著者
川口 洋 出田 和久 加藤 常員
出版者
帝塚山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、人文系データベース構築事例のポータルサイト・データベースを構築して、人文系データベース協議会ホームページ(http://www.jinbun-db.com)から一般公開した。さらに、本システムに人文系データベースの構築事例を登録申請するためのアンケート回答者用Webアプリケーション、管理者用Webアプリケーションを開発した。国立国会図書館からD-Naviデータの提供を受け、人文系データベース協議会会員や関連学会会員の協力により、Webアンケートを行った結果、本システムには約2万3千件のデータベースが登録されている。
著者
加藤常員 小澤 一雅 高見 友幸
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.73(2002-CH-055), pp.9-16, 2002-07-26

地理情報は考古学にとって基盤をなす重要な情報である。古代遺跡の地理的分布の解明は考古学の重要な課題である。本稿では弥生時代の2種類の遺跡群を採り上げ、地理情報を活用した遺跡分布の解析について報告する。対象とした遺跡は、拠点集落遺跡と高地性集落遺跡である。両遺跡は同じ時代に同じ空間に存在したものであり、密接な関係であったと考えられる。本報告は淀川水系の両遺跡について2種類のネットワークの構成し、得られた情報をもとに関連深い遺跡の対を抽出し、地図上の円を描くことにより遺跡間の分布関係を明示することを試みる。円による表現は極めて簡潔であり、位置関係を端的に表す。示される結果は考古学の知見に相応した遺跡間の分布関係を得た。
著者
仁木 滉 加藤 常員 鎌木 義昌 小沢 一雅 ニキ ヒロシ カトウ ツネカズ カマキ ヨシマ オザワ カズマサ Hiroshi Niki Tunekazu Kato Yoshimasa Kamaki Kazumasa Ozawa
雑誌
岡山理科大学紀要. A, 自然科学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-15, 1985

This paper presents an associative restoration system that creates the restoed shape of a given distorted ancient pottery in terms of its plane figure (silhouette). The system has been implemented on the VAX11/780 computer system, based on a mathematical modeling of the associatve memory and additional processing techniques. One of the aims is to reduce archaeologists' labor spent in drawing a huge number of plane figures corresponding to finds given by excaticns. In our computer simulation, we use 14 types of silhouttes of the "Sueki", Japanese ancient potteries, as the test figures. The results of the simulation are presented and also are discussed in relation to the system performance and archaeology.
著者
加藤常員 小林 博昭 小沢 一雅 今枝 国之助
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.418-428, 1988-04-15
被引用文献数
2

考古学へのコンピュータ・サイエンスの応用 とくに文化とその伝播に関するモデル化および計算機シミュレーションについて述べる.ある特定の文化に帰属する遺跡の集まりを取り上げ 遺跡間の文化の伝播のネットワークを求めるモデルを提案する伝播は 遺跡間の係わり合い(交流)が基本であり その大きな要因と考えられる空間的距離に着目する.距離についての伝播負担関数および伝播係数を導入する.伝播係数の特性である中継効果を明らかにする.中継効果を使い遺跡相互の伝播路のネットワークを求める.このネットワークを伝播路網と名付ける具体例として 後期旧石器時代・国府型ナイフ形石器文化の56か所の遺跡を対象にシミュレーションを行った結果を示す.また 弥生時代中期・畿内の拠点集落遺跡理か所について 考古学的手法による結果と比較・検討を行う.
著者
加藤 常員
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.341-350, 2018-02-15

地理情報システム(GIS:Geographic Information System)は歴史研究の場で有効な研究ツールとして認識されつつある.歴史研究分野でのGISの利活用では旧国境,旧郡境,旧村境などの歴史的境界の空間データが不可欠である.歴史的境界は,時期や研究者の見解により異なる箇所やもともと判然としない箇所も多い.そのため近世以前の歴史的境界の空間データ化は進んでいない.歴史的境界線は地方史誌などに掲載されているが,それら地図の作成にあたっては現行の境界線や地形が参照されたと考えられ,現行の地勢図などが下図に使用されたと推定できる.本稿では,判然としない箇所を含む歴史的境界の空間データ化の手法を提案する.提案する手法は,求める境界にかかわる複数の領域(たとえば村)のおおよその形状データを与え,面を核とするボロノイ分割を活用して分割線を求める.求めた分割線に地勢図を参照して緯度・経度情報を付与し,空間データに仕立てる.提案手法は細密な境界線空間データの生成をめざすものではない.歴史的境界の特性をふまえた,大まかな境界線のデータ化をめざすものである.提案手法に従った歴史的境界線生成システムを試作し,境界線データの生成実験を行った結果を示す.
著者
加藤常員
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.73-80, 2007-05-25
被引用文献数
2

『輯製20万分1図』(輯製図)(1)は日本全国をほぼ同じ精度で作成されたわが国最初の地勢図群である。現代の地勢図や地形図と近世の古地図とをつなげる地図群と考えられている。歴史研究の地図利用において、この地図群の電子化、活用は意義深いと考えられる。輯製図の図郭は現行の20万分の1地勢図と同じであるが、その編纂がどのようされたか詳細はわかっていない。一方、国土数値情報等の電子化された空間情報は、現行2万5千分の1地形図を基盤に作られている。縮尺や図法の異なる地図から作成された空間データは、緯度経度のもとで一元的に扱うことができるが、逆に地図画像上に空間データを描画しようとすると地図の図法等の解析が必要となる。地図画像からの空間情報の電子化と電子化された空間情報の地図画像への描画は双対の関係であると言える。本稿では輯製図および20万分の1地勢図について検討と考察を行い、国土地理院・数値地図25000(行政界・海岸線)を用いて両者の地図画像上への行政界・海岸線を描画する実践的方法について報告する。Syusei maps are the first modern set of regional maps in Japan, which is 1/200000-scaled and published in 1884-1893. The maps are situated between the modern maps and those of Edo period. When maps are used in historical studies, spatial data contained in maps are very important. A Syusei map covers the same area as the present regional map, 1/200000-scaled. However, the drawing method of Syusei maps is unknown. Spatial data of modern digital maps in Japan are based on topographical maps, 1/25000-scaled. Spatial data extracted from maps with different scales or with different drawing methods can be uniformly treated under the latitude and the longitude. But when we draw spatial data on the map image, its drawing method should be analyzed. In this paper, we consider the spatial data of Syusei maps. We also present experimental mapping of spatial data onto an existing map image.
著者
加藤 常員 小澤 一雅
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、日本考古学において重要な位置づけにある弥生時代の高地性集落遺跡および拠点集落遺跡のデータを地勢情報のデータベースと連携させ、実践の考古学研究に有効な支援を行う情報システムの開発・構築をめざした。具体的な研究支援システムでは、考古学および歴史学等で共通的な作業、あるいは研究過程を支援する汎用的なものと、特定研究課題に特化したものとが考えられる。汎用的な研究支援システムとして遺跡位置計測システムを構築した。これは、2万5千分1の数値地図を用い、地図上の位置をマウスクリックすることにより緯度・経度を取得するシステムである。このシステムは、考古学、人文科学に限らず位置情報を取得するシステムとして汎用的研究支援システムの好例である。特化した研究支援システムとしては、弥生社会の社会構成を考究するための弥生集落遺跡分布分析システムを構築した。このシステムは特定の課題に特化はしているが拡張性を有している点が重要であり、研究支援システムとして不可欠な要素と言え、構築したシステムは、実践的雛形と位置づけることが出来る。前者のシステムは、従前の作業を軽減し、データの信頼性、再現性を向上させる一般的な支援である。一方、後者のシステムは、考古学者等が頭の中で思い描いていたイメージを具現化し、より深化した思考へのヒントを提示する思考実験の装置と捉えることが出来る。すなわち、過去を探る、あるいは再現する道具であり、一種のシミュレーション装置であると言える。この視点は、考古学をはじめとする人文科学分へのコンピュータ応用にとって重要であり、研究活動支援のシステムの基底をなす考えであると思われる。構築したシステムは実践的研究支援の意義に符合するシステムであり、具体的な事例と位置づけられる。
著者
加藤常員 小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.1950-1959, 1996-11-15
被引用文献数
3

分類操作は 大きく階層的分類と非階層的分類に分けられ それぞれに多くの手法(クラスタリング手法)が提案されている. 本論文では 多値の遺伝子表現を採用した遺伝的アルゴリズムに基づく非階層的クラスタリング手法を提案する. 一般にクラスタリング手法は クラスタの評価基準および分類の具体的な手順を定めるものである. 非階層的クラスタリング手法では データを k 個のクラスタに分割する際 分割数 k は与えられるか 手法の一部として決定される. 非階層的クラスタリング手法の主たる戦略として まず仮のクラスタ分割を与え 評価基準がよりましな分割に逐次改良していく方法(分割最適化法)がある. この方法では 初期の分割あるいはクラスタの核といった初期条件が最終の分割結果に根本的な影響を及ぼし ときとして局所最適解(分割)に陥る場合も多い. 一方 遺伝的アルゴリズムは 局所最適解を回避することができる多点探索の特長を持っている. 本研究は 遺伝的アルゴリズムの多点探索能力をいかし ロバストな非階層的クラスタリングの実現をめざすものである. 提案する手法は 優性遺伝をモデルとした新たな遺伝的アルゴリズムによって構成されている. 本手法の特性を確認するため 分割最適化法の代表的な手法である k-means 法に基づく比較実験を行った. 実験では 2変量データ(点配置パターン)を用い 評価基準は平方和分解の原理に基づくクラスタ内平方和の総和を採用した. 実験結果として 在来の手法では数%しか最適な分割を得ることができない対象に対して 本稿で提案する手法によれば 80%に近い割合で最適な分割が得られることを確認した.This paper treats a clustering procedure by using the genetic algorithm. As is well-known, existing clustering procedures are classified into two types; i.e., hierarchical and non-hierarchical types. In this paper, a non-hierarchical clustering procedure based on the genetic algorithm has been presented. We call it GA procedure. Our GA procedure can be characterized by its strong power of the multi-point search. From this, the probability to obtain the optimum solution can be made higher than existing procedures. In our experiment, the GA procedure and a typical existing procedure for the so-called k-means method have been compared in terms of probability to obtain the optimum solution and other related aspects. For three kinds of experimental point patterns, the GA procedure had shown its robustness in searching the optimum solution.