著者
加藤 晶子 森 將晏
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_131-4_136, 2010-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
10

看護師が静脈穿刺を目的に駆血帯を装着する方法について、主に駆血圧について検討を行った。6医療施設の看護師74名に採血を想定して各人の駆血帯を同一対象者の上腕に装着してもらった。駆血帯装着部位は静脈穿刺想定部位から平均9.1㎝中枢側で、ほぼ教科書通りであった。しかしながら、駆血圧は60㎜Hgから271㎜Hgまで広い範囲に分散しており、平均は145±56.1㎜Hgと高かった。ほぼ適切と考えられる100㎜Hg以下は20名(27%)と少なく、200㎜Hg以上の高圧で装着する看護師が16名(22%)もいた。駆血圧は1週間あたりの静脈穿刺回数や経験年数にもあまり関係が見られなかった。また巻く強さについての気持ち(少しゆるめに巻いたなど)と駆血圧間には関係がなかった。これらのことは、看護経験の長さや、静脈穿刺の頻度などが適切な駆血圧で駆血帯を装着することには役に立っていないことを示している。この原因としては、駆血帯の構造上意図した強さで装着することが難しいことなどが考えられた。
著者
由比 真美子 青木 和彦 加藤 晶子
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.67-68, 2008-12

東北地域は国内ソバ作付面積の30%近くを占める重要産地であるが、平均反収が少なく収穫量シェアは20%を下回っており、収量性や品質の向上により収益性を高めることが生産振興上の課題と考えられる。食品の健康機能性について関心が高まる中、ソバでも高ルチン・高抗酸化活性などの研究が行われてきたが、Fagopyritolの構成成分であるD-chiro-inositol(以下、DCI)についての情報は少ない。DCIには動物実験において血糖降下作用が認められ、類似成分のpinitolにはヒト臨床試験で効果が認められており、糖尿病の治療・予防効果が期待されている。本報では、前報の試験でDCI含量が多かった外国産遺伝資源3点と、国産遺伝資源の中では比較的含量が多かった「九戸在来1」について、個体別DCI含量を調査した結果を報告する。また、あらたに遺伝資源90点についても調査したので報告する。
著者
加藤 晶子 荻津 達
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br><br>長周期地震動(周期1秒以上)の地域的な差異 については、地下の地質構造に起因していると考えられている。千葉県では地震動の速度応答(建造物のゆれの大きさに対応する)の分布が、房総半島中央部で周期10〜12秒で周辺の地域より高い値を示すことがわかっており、地下構造探査で先新第三系上面深度が最も深い5000m以上と見積もられている地域とほぼ重なっている。本研究では、この先新第三系上面が深い地域において、地震の観測波形から、先新第三系の上面深度とゆれが大きくなりやすい周期の関係を明らかにするとともに、表層が沖積層や埋立層の場合に増幅・周期ののびの影響が生じるため、表層地質の異なる観測点の比較を行った。対象地域は房総半島中西部をとし、市原市ちはら台、同市有秋台(各々の先新第三系上面深度はおよそ3500m、5000m、表層地質は更新統下総層群、標高約40m)に速度計(測定範囲0.01~100秒)を、木更津市鎌足(先新第三系上面深度4500m、下総層群)に加速度計(測定範囲0.03~10秒)を設置している。また、沖積層上の地点として市原市牛久(先新第三系上面深度およそ4500m)、市原市沿岸部3カ所(先新第三系上面深度およそ3500m)の加速度計で観測した。対象とした地震は、最近2年間に観測されたものから、①大規模(マグニチュード5.5以上)-震央が遠いもの、②大規模-やや近いもの、③小規模-近いものを選定し、各観測点での波形データから速度応答スペクトルの解析を行った。①の大規模-遠い地震の場合、ゆれが大きくなる周期は、ちはら台2~2.5秒および9~10秒、有秋台2~3.5秒および9~10秒、鎌足2秒付近となっており、基盤深度の差が影響していると考えられる。加速度計では10秒程度の長周期地震動を観測できず、速度応答に反映されない。また、震央が遠い地震では、距離減衰が大きいく、地震動がより長周期側に出る沖積層上の観測点では記録が得られなかった。さらに、震源が浅く、ごく遠い海外の大規模地震では、減衰されにくい表面波のみが12秒前後の長周期地震動として観測された。②のやや近い大規模地震の場合には、ちはら台・有秋台ともに0.5秒前後で速度応答が大きくなっている。③近い小規模地震)の場合には、ちはら台で0.1~0.3秒、有秋台で0.3秒、鎌足で0.2~0.3秒、牛久で0.3~0.4秒、市原市沿岸部0.15~0.2秒にピークがあり、基盤深度の影響がみられる。これらのなかで比較的規模の大きい地震(マグニチュード5.2)では、0.5秒前後にピークがあるが、地震のエネルギー規模が大きくなるほど長周期の波が観測されるためと考えられる。これまでの結果では、表層地質の違いによる周期への影響は先新第三系の深度によるものより小さい。しかし、沖積層上の観測点では加速度計の記録であるため、周期2秒以上の速度応答が充分得られておらず、その周期域における解析はさらに必要と考えている。