著者
加茂 徹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.133-141, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

炭素繊維強化プラスチック (CFRP) は軽くて丈夫で,自動車等に用いた場合に車両を軽量化して燃費を向上させることができる。炭素繊維は製造時にエネルギーを多く消費するが,リサイクルすることにより自動車等のライフサイクルエネルギーを大幅に削減できると期待されている。CFRP から炭素繊維を回収する方法としては,物理的あるいは化学的な手法が数多く提案されている。炭素繊維は不活性なガス雰囲気中では加熱しても引張強度等の物性劣化はほとんどないが,酸素,水蒸気,強酸等によって物性が劣化すると報告されており,炭素繊維にダメージ与えずにプラスチックを取り除くことがリサイクルの重要な技術的課題となっている。炭素繊維のリサイクルを普及させるためには,回収された炭素繊維を用いた製品の開発や,回収された炭素繊維の品質やトレーサビリティーを表示する標準規格化等の社会システムの整備も重要である。
著者
木村 拓哉 馬場 里英 岡部 太郎 藤井 遼 皆川 裕祐 藤田 健亮 角谷 隆史 加茂 徹郎 高井 千尋 山田 宗 鯉沼 俊貴 萩原 祥弘 三角 香世 小林 孝臣 山中 隆広 髙橋 秀徳 小村 賢祥 荒井 大輔 長尾 元太 小西 駿一郎 神元 繁信 仲地 一郎 小倉 崇以
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.147-152, 2021-03-20 (Released:2021-10-02)
参考文献数
13

A preliminary report from a global study showed that remdesivir, a nucleoside analog pro-drug that was originally developed as a therapeutic drug against Ebola virus, may exert clinical efficacy in cases of COVID-19, by shortening the time to recovery. We had the opportunity to use this new drug in the treatment of 7 COVID-19 patients with respiratory failure.
著者
加茂 徹
出版者
協創&競争サステナビリティ学会
雑誌
場の科学 (ISSN:24343766)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.28-44, 2021 (Released:2021-09-23)

安価で軽量なプラスチックは容器包装材を中心に世界で年間約4億tが生産され約3億tが廃棄されている。現在、プラスチックの原料は石油等の化石資源であるが、近い将来、主にバイオマス等の再生可能資源から製造されると考えられる。新規に投入される資源量を最小化するため、使用済み製品の品質に応じてリユース、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、エネルギー回収の優先順で循環利用される。また、ライフサイクル全体を通して環境負荷を最小にすると共に、人権や生物多様性へ配慮する倫理性(Ethics)も重要となる。プラスチックは素材としての有用性を十分活かしながら、必要とされる分野に限って使用されていくと考えられる。
著者
加茂 徹
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.451-458, 2020 (Released:2020-10-07)
参考文献数
27
被引用文献数
1

プラスチックは素材として非常に優れていたため,20世紀後半から生産量は飛躍的に拡大し,世界で4億t以上が生産されている。感染症が蔓延する世界において,清潔な水や医療品を途上国や貧困な地域の人々に届けるため,安価で軽いプラスチックの担う役割は大きい。一方,不法投棄された廃プラスチックの一部は海洋に流出し,海洋生態系に深刻なダメージを与え,人間の健康へも影響を与える可能性が指摘された。廃プラスチックは,重要な環境問題の一つと見なされるようになった。廃プラスチックのリサイクルでは,対象物の品質と量を考慮し,マテリアルリサイクル,ケミカルリサイクル,エネルギー回収から最適な手法を選択することが望ましい。現在,プラスチックは主に化石資源から製造されているが,将来,再生可能資源が主な原料となる。新たに市場に投入される貴重な有機資源を最小化するため,廃プラスチックの循環利用を促進すべきである。SDGs が目指す世界では,価格や品質だけでなく,環境保全および生物多様性や人権への配慮などの社会倫理性が求められている。