著者
北原 徹
出版者
立教大学
雑誌
立教経済学研究 (ISSN:00355356)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.99-141, 2012-01-20
著者
小玉 徹 矢作 弘 北原 徹也 小長谷 一之 佐々木 雅幸 大場 茂明 桧谷 美恵子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究代表は、2007年3月、「大不況以来で最悪の10年間」と表現されるニューヨークの深刻なホームレス問題について調査(自費)した。そこで明らかになったことは、1996年の福祉改革によるワークフェアへの移行により、住宅への補助が削減されるとともにジェントリフィケーションの影響で家賃が上昇し、ワークファーストを強いられたワーキングプアとなった母子世帯がシェルターでの生活を余儀なくされている、という事態であった。これに対してローカルな福祉システムが作動しているドイツでは、高い失業率にもかかわらず、失業扶助、社会扶助、住宅手当によりソーシャル・ミックスが維持されてきた。しかしながら2005年以降、ハルツ改革によりワークフェアへと移行したことで、住宅手当、就労支援の両方にかかわる変更がなされ、都市での社会的分離の進行が危惧されていることが、最近、刊行された論考で指摘されている(Kafner S.,2007,"Housing allowances in Germany".in Kemp P.A.ed.Housing allowances in comparative perspective,The Policy Press).。なおドイツでは1999年以降、問題地域の対応プログラムとして社会的都市(soziale stadt、全国200カ所)がスタートしている。ニューディール・コミュニティ、都市再生会社によるイギリスのインナーシティ再生では、ニュー・エコノミーによる雇用の拡大、住宅、雇用、小売り、コミュニティ・サービスとレジャー施設のコンパクトな配置、さまざまな住宅テニュアの混合によるソーシャル・ミックスが意図されている。しかしながらこうした主張は、物理的な改変が社会問題の解決につながる、というニュー・アーバニズムに依拠している。