著者
高瀬 克範 内山 幸子 手塚 薫 江田 真毅 増田 隆一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

千島列島の先住民である千島アイヌの起源地は,南サハリンもしくは南千島である可能性が高いことを考古学的な検討を通して明らかにした。また,千島アイヌは,15世紀に成立した当初,千島列島ではなく南カムチャツカを本拠地としていたが,18世紀初頭にカムチャツカの利用をほぼ停止し,千島列島に本拠地を移したことも明らかにした。千島列島ではもともとカムチャツカ起源の陸獣を多量に利用していたわけではなく海洋資源に大きく依存していたため,カムチャツカ撤退以後も千島列島内の経済に大きな変化は生じていなかったことが,動物骨の検討から予測された。
著者
内山 幸子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、北海道の古代から中世に行われた儀礼の詳細について、動物遺体や住居址をもとに検証し、当時の精神観を明らかにすることを目指すものであった。研究の結果、家送り儀礼と動物儀礼が従来の認識以上に頻繁に行われていたことに加えて、両儀礼が連動する動きも、一部の事例で明確に捉えられた。以前から、当該地域・時期では、人を葬る際に、副葬品となる土器や刀子を破壊する例が知られていた。今回の例も、家や祀っている動物遺体に火をつけることで本来の形や機能を失わせ、別の世界へと送る、一種の儀礼的行為だったと考えられる。このような精神観は、古代から中世にかけて連綿と続いていたことが明らかである。
著者
禿 仁志 宮原 俊一 内山 幸子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

今回の研究は、ブルガリアおよびその周辺地域で大きな文化変容を示すとされる青銅器時代開始期の具体的様相を、上トラキア平野中の1遺跡テル・デャドヴォの発掘資料を通して検討することであった。分析テーマとしては多数の詳細な年代測定を基礎とした文化編年の確立、集落構造の把握、ヒトとモノの動きを土器や石器等の素材研究を通じて復元することであり、3年間の研究でこれらの課題解明に迫る糸口を得ることができた。