青木 哲哉
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1103-1108, 2011 (Released:2011-06-14)
参考文献数
10

5日間の便秘後と下剤服用後に発症した一過性型虚血性直腸炎の2例を経験した.腹部大動脈手術,骨盤内手術,膠原病・血管炎,動静脈廔などはなく腸管側因子が主因で発症したと考えられた.いずれも肛門直上にも病変がみられた.著明なCRP上昇がみられたが保存的治療にて速やかに改善した.虚血性直腸炎は血管側因子が主因でおこると考えられていたが,腸管側因子が主因で発症することもあることを示した点で貴重な症例と考えられた.
著者
大川 清孝 追矢 秀人 佐野 弘治 青木 哲哉 針原 重義 黒木 哲夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.139-143, 1999 (Released:2009-10-16)
参考文献数
13
被引用文献数
1

患者は20歳男性で,元来便秘気味であり,8歳頃より過敏性腸症候群に合致する症状があった.午後5時頃に強い腹痛があり,その後大量に排便があり,続いて朝まで7~8回の血性下痢がみられた。当院を受診しすぐに内視鏡検査を施行したところ、下行結腸から横行結腸にかけて全周性と縦走性の潰瘍があり虚血性大腸炎と診断し入院となった.虚血性大腸炎を合併した過敏性腸症候群は世界で3例目であり,稀と考え報告する.
著者
大川 清孝 上田 渉 青木 哲哉 大庭 宏子 宮野 正人 小野 洋嗣 中内 脩介 山口 誓子 倉井 修
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.981-990, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

【背景・目的】他疾患との内視鏡的鑑別診断を行うために,カンピロバクター腸炎とサルモネラ腸炎の内視鏡像の特徴を明らかにすることは意義があると考えられる.【方法】7年間に当院で経験した両疾患について,臨床像,罹患部位,内視鏡像を後方視的に検討し比較した.内視鏡像を検討できたのはカンピロバクター腸炎43例とサルモネラ腸炎7例であった.【結果】両疾患の臨床像は類似しており差はなかった.罹患部位は下行結腸~直腸についてはカンピロバクター腸炎で有意に高率であった.大腸の内視鏡所見は,両疾患とも粘膜内出血と浮腫が特徴であった.大腸の潰瘍出現率はサルモネラ腸炎が29%で有意に高かった.回盲弁の潰瘍出現率はカンピロバクター腸炎が45%で有意に高かった.【結論】両疾患における大腸内視鏡像の特徴は粘膜内出血と浮腫であり,両疾患の鑑別には回盲弁の潰瘍の有無と大腸の潰瘍の有無が有用である.
著者
大川 清
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1984

博士論文
著者
大川 清丈
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.37-52,106, 1993-10-31 (Released:2017-02-15)

From sociological perspective, every idea has its social context. So is the idea of equality. The purpose of this paper is to analyse how the idea of equality is conceived in Japan and its relation to its modernization. There are, logically speaking, three dimensions of equality: equality of conditions (including equality before the law) , equality of means (or equality of opportunity) , and equality of outcomes. Additionaly, comparative studies show the difference of the view on natural abilities between the United States and Japan. Americans take the view that natural abilities are inequally gifted, whereas Japanese take the view that they are equally gifted, and that one can do anything with maximum efforts. And from historical perspective, the status-group system in Japan attracts our attention. Tokugawa regime was characterized by its dual structure, that is, the principle of acievement or meritocracy, on one hand, and the principle of hereditary hierarchy of status-groups, on the other hand. To analyze a political pamphlet 'Non-hereditary Aristocracy (Ichidai Kazoku Ron) ' written by a Meiji statesman Taisuke Itagaki demonstrates that the dual structure had survived in Meiji era even after the status-group system as the political regime was abolished. To conclude, the context of equality in Japan consists of the view that natural abilities are equally gifted in combination with the dual structure on equality, which contrasts with the American view that they are inequally gifted in combination with equality of opportunity which is the dominant norm in the United States.
著者
上田 渉 大川 清孝 宮野 正人 藤井 英樹 大庭 宏子 山口 誓子 青木 哲哉 倉井 修 小野寺 正征
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.2161-2168, 2016

<p>潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)患者に合併するサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症の大部分は,ステロイドや免疫抑制薬の治療歴がある.今回ステロイド投与歴がないにも関わらずCMV再活性化を生じ,治療経過でCMV感染症を発症したため抗ウイルス治療を要したUC患者2例を経験した.1例目は66歳で,再燃時大腸内視鏡検査では発赤,浮腫,びらんのみだが,既にCMVの再活性化を呈していた.ステロイド治療で一旦軽快したが,その後CMV感染症を合併し抗ウイルス治療を要した.2例目は75歳で,再燃時大腸内視鏡検査で浮腫,びらん,小潰瘍のみであったが既にCMV再活性化を生じていた.ステロイドとタクロリムスで一旦軽快したが,CMV感染症を合併し抗ウイルス療法を要した.ステロイド投与歴にとらわれず,高齢者UC患者の再燃時には典型的な内視鏡画像を欠いてもCMVの再活性化を疑いステロイド以外の治療を考慮すべきである.</p>
著者
石原 義啓 大川 清 兵藤 宏
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.141-147, 1991
被引用文献数
3 5

スイートピー (Lathyrus odoratus L.) は切り花の花持ちが悪く, 花弁が軟弱で損傷しやすいため, 長時間の輸送が困難であることが大きな問題となっているが,切り花の花持ちや花弁の損傷による品質の劣化は, 出荷前にエチレンの作用阻害剤であるチオ硫酸銀 (silver thiosulfate, STS) を処理することにより著しく改善されることが報告されている (8,9). このことから, スイートピーの切り花の老化におけるエチレンの関与が考えられ, Morら (8) によって, その関与の概要が明らかにされた.<BR>そこで, スイートピーの切り花の老化におけるエチレンの関与をより詳細に明らかにする目的で, 自家採種した冬咲き系スイートピーの品種'ダイアナ'の切り花の老化に伴うエチレン生成と呼吸, 小花の各器官のエチレン生成と1-aminocyclopropane-1-carboxylic acid (ACC), N- (malonyl) ACC (MACC) の含量を測定した. また, 1司時に切り花のエチレン生成, 呼吸,花持ちに及ぼす気温およびSTSの影響も調査した.
著者
ジャニス パオラ 大野 始 大川 清
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.287-293, 2004
被引用文献数
2

観賞用ヒマワリ18品種の開花反応と生長に及ぼす日長の影響を調べた.ヒマワリは16時間の長日 (LD) 条件または11.5時間の短日 (SD) 条件のガラス温室で栽培した.調査した品種のうちの12品種 (66.7%) では, LDよりもSDで発蕾が有意に早かった.すべての品種がSD条件, LD条件の両方で開花した.しかし, 16品種 (88.9%) は量的短日反応を示した.すなわち, それらの開花はLDで有意に遅くなった.LD下における開花の遅れは品種によって異なり, 11品種では14日またはそれ以上となった.日長は'ジャンボリー'の開花には影響を及ぼさず, この品種は明らかに中性 (DN) 植物としての反応を示した.'セーラームーン'はLD反応を示し, その開花はLD下で早くなった.SD反応を示した品種のうちの14品種では, 日長は草丈にも影響を及ぼし, LD下で草丈は高くなった.大部分の品種では, 花の大きさや茎の太さに日長の影響はなかった.
著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
佐野 弘治 末包 剛久 上田 渉 大庭 宏子 青木 哲哉 大川 清孝
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.224-228, 2012 (Released:2012-04-03)
参考文献数
9

症例は43歳女性.17年前に前置胎盤で帝王切開術を受けている.某年7月から下痢と血便があり,前医を受診した.翌月に大腸内視鏡検査(CS)を施行し,直腸に隆起性病変をみとめたため,精査目的で当科を受診した.CSでは,横行結腸中央部に狭窄を伴う表面顆粒状隆起性病変,S状結腸に粘膜下腫瘍様隆起,下部直腸に表面顆粒状の隆起性病変がみられた.腹部造影CT検査では,横行結腸に壁肥厚と壁内部に低吸収域がみられた.子宮は肥大し内部に低吸収域が多発し,子宮背側周囲に多胞性嚢胞がみられたため,子宮内膜症が疑われた.注腸検査では,横行結腸中央部に約6cmにわたる狭窄と鋸歯状の陰影欠損,S状結腸に壁の伸展不良,直腸に壁のひきつれと隆起を認めた.2ヵ月後CSを行い,横行結腸中央部,下部直腸からの生検で腸管子宮内膜症と診断した.横行結腸に病変をみとめた腸管子宮内膜症は,本邦では2例目で非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.