著者
坂下 智博 本間 明宏 畠山 博充 水町 貴諭 加納 里志 古沢 純 飯塚 さとし 畑中 佳奈子 福田 諭
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.130-133, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
10

穿刺細胞診で悪性が確定しなかった場合にも画像的に甲状腺癌が疑わしいなどの理由により手術を行うことが少なくない。術後病理診断と画像所見との関係について比較し,どのような画像所見が癌予測因子として有用であるかについて検討した。対象は甲状腺腫瘍摘出を行ったもののうち,術前細胞診で悪性以外であった58症例。術前エコー検査所見(微細石灰化,辺縁不整,内部low echo,縦横比1以上,Haloの消失)が陽性であった場合に,術後病理で悪性であった陽性適中率(PPV),陰性であった場合に術後病理が良性であった陰性適中率(NPV)をそれぞれ算出した。前述した各エコー所見のそれぞれのPPVは74,89,71,89,65%。NPVはいずれの所見も51~58%にととどまった。辺縁不整および縦横比1以上がみられた場合のPPVは89%であり,これらの所見は有用な癌予測因子となりうると考えられた。
著者
水町 貴諭 加納 里志 原 敏浩 鈴木 章之 鈴木 清護 本間 明宏 折舘 伸彦 福田 諭
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.498-501, 2010-12-25 (Released:2010-12-28)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

中咽頭扁平上皮癌53例を対象にHPV感染と治療成績との関連について検討を行った。53例中14例(26%)がHPV陽性であったが,扁桃原発例に限れば19例中11例(58%)が陽性であった。HPV陽性14例中12例(86%)がHPV16陽性で,HPV18およびHPV58陽性が各1例みられた。疾患特異的5年生存率はHPV陽性例の方が陰性例に比べ有意に高い結果となった。放射線化学療法施行症例においてもHPV陽性例の方が陰性例に比べ有意に疾患特異的5年生存率は高い結果となり,HPV陽性例では11例全例局所は制御されたが,陰性例では22例中9(41%)が局所再発した。以上の結果から,中咽頭癌症例の治療成績の向上のためにはHPV感染の有無による層別化が必要であり,HPV陰性例では局所の制御が課題であると考えられた。

1 0 0 0 OA がん免疫療法

著者
西村 剛志 加納 里志 佐久間 直子 佐野 大佑 小松 正規 折舘 伸彦
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.237-246, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
77

頭頸部癌患者に対する治療方針を決定する場合,現時点で免疫療法が第一選択の方針となることは極めて稀であるが,手術,放射線治療,化学療法との組み合わせで上乗せ効果を期待できる可能性がある。近年開発の著しい分子標的治療薬にも免疫学的知見が反映されており今後の飛躍的な治療成績の向上もあり得る。Biological response modifier (BRM) 製剤,養子免疫療法,ワクチン療法など現在利用可能と考えられる免疫療法と機序につき簡便に概説した。