著者
前田 忠直 富永 譲 末包 伸吾 水上 優 朽木 順綱 杉山 真魚
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究は,建築空間の生成を「生きた生活世界」の具体化として解読しようとする建築論的研究である。以下に示す3つの課題(I,II,III項目),及び5つの細目課題について代表者と研究分担者により同時平行的に遂行し,それらを比較検討した。I.20世紀の建築家の思索(方法概念)の生成論的研究:1)ステートメント,講義・講演録,著作による分析,2)建築家のスケッチ,紀行文による分析 II.建築作品の生成論的研究:3)建築作品の生成過程の実証的研究,4)アーカイヴ訪問,現地調査(作品調査及びサイト調査)による実証的検証 III.総括:5)生成論的分析による存在論的建築論の構築
著者
前田 忠直 富永 讓 柳沢 和彦 水上 優 朽木 順綱
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,建築家の遺した図面,草案,言葉,さらに作品成立を基底づける敷地の特性分析を方法として遂行された。これらの分析を通して,20世紀の諸作品の個々の成立契機が明らかになるだけでなく,これらを包括する普遍的な建築的世界の成立様態や,さらにはこうした世界を具現化する建築家自身の実存のありようなど,作品成立において重層的な生成の構造が見出されることが明らかとなった。このことにより,本研究の独自性を裏付ける「生きられた構成のロゴス(人間的実)」への実証的・存在論的な問いの有効性,可能性が改めて確認された。
著者
前田 忠直 水上 優 千代 章一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

近代住宅の構成システムを,その変容過程の分析をとおして場所論的にあきらかにしようとする本研究は,平成12年度には,アルヴァ・アアルトの住宅作品(マイレア邸を中心として)他の研究として遂行され,平成13年度には,ル・コルビュジエの住宅作品(クルチェット邸)の研究他として,平成14年度には,ルイス・バラガン(バラガン自邸)の研究,ル・コルビュジエの住宅作品(ラ・ロッシュ=ジャヌレ邸)の研究,さらにはルイス・カーンの住宅作品(ホーニックマン邸)他として遂行され,別リストの諸論文が公表された。上記の住宅作品の研究は,草案群の吟味を基礎とし,3種のダイアグラムの作成による平面分析,作品の模型作成による検証,さらに建築家自身の言葉による解釈をとおして遂行されている。主題解明は,2つのアスペクトをとおしてなされる。(1)住宅の内部を構成する諸要素のシステムの解明。(2)住宅(内部)と土地(外部)との関わり合いの解明。前者については,主室の諸要素の配置構成の変容分析をとおして,アアルト,ル・コルビュジエ,バラガン,カーンの構成方法の特性があきらかにされた。後者については,内部と外部を媒介する要素,つまり中庭(マイレア邸),テラス(クルチェット邸,バラガン邸),サテライト(ホーニックマン邸)の意味がそれぞれダイアグラムC(住宅と土地とのゲシュタルト図)の作成とともに主題化され,その場所論的解釈が目論まれる。さらに,ル・コルビュジエの住宅作品では,移行の場所,「斜路」が主題化され,空間構成の深まりの仕方が景観の問題として分析された。カーンの住宅作品では,内部成立を担う特異なエレメントが「サテライト」として,その存在論的意味が分析された。