- 著者
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内田 亨
- 出版者
- 新潟国際情報大学経営情報学部
- 雑誌
- 新潟国際情報大学経営情報学部紀要 (ISSN:24342939)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.118-127, 2021-04-01
本稿では、まず経営学における水産養殖研究の現状を述べる。その上で水産養殖の経営学的研究が従来の経営学におけるパラダイムシフトにつがなることを提起する。つまり、従来の利益増大から限りある資源を持続的に効率よく活用していく利益継続へのパラダイムシフトである。次に水産養殖における飼料の重要性と困難性を抽出する。その結果、次のことが明らかになった。 世界的な魚食需要拡大により養殖企業からの飼料需要も拡大している。このため、飼料の原料となる小魚の漁獲も増加していたが、過剰漁獲や気候変動のため小魚の供給不足となり価格上昇を招いている。そのため、飼料会社は低魚粉の開発をするため植物原料に着手している。しかし、この植物原料である大豆は、森林伐採により作付面積増大による弊害を招く。こうした環境破壊がさらなる気候変動を引き起こすのである。また、低魚粉や植物原料の飼料は、従来の魚粉と比べ、いかに増肉係数を維持できるかまた改善できるかも問われている。一方、残さ原料を使用した飼料製造も認証機関によりトレーサビリティを求められている。飼料会社は以上のような重要で困難な状況に直面しているのである。