著者
山口 照英 内田 恵理子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.651-659, 2007 (Released:2008-02-18)
参考文献数
17

ICH遺伝子治療専門家グループは,遺伝子治療薬をめぐる科学的な諸問題に柔軟に対処するために,専門家グループ会議や公開ワークショップなどを通じて得られた議論の成果を広く公開するとともに,新たな知見が得られた場合に迅速に対応していくというスタンスで活動を行っている.これまで議論が行われてきた国際標準品,ウイルスベクターの排出,X-SCID遺伝子治療における白血病発症とリスク評価,腫瘍溶解性ウイルス製品の品質・安全性確保,“生殖細胞への遺伝子治療用ベクターの意図しない組み込みリスクに対応するための基本的考え方”などについて紹介する.
著者
篠原 智行 内田 恵理 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.413-417, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
23
被引用文献数
5 4

起き上がりは空間内での運動の切り替えが多く,空間知覚や体性感覚と関連していると考えられる。そこで脳卒中片麻痺患者26名を対象に起き上がり所要時間,Wechsler Adult Intelligence Scale-Revisedの積み木テスト,Stroke Impairment Assessment Scaleの感覚および腹筋力テスト,Brunnstrom stage,体幹可動域,改訂長谷川式簡易知能評価スケールを評価し,これらの関連性について検討した。起き上がり所要時間測定の級内相関係数は0.86と高い信頼性が得られた。起き上がり最小時間,平均時間と積み木テストおよび感覚検査には有意な弱い負の相関が認められ,起き上がりと空間知覚および体性感覚との関連が示唆された。
著者
内田 恵理子 山口 照英 永田 龍二 石井 明子
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ウイルスベクターの製造過程で混入する可能性のある増殖性ウイルスの検出は、遺伝子治療用ウイルスベクターの品質、安全性確保上重要な課題である。本研究ではウイルスベクターに混入する増殖性アデノウイルス(RCA)及び増殖性レトロウイルス(RCR)を、ウイルスの指向性細胞への感染性とリアルタイム定量PCRの迅速性、高感度性、定量性を組み合わせた感染性(R7-)PCR法により検出する方法を開発した。RCAは、HeLa細胞に感染させ、一定期間増幅後、細胞中のRCAのゲノムDNAをガラスビーズ法により簡便で効率よく抽出し、リアルタイム定量PCRで測定する感染性PCR法を確立した。感染性PCR法では、10^9 particlesのアデノウイルスベクターにスパイクした1pfuのRCAを感染3日目で検出可能であり、従来法の細胞変性効果(9日目で10,000pfuを検出)による検出と比較して、より短時間の培養で10,000倍も高感度にRCAを検出可能であることを明らかにした。RCRは、M.dunni細胞に感染させ、一定期間増幅後、上清中のRCRをポリエチレンイミン(PEI)結合磁気ビーズで濃縮し、ビーズ画分からRCRのゲノムRNAを抽出してリアルタイム定量RT-PCRで測定する感染性RT-PCR法を確立した。感染性RT-PCR法では、従来法のフォーカスアッセイと比較してより短時間の培養で10倍以上高感度にRCRを検出可能であった。また、上清中のRCRの替わりに細胞内に増幅したウイルスRNAをガラスビーズ法で抽出後に測定すると、より短時間の培養でウイルス検出が可能であった。さらに、RCRをPEI磁気ビーズと混合後に磁場の上で強制感染させる高効率ウイルス感染系を確立した。この感染系を利用して感染性RT-PCR法を行うと、さらに10倍以上高感度にRCRを検出できることを明らかにした。