著者
後濱 龍太 岸本 慎也 加藤 健太郎 横山 圭 島田 茂伸
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.284-291, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
13

本稿では、身体表現における演者の「身体形状」および「動き方」の両方が唯一性や希少性を備えており、原資料としての性質を帯びているとのアイデアに基づき、動作する人体をデジタルアーカイブする方法を提案する。3次元デジタイザを用いて取得した高解像度かつ高寸法精度な形状データに、モーションキャプチャを用いて取得した動作データを統合することで、動作する人体のデジタル復元である「動作可能モデル」を生成する方法を明らかにする。動作可能モデルとデジタイズ直後の形状データの寸法変位RMSは1mm未満であり、提案手法がデジタイズ形状の寸法をほとんど変化させないことを示した。本手法が舞踊などの無形文化財やスポーツのアーカイブへ適用しうる基盤技術となることを期待する。
著者
加藤 健太郎
出版者
帯広畜産大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

原虫感染における糖鎖の役割について、以下の研究成果を得た。質量解析を用いて、原虫の膜蛋白質に結合するレセプター因子を含む複数の宿主細胞因子を同定した。また、原虫の感染阻止に効果的な物質を作製するため、多糖類に硫酸化等の修飾を付加した物質を作製し、細胞培養系においてその原虫侵入阻害、増殖阻害の効果を解析した。さらに硫酸化等の化学修飾を付加した糖鎖について、原虫感染を阻害する糖鎖分子と実際に結合する原虫蛋白質の同定に成功した。また、同定した原虫分子が実際に宿主細胞に結合することが示された。これにより、原虫感染に関わる糖鎖レセプターの役割を解析することに成功した。
著者
田中 康雄 遠藤 剛 山本 良一 岡邨 直人 関根 裕之 大野 健太 佐々木 幸絵 加藤 健太郎 山本 智章
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P2184-C4P2184, 2010

【目的】<BR>平成19年度より小学5年生以下を対象とした学童野球検診を行っている.2年間の学童野球検診の結果より成長期投球肘障害の要因として身体機能面だけでなく,指導方法や大会運営など選手を取り巻く環境の問題が考えられた.昨年から各試合の投球数報告を義務付け,1投手の投球数を70球以内とする努力目標を掲げている.今回,3回目の検診を行なうとともに,指導者に対するアンケート調査と投球数の調査を実施した結果から障害予防活動の課題・展望について報告する.<BR>【方法】<BR>対象は学童新人野球大会に参加した62チーム中検診を希望した33チーム482名(5年生275名,4年生154名,3年生42名,2年生10名,1年生1名).大会会場にブースを設け医師,PTによる直接検診として四肢の理学所見および肘関節の超音波診断を行った.異常のあった投手に医療機関の受診をすすめた.事前に問診票を配布し,身長,体重,野球開始時期,投球側,練習時間,疼痛の有無,ポジション,痛みがある時の対応などについて調査した.また指導者に対してアンケートを配布し,野球経験,指導経験,練習時間,検診の必要性,投球制限,日本臨床スポーツ医学会の提言の認知などについて調査し,大会期間中の投手の投球数報告を集計し解析した.<BR>【説明と同意】<BR>事前に文書と口頭で各チームの監督,保護者に対して検診の目的,内容について説明し同意を得ている.<BR>【結果】<BR>超音波による直接検診で上腕骨小頭障害の選手は482名中8名(1.7%)であった.事前に配布した問診票は523名から回収し,肩・肘に痛みを感じたことのある選手は227人(43.4%).「肩・肘の痛みがあるとき誰に知らせるか」の質問に260名が回答し,親160名(61.5%),監督53名(20.4%),知らせない29名(11.2%),その他18名(6.9%)であった.「肩・肘に痛みがあるとき,投げることを休んだか」の質問に対し209名が回答し,「休んだ」98名(46.9%),「ポジションを変えた」7名(3.3%),「休まなかった」104名(49.8%)であった.複数回答による疼痛部位は,肩97名,肘86名,足首54名などであった.また指導者のアンケートでは38名(51.3%)から回答があり,年齢43.9±7.0歳,指導経験7.2±7.8(1~35)年で日本臨床スポーツ医学会の提言を知らない指導者は27名(71.1%)であった.大会での投手の投球数はコールドゲームを含めた大会98試合での投球数は平均78.9球であったが,コールドゲームを除いた34試合では88.1球で,投手交代の無かった試合での一人あたりの投球数は平均75.5球であった(昨年87.8±14.0).<BR>【考察】<BR>学童野球検診の目的は障害の早期発見であるが,大会会場にて直接検診を実施し,8名(1.7%)の上腕骨小頭障害を発見することが出来た.一方,問診票の結果から野球の競技特性から肩・肘の疼痛の訴えが多い.肩・肘に痛みがある場合,親に知らせる選手が160名(61.5%)と多く,肩・肘に痛みを有していても投球を休まない選手が104名(49.8%)と半数近い結果となった.成長期投球障害は進行した状態で初めて医療機関を受診する可能性があるため,チームの監督・コーチだけでなく保護者への障害予防の啓発も重要と考えられる.今回の投球数ではコールドゲームを除いた一人投手試合では平均75.5球と昨年の大会における同様の調査に比べて12球の減少で,投球数制限に対する指導者の理解が少しずつ浸透している結果と考えられた.しかし日本臨床スポーツ医学会の提言における50球という制限をはるかに越えていることから,今後さらに障害を予防するために現場と医療側との連携が求められる.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>学童野球検診は障害を早期発見することが目的である.特に上腕骨小頭障害は重症化することが報告されており検診において早期発見する意義は大きい.検診結果,問診結果,投球数を検討することは現在の子ども,監督の状況を把握し,野球をする子どもたちを守るための障害予防の一助になると考えられる.
著者
中村 文隆 藤井 正和 七里 圭子 西 智史 篠原 良仁 伊橋 卓文 横山 新一郎 武内 慎太郎 今村 清隆 渡邊 祐介 田本 英司 高田 実 加藤 健太郎 木ノ下 義宏 安保 義恭 成田 吉明 樫村 暢一
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-77, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
29

ERAS の手術侵襲軽減策は,多職種のスタッフによる介入が不可欠である.入院前の不安要素は患者個々に異なり,消化器外科では,術後の食事摂取,人工肛門に対する不安は多い.各医療スタッフの専門的立場の助言が治療意欲を向上させる.術後の腸管機能の回復促進対策としては,輸液量の適正化,胸部硬膜外鎮痛,早期経口摂取,早期離床などチームで取り込む事項が多い.早期離床では,プログラム内容や行動目標を定め施行することが望ましい.疼痛管理としては,急性痛サービスAPS を組織することが,安心な周術期環境を効率的に提供し,今後わが国でも普及することが望まれる.回復を実感する環境づくりは,重要であり,チームメンバーは,各専門的な知識や技術を生かし患者のセルフケアーを支援することで,早期回復の実感と不安の解消につながり,満足度の高い退院につながる.